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再び、緩みについて

 緩んで緩みない状態が重要という点は、ほぼ確信に近い。ただ、この状態は感覚的でとらえにくい。合気道は相対でやる型なので、実際にやってみれば何となく感じられるようだが、単独でやる居合は難しい。例えば、腕や肩の筋肉は緩んでいても、体は締まって固定されている。一見、力んで見えるかもしれない。斬りなどは、頭上から一瞬で臍前に手を落とすため、その過程を見て取るのは難しく、わかりにくい。でも、力んで見える内は、どこか力んでいるのだろう。よく気の関連などで使われる「折れない腕」というのがあるが、あれも似たような原理ではないかと思う。腕はピンとして折れないが、筋肉にはあまり力が入っていない。これは、別に不思議なことではないだろう。
 今のところ感じている要点は、筋肉は必要最小限に使うだけにして、足腰背肩肘手首の連結は強固にするということ。この状態を作るのは結構大変だ。筋肉というのは緩めようとすると硬くなる。伸ばそうとすると縮む。やっかいな代物だ。
 緩める訓練でいちばん役に立ったのは、歩くことだろうか。緩める意識を持つ前は、脛の筋肉ががちがちに固まっていた。これを解すことを意識して毎日歩いていたら、ある時、ふっと緩む感覚があった。手で触れてみると、実際にほんの少しだが、弾力がでたようだった。その感じを忘れないように、意識して歩いた。半年ほどもかかったと思うが、押せば窪むようになった。前腕もがしがしだったのが、だいぶ緩められるようになった。


緩むための方法

 僕のように脛が硬直している人は、まず後肢の筋肉で歩く練習をするといい。特に大腿部裏側の筋肉だけを使うイメージで歩くと、やりやすかった。次には、膝裏を中心にやった。だいぶ脚全体が柔らかくなってからは、腹で歩く意識を試した。これは黒田鉄山氏(お会いしたこともないが、写真で姿勢を拝見しただけで達人だと感じる)や甲野善紀氏の著書で、そんな体内感覚の話を読み半信半疑で試した。初めの内は腹で歩くなんてワケがわからなかったが、しばらく続けていると下腹内部にうっすらと感覚がでてきた。これが正しいのかまったくわからないが、まずはイメージできなければ始まらない。やっていると体が楽になり、愉しい。
 甲野氏の影響でナンバの動きが話題になったが、合気道や居合の動きもナンバということは知っておくべきだろう。正しい膝行はナンバになる。立った状態でも同じだ。
 もうひとつ、とても役に立つと思うのは、掴まない、握らない感覚。これは手の内の話でも触れたけれど、掴まない、握らない。車の運転をする時の手の感覚を思い出すといいかもしれない。この手は、剣術でも合気道でも、たぶん大東流や他の柔術でも重要なところではないだろうか。
 緩みの効用は、色々ある。僕が暮らしているのは急坂の多い町だが、上り坂がとても楽になった。電車に乗っていても、揺れを体で吸収しやすくなった。痛かったマッサージが気持ちよくなった。肩こりが解消した。なんて、怪しげな健康関連商品の広告文みたいだが、事実である。



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