0.54ミリの差(M42−OM)

 一年ほど前、M42マウントのジュピター9をその価格の安さにつられて買ってしまった。しばらくはコンタックスG2にマウントアダプターをつけてコノレンズを使っていたのだけど、今年の紅葉を目の前にして、是非コノレンズを使い慣れたOMで使ってみたくなったのだが・・・。

「M42マウント」
 まずはM42スクリューマウントについて、覚え書など。プラクチカマウントとも呼ばれるこのマウントはそのスクリュー径が42ミリ、そしてネジピッチが1ミリ(だったかな?)のネジマウントである。また、M42スクリューマウント機のマウント面からフィルム面までの距離(以降:フランジバック)は45.46ミリである。
世の中のカメラはメーカーごとに異なるフランジバックを持っており、より短いフランジバックをもったカメラボディでは古今東西様々なマウントのレンズを市販のマウントアダプターによってフランジバック及びマウント形状をあわせて使うことができる。

普通、カメラをはじめて買うときに上記のようなことについて詳しいはずもなく、価格やデザインなどで自分の使うカメラを決めるので、ずーっと後になりてこのような変な組み合わせでレンズを使おうという時になって、はじめてこの「フランジバック問題」の壁にぶつかるのであった。(普通はぶつからないか。笑)
僕の手元にあるオリンパスOMシリーズのフランジバックは46.0、M42機のフランジバックより0.54ミリ長いことになる。これではボディのマウントにピッタリM42レンズをつけても無限遠でピントが合わない。そこで・・・。

「今回の目論見」
*レンズ側でフランジバックをあわせるような工夫をして、「0.54ミリ」レンズ自体を下げる。
*OMボディのマウント面ぴったりにM42スクリューマウントアダプターをつける。


 まずレンズ側でフランジバックをあわせることを考える。手元のジュピター9はこの点については非常に都合良く出来ていて、本体の構造が絞りを内蔵したレンズ部とその後にピント調整機能を受け持つヘリコイドユニットからなっていて、レンズ部は微調整ワッシャーによってそのフランジバックの調整をされている。(写真)このワッシャーの厚みも3枚すべて異なり、今回は「0.54ミリ」以上レンズを下げられれば一眼レフでファインダーで確認しながら無限遠までピントを合わせられるため、3枚のワッシャーの中の一番厚みのある1枚を残し、2枚を取って組み立てる。


 続いてはマウント問題である、手元にM42−ヤシコンマウントアダプター(ヤシカ・コンタックス機のフランジバックは45.5ミリである。)があり、ヤシカ・コンタックス機ではこのアダプターがボディ側マウントとほぼ面一になる。狙いとしてはOMでもこのように面一になれば調整したジュピターが使えるわけなのだ。
 そこでこのマウントアダプターをOMに使えるように加工することはできないか試してみる。と、マウント径がOMのほうが0.4ミリほど小さく、バヨネットの爪が一箇所当たる部分があることがわかった。さっそくマウントアダプターの外径を0.4ミリほど小さく紙やすりで削り、バヨネットの干渉する部分を2ミリほど落とし、OMにつけることに成功した、ただOMにはボディがわにレンズのストッパーがないため、アダプターにロックは効かない。

 以上でうまくレンズが使えると思ったのだが、実際に装着してみると無限遠までレンズがまわらないことがわかった。ナーンデカ?よーく見てみるとレンズを後に下げた分、M42−ヤシコンアダプターとレンズ後部がスクリュー後部の補強部分で接触していることがわかり、干渉部分の径をまたまた紙やすりで削り広げ、レンズの繰り出しで触れないことを確認し、最後に内面反射防止にマットブラックでマウントアダプター後部を塗装して今回の加工が終わった。

試写した写真をココにアップしてあります。最近5千円ほどで売られているレンズですが絞り羽は15枚もあるし結構撮るのが楽しいレンズです。ただコノレンズに6千円以上するマウントアダプターを加工してしまって、後悔しなければいいけど>自分。

おしまい。