合気道の基本動作・体の変更
合気道の基本動作というのも驚きだった。盆踊りのような動きをやる。武道としての自覚がないと、ちょっと恥ずかしいが、これは剣でいうところの素振りのようなものといえる。主だった技のエッセンスを取り出して作られている。なかなか合理的なメソッドだろう。
以下紹介する動作の説明や解釈はあくまでも僕の主観によるため、正しいところは各の先生に確認していただきたい。
体の変更(一)というのは、側面入り身投げに近い動きになっているが、例えば(一)の動作で相手を脇方向に槍を突き込むように押し崩す動きの場合なども、こんな動きを使う。
また手は常に自分の正面にある。これは考えるとごく簡単なことだが、動作としてやると難しいことらしい。正面に腕を維持することと、重心を移動して起こる腰の切れに伴って足が移動することが、この動作の眼目だろうと思う。
体の変更(二)は、シンプルな回転動作である。動きは単純なものだが、ほとんどの初心者は正しくできない。回転軸が作れない。軸がないために、体が後退しやすい。この原因のひとつは、構えが正しくないことにあると思う。
この動作の意味は、軸の安定かなと思っている。足の拇指付け根から膝、胸か肩に軸を置く。それを中心として体が回る。単独では廻すのだが、相対では廻されるのが正解だと思っている。これは居合の受け流しと共通する気がしている。受け流しでは、相手の切りかかる刀をこちらの刀を抜き上げ、鎬で受け流す。この受けた時、手を返すようにする人が多いが、僕はどうにも返せない。というのは返すと、相手の刀がこちらの肩を斬るに違いない。だから、受けた刀を鎬に貼り付けて、体軸を中心にこちらの体を回してもらうつもりでやる。正解はわからないが、こうすれば、まず斬られないだろう。回してもらうというのは、そういうこと。体の変更(二)では回転に伴って、足は螺旋状に広がり、腰は沈む。軸は固定せず、するっと移動できる必要があるかもしれない。これは今後愉しもうと思っている課題だ。
基本動作・ひ力の養成
ひ力の養成(一)という動きも、厭になるくらい単純なものだ。剣の素振りに等しいが、剣を持っていないので動作の意味を理解しにくい。前進しつつ、手刀を振り上げ、後退しつつ振り下ろす。初めてやる人には、なんだかつまらないことのように感じられるだろう。が、やがて重要な動きだとわかる。
ポイントは重心の変化と、後肢の伸び、肘はあまり上げずに進める点、全身の進行と共に前腕が自然に内転するようにすることだろうか。
この動きは相対で注意しながらやると、相手は力が使えなくなる状態になるらしいことがわかる。合気の型をやっていると、こんな原理がほとんどの型に含まれている。これは生理学的であり、物理的な理由のあるものだといえる。
ひ力の養成(二)というのは、言葉では説明しにくい動きだが、重心の移動と両手の協動を学ぶための型になっているような気がする。あの手は、居合いの抜き付け、片手の突き、血振り、納刀の際に見られる両手の協動に似ている。この動きには人体の不思議が秘められているような気がする。左右の手が、別のベクトルで動いたり、同じ方向に働いたりして、強い力を出す。四方投げで館長がよく両手を使えというのも、そういうことを意味しているのだろう。
足は、拇指付け根をしっかり固定することと、膝と内股の使い方に要点がある。特に拇指付け根がしっかりしていないと、重心移動する際に後肢が使えない。踵は床を擦って動き、あまり上げないようにする。最近は腹も使うようになった。この動きは、かなりきつい。しかしこの動作は楽にやってもあまり意味がないだろう。
基本動作・終末動作
ずいぶん大げさな名前だが、名の由来は稽古の最後にやっていたから終末とつけられたらしい。これにも(一)と(二)がある。
動作は四方投げほぼそのままになっている。ただし、四方投げの理合いから見ると、体を転換した時に体と手が真上に伸び上がるのはおかしいので、あくまで整理体操として作られたストレッチの動きではないかと思う。
動作は解説すると長すぎるしわかりにくいので割愛する。ただ、動きがひ力の養成や体の変更の連続で構成されているらしいことを上げておく。こうして考えれば、初心者の人も手足の進め方が変わると思う。もう一点、四方投げで体を転換する時、腰は低い位置に保ったままされるのが正しいと思う。そうしないと、相手が立ち直ってしまう。下手すると返されてしまう。それを防ぐには低い位置で体を変えるべきだろう。自ずから、腰は低い位置に保たれる必要が出てくる。