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●以前掲載していた写真は割愛。サービスが悪くなるけど、文字だらけにしました。
呼吸法の前提
呼吸法は、私にとって、未だに神秘的である。合気の達人と呼ばれる方の演武のビデオなどを見ると、受けが両手を掴んだ瞬間、ピョンと飛び上がったり、投げ飛ばされたりする。見るからに、怪しい光景でもある。
たぶん、そんな状況になって飛ばされてしまうことが実際にあった、と私は考えている。しかし、神秘的な技ではあるけれど、神秘ではなく物理的なメカニズムがあることだと感じている。
それは何故かというと、呼吸法を稽古していて、相手の腕の状態の感覚に気がつくと、一カ条あるいは小手返しのような体の状態を前提として相手を崩し、ほぼ同時に自分の体内の骨格(それとも筋肉か)の機構的な操作で、跳ね飛ばす、倒すという力を与えたらしい、と推測できてくるためだ。
つまり、呼吸法は、自分の体内の操作で発する力を、効果的に与えるために、相手の体を一カ条あるいは小手返しのような状態に固定する、という前提条件の下で初めて成立するのではないか、と言うこと。
養神館の呼吸法(一)を題材に見てみる。
仕手受けは相対して座り、受けは両手で仕手の両手首を掴んで、引きつける。受けの加える力に乗って仕手は、全体をやや沈めつつ前に進め、両方の前腕をやや内転させるように操作して、受けの両脇方向に向かって腕を迫り上げるようにする。すると、受けの腰が浮き上がり、崩れる。という型。
この時、仕手の体は正座から跪座に変わるが、腰は上げない。初心者は、たいてい受けと一緒に自分の腰を浮かしてしまうけれど、仕手の尻は踵からほとんど離れないか付いたままになるべきだろう。いちばん多く目に付くのは、仕手受けともに腰を浮かした上に、仕手が腕をビンと突き上げている状態。
もっとも難しいのは、受けが加えてくる力に自分の身を任せることかも知れない。これができないと、相手の力は変化しやすい。次に難しいのは、受けの動きの中で、受けの腕の状態を感じ取り、それを受けの動きに逆らわずに固定状態(一カ条)にする点。これがないと、その後、腕を迫り上げるようにしても、受けの体は上がらない。もっとも、腕はただ迫り上げるだけではなく、むしろ仕手は体を落とすようにした方が、受けは上がりやすいようだ。
受けの腕を一カ条気味に固定したら、次は受けがこちらの腕にのし掛かってしまうように、こちらの体を操作する。前腕は上げるのではなく、むしろ下げる方が、受けはしがみついてきやすい。そうして受けの重みがこちらに乗ってきたとき、仕手はやや前に傾け気味だった体を真っ直ぐに戻すと、受けはさらに浮き上がる。
私的には、この体の操作を、腰から背骨をうねらせるように伸ばすようにやる。感覚的には、猫背気味に丸めていた背をヒョイと伸ばすだけだが、猫背にはならない。
タイミングよく背が伸びると、体が固まりやすい人は、ピョンと跳ね上がるようになることもあるので、達人という人はこんな操作を一瞬でやり、目には見えない強烈な力を相手に及ぼせたのだろうと想像する。
こんな一連の操作は、やはり受けが加える力と体の状態の感覚なしには、まずできない。相手の力、腕の状態を感知するには、掴まれる部位の力が抜けていることも重要な前提条件になる。これは、間違いないだろう。
合気会や大東流では、合気上げを立ってやることが多いらしいが、養神館は座ってやることが多い。私は両方やってみるが、立っている方が難しい。初心の内は、座ってやる方が感覚しやすいと思う。立ち技は、天地投げなども呼吸法を意識して稽古した方がいい。
いずれにせよ、自分が能動的に働きかけている内は、呼吸法や合気上げという技は、理解できないものなのではないかと感じる。
呼吸法、合気上げというのは、きっと合気の技の根本原理を含むものなのだろうと想像している。だから、ヒョイと相手を上げられ、また抜きの操作で相手を崩して倒せたとしても、そんな程度の技だったのだとは思えない。きっと、相手が攻撃してきた一瞬で、ヒョッと崩し、ガンと吹っ飛ばしてしまえたのが、合気なのだろうと、希望的に想像している。到底、できるとは思えないが、その方が面白い。
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