中山大障害最終決断
ホームページのコンテンツにアップすることはできなかったが、それなりに取材は積み重ねて
きた。今週など、有馬記念とたんぱ杯の取材に追われて右往左往していた何人かの記者さんが
木曜日になって「大障害の取材、やってねえよ〜」と泣いていたので、助け舟をラクラクと出
してあげた(コメントを教えてあげた)ほどだ。このことは、それだけ大障害の取材が軽視さ
れていることを明らかにしている。残念だが、これはひとつの現実だ。ここで改めて言ってお
きたい。中山大障害の施行時期は、有馬記念の1週前にして、かつ、当然メーンにするべきで
ある。グランドジャンプでできたことが、国内限定戦でできないわけはない。それだけ、海外
にばかり気を使って、結局のところあまり障害振興策を重視するつもりがないことを露呈して
いる、と思うのはボクだけだろうか。いずれにしても、障害レースはファンに浸透するように
なれば、必ず大きなマーケットになると思う。それをJRAに訴えたいし、ファンの方々にも
よくレースを見てほしいと思うのだ。
前振りが長くなったが、単刀直入に言うと結論はマキハタコンコルド。ここ数週、ほとんど栗
東にいて、美浦の取材がおろそかになっている分、自信のほどは春のゴーカイほどではないが
この馬についての取材は誰よりも多く重ねているという自負がある。出津Jとは、12月に入
ってから、合計3時間近くは話をしてきた。もちろん、マキハタコンコルドの話だけではなく
て、競馬全般にまで話題は及んだが、言葉の端々からマキハタコンコルドに対する意欲なども
聞かれ、こちらにも熱意が伝わってきたものだ。言葉をいくつか紹介しよう。
「今月の1日にスクーリングに行ってきたんやけど、ホンマ、賢い馬やね。バンケットも難な
くこなしてくれたわ」
実は、管理する新川師は、レースにぶっつけで臨むつもりでいた。しかし、これに出津Jが強
く反対。レースでもないのに、スクーリングに連れてきたのである。以前、ファンドリロバリ
ーが初めて中山で走ったときに、バンケットでフットワークを乱して腰を痛めてしまったこと
があったためだ。結果は吉と出て、無難にスクーリングを終了している。
「いま、ホンマに力をつけとるからね。馬が威張って障害に向かっていきよるもん」
反対に、自信のない馬となると、どこかぎこちない飛越になるのだそうで、それだけ今のマキ
ハタコンコルドが自信をつけていることをほのめかしている。
「せっかくだから、これだけ強いメンバーでやりたかった。弱いメンバー相手に勝っても、仕
方ないもん。ここでゴーカイを負かしたいなぁ」
ゴーカイの他に、オープン連勝中の馬が3頭いるメンバー。今の障害界の主力メンバーがほぼ
集結したと言っていい(テイエムダイオーは不在だが)。自信がない時なら、強いメンバー相
手に臆するところだろうが、出津Jは強い相手を求めている。ちょうど、エルコンドルパサー
がフランスに遠征しているとき、佐々木助手が「どうせなら強いメンバー相手で勝ちたい」と
口にしていたことを思い出した。
不安点もなくはない。いくらスクーリングしているといっても、レースは初めて。また、東京
コースに良績が集中している分、右回りそのものにも不安はある。あとは折り合い。「道中は
できるだけ前に壁を作りたい。賢い馬やから、外に出すとゴーサインだと思ってグンとハミを
取っていくから」と出津Jは言う。外枠だけに、前半がポイントとなるだろう。
しかし、そんな不安点があるからこそ、ランドパワーやヤスノテイオーよりも人気が落ちそう
な感なのである。打倒ゴーカイを目指す出津J。スクーリング翌日のイルミネーションJSの
