「アイズ・ワイド・シャット」

 名匠、あるいは奇才というべきか?スタンリー・キューブリックの遺作となった作品。劇場公開時はキューブリックもボケたかだの賛否両論あったようですが、「2001年宇宙の旅」の映像にぶっ飛んだクチとしてはやはりキューブリック作品だけに観ておきたいなあ、まあビデオ化して気楽に観れるからいいか、などと思って借りてみました。そういえば「フルメタル・ジャケット」を何故か大阪で観たなあ、などということを思い出しつつIMDbでチェックしてみると、何とそれ以来の監督作。寡作と呼ばれる所以ですな。あ、ちなみに「フルメタル〜」は正直あんまり面白くなかった記憶があります。

 さて本作。主演はトム・クルーズとニコール・キッドマンという、今をときめくハリウッドスター夫婦。とは言えこの映画の後で離婚しちゃったけどね。ふじもとはウィノナ・ライダー、メグ・ライアンと並んでニコール・キッドマンには弱いです。あのツンと尖った鼻とか、人を小馬鹿にしたように上がった口元とか、ああいうのはたまらんですな。それがまたちょっとハイソな役柄で、髪を束ねて金属フレームのメガネと来たもんだ。2ちゃんねる風に言えば「ニコールたんハァハァ」って感じですか。あ、ニコール・キッドマンってふじもととタメなんですね。身長は5フィート10インチ(178cm)……デカい。映画の中ではトム・クルーズと同じくらいに見えるけど、クルーズは5フィート7インチ(170cm)、何だふじもとより小さいじゃん。シークレットシューズっすか?

 ちょっと脱線が過ぎました。ストーリーは医師夫婦のクルーズとキッドマンがパーティに参加するところから。クルーズは女の子には優しいけど道は踏み外さないぞってな感じの医者、キッドマンは飲みすぎると少々脱線しそうだけどまあ身持ちの固めな嫁、という設定に見えます。で、そこからじわじわ夫婦が壊れてく……という流れかと思いきや、壊れていくのはもっぱらクルーズの方。しかも途中はそれなりにじわじわなんですが、クライマックスでいきなり「謎の黒魔術風超豪華乱交パーティ」に紛れ込んじゃうんですな。まあ、この場面が無ければ単に「キューブリックの超美麗映像をフィーチャーした『花王愛の劇場』」になっちゃうのでしょうけど、かといってこの場面だけはどうも極端に浮いてると言うか、何と言うか、うーん。ある種の幻想感とか、人の心の奥にある欲や罪悪感を表現するためのレトリック、ということなのかも知れませんが。

 で、この黒魔術風超豪華乱交パーティに潜り込んだクルーズ君はあっという間にバレちゃって、何とか無事に帰れるもののその後さまざまな脅しを受けます。最初は嫁に隠しておきつつ少し探りを入れたりするものの、そのうち脅しが本気であることを察知して、嫁に全てを打ち明ける。で、最後は何だかわからんがよりを戻してチャンチャン。キューブリックならではの(?)身も蓋も無い終わり方。

 まあそういった部分で批判も多いのでしょうけど、映像的にはとにかく綺麗です。計算され尽くした画面構成、カット、色合い。これまたキューブリックならでは、という感じ。上述の黒魔術風超豪華(以下略)も、猥雑さと美麗さとおどろおどろしい雰囲気をうまく盛り込んでいて、それがある意味ストーリー面での違和感を相殺している感じがします。ま、この映像とニコール・キッドマンだけでレンタル料380円の価値はあったかなと(笑)


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