レース後、ゴーカイの横山義Jに対して「おまえの馬も、次はキッチリ仕上げて来いよ!」と
挑戦状を叩きつけていたことが思い出される。その熱意、意欲、そしてマキハタコンコルドの
充実ぶりを信じて、単勝勝負。
さて、相手選び。前走を使う前から「中2週は楽じゃない」と話していたのがゴーカイ陣営。
斤量的に、使える番組が少なく、あの63kの前走を使うしかなかったという経緯があるだけ
に、前走の余裕残しの馬体も同情の余地はある。しかし、これは逆に、本番をにらんでの仕上
げだったことも明らかだ。良化は確実に見込める。折り合いに不安がなく、飛越に危ないとこ
ろがないこの馬こそ、中山の大障害コースのためのような馬。やはり、馬連の相手はこの馬が
ふさわしい。
穴候補は人気急落のファンドリロバリーだろう。出津Jも、悩みに悩んでの選択で、こちらを
断った。だが、トレセンのスタンドで横の林Jをにらみながら「天敵がおらんからね。今回は
ロバリーも展開が有利やと思うよ」と話していた。天敵とは、林Jが主戦のマキシマムプレイ
ズである。「あの馬さえおらんかったら、ロバリーはあと2つくらい重賞を勝てとったよ」と
出津J。ピタリと番手マークをするマキシマムがいない今回、テン乗りの三浦Jがうまくペー
スを作れば、あれよあれよのシーンもあるかもしれない。
関東では河野厩舎の2頭。安定味あるミナミノゴージャスは、やや急仕上げとみるが、宗像J
も大障害コースを楽しみにしていた。エーピーランドは、もし前崩れになった場合、一気に台
頭するだけの力がある。しかし、この2頭はあくまで抑え。充実ぶりではマキハタにもヒケを
取らないヤスノテイオー。植野Jは「落ち着きが出てきたことが大きいです」と言う。ただ、
この馬は斤量という敵があり、もうひとつ「飛越がやや低い点」(植野J)も気がかり。無事
に跳んでくることを信じているが、主戦の表情からはまだ全幅の信頼は感じ取れなかった。そ
れなら、確実に上昇カーブを描いているメイショウワカシオ。嘉堂Jは「まあ、ボチボチ良く
なっている」というような感じで強気な言葉は出なかったが、春先のレースぶりを見ていれば
トップクラスの力があることは明らかだ。コース上位入線の経験も有利。△4頭の中では一番
の評価をしたい。人気の一角ランドパワーは、栗東のほとんどの騎手が「これが一番怖い」と
話していたが、あえて無印にした。レコード勝ちという付加価値で人気を上げているが、戦っ
てきた相手関係は決して大したものではなく、何より主戦・金折Jの表情が冴えなかったこと
が気がかり。前走でスタミナ、斤量にメドをつけたことが人気の要因だろうが、ここは蹴る方
が馬券的妙味は大きいと思う。
参考までに、他馬で談話があるものを披露すると…。○ヨイドレテンシ・岡富J「2走前に、
前半に気合を入れた。その分、前走では行きっぷりが良くなっていたね。コース経験は豊富な
ので、そのあたりに期待しているが、勝ち負けまではどうかな」○フジノセイガイハ・今村J
「先生に頼んで、阪神ではなく大障害を使ってもらえることになりました。前走が初めての騎
乗で、中間も乗ってはいないんですが、前走はとにかく飛越が上手でした。使った分、しまい
の伸びもありましたしね。あとは上でボクが邪魔しないようにしたいです」○トキオワイルド
・林J「使っていくらか良くなっているけど、長く休んでいた馬だからね。全盛期の力と比べ
ると、やはり見劣りは否めない。まずは無事に跳んできて、あとは少しでも上を狙えれば」
とまあ、こんなところである。まずは全馬無事の完走を。そして、手に汗握る攻防と、人馬一
体の芸術的な飛越の数々を楽しみにしたいと思う。ゴールシーンでは、テレビの前の方々も、
どうか拍手をしていただきたい。