アレルギー対策…化学物質過敏症…と床暖


■ 建材に含まれる有害な化学物質

ホルムアルデヒド……発ガン・アレルギー促進物質……を揮発させる合板・集成材が、 問題に
なっています。 他にも農薬系の防腐・防虫剤や、 揮発性の有機化合物……有害な影響が指摘
されている物質……を含む塗料溶剤が多くの建材で使われてきました。

(リンクの解説あり)
ラワンなどの合板 …………………広葉樹ベニヤの接着剤にホルムアルデヒド

土台・床下 …………………………農薬系の防蟻剤・クレオソートなどの防腐剤
たたみ …………………… 畳表に着色材・藁にナフタリン・畳床下に防虫シート
ビニールクロス・シート ………… 可塑剤・難燃剤・発泡剤
<同上> の接着用の糊 ………… 防カビ剤・有機溶剤

また、 外国から輸入される原木・ログハウス用材に対して、検疫の際に実施
される燻蒸については、 人体への有害性がかねてから指摘されてきました。


■ 遅れる・危険性への認識、 進まぬ対策

最近では、 ラワンなど広葉樹の合板をやむをえず使う場合に、 低ホルムアルデヒド合板 ……
JAS:F1タイプ:0.2 ppm …… が推奨されています。

(注) 低ホルムアルデヒド合板 合板から放出される
ホルムアルデヒドの量によりで基準が定められている。
レベル ppm  (注) ちなみに、 針葉樹の合板でホルムアルデヒドを
ほとんど放出しない …… 0.05 ppm位 ……のものが
あり、俗に "Fゼロ"と呼ばれるが、 JASの基準ではない。
F1 0.2
F2 2.0

他の建材でも、各分野毎のメーカーの協会・団体を中心にして、 安全性を配慮したガイドライン
が提案されはじめています。 しかしガイドラインだけは存在しても、 基準を満たす製品が現実に
はない、 というケースが多いのです。

有害物質の低減には、それ相応のコストが掛かりますが、 建築費の増加は敬遠されます。 危
険性に対する認識が甘く、 安全な建材を開発しても競争力が弱いと思われています。 そもそも
対策の第一歩であるべき、 建材の成分表示の義務化は、一向に進展していません。


■ ひろがる室内空気汚染と健康被害

健康な人が、 有機化合物によるアレルギー ……化学物質過敏症・シックハウス症候群……に
なぬようにする、 とりわけ新築直後に多量の化学物質に被爆しないようにする事が大切です。
まず空気を汚染する揮発性の有機化合物を、 低減させる努力が必要です。

不幸にして一度過敏症になると、 超微量の、 多くの種類の物質に、 激しく反応して症状が重く
なってしまう …… 多発性化学物質過敏症 …… 傾向がみられます。 そうなると天然素材の
ヒノキやスギ …… ヒノキチオールが含まれる …… にさえ反応してしまいます。 誰もが発症す
る危険のある、 このアレルギーへの対策が急がれます。


■ キーワードは、 湿気のコントロール。

建材に化学物質を使用する事は、 時代の当然の趨勢でしょう。 しかし、あまりにも頼り過ぎです。
有機化合物が多用されている理由の一つは、 "調湿と結露防止" に対する工夫を怠っている、 と
いう点にあります。 湿気をコントロールするのでなく、 強引に力づくの解決策を求めているのです。

湿気と結露から生じる問題 →→ 力づくの解決策
木材が吸湿し体積変化を起こし
反り・伸縮が生じる。
→→ 耐水性の接着剤の合板を使い押え込む
木材の含水率が25%を越えて
腐朽菌が働きだす。
→→ 殺菌剤・防腐剤を使い押え込む
湿った材を好む、 カビ・ダニ・
白蟻が発生する。
→→ 防カビ剤・防虫剤・防蟻剤で押え込む

逆に、 調湿と結露防止を工夫し、 湿気をコントロールできれば、 耐水性合板や防腐剤・防カビ剤
防虫剤の使用量を減らせます。 全てとは言えませんが、 "調湿と結露防止" により、 多くのこと
が改善可能です。
ケイソウド

■ 併用したい 珪藻土=建材の優等生

湿気のコントロール、 即ち "調湿と結露防止" に有効なのがケイソウドです。 私どもの設計事務
所は、 珪藻土メーカーの手先ではありませんので、 なにも宣伝してやる義理はありません。 ...が
"調湿と結露防止" なくしては、 有害化学物質や防カビ剤・防腐剤・防虫剤の低減は難しいと考
えますので、 建材の優等生である珪藻土に登場してもらう訳です。

珪藻土の表面に水分をつけると瞬時に吸い込みます。 珪藻土は、 まるで"生きている"かのよう
に呼吸をし、 水分や空気中の湿気を吸収し放出します。

珪藻土は、 古代の藻が2千万年の間に堆積した化石土で、 0.2μ 程の超多孔質の不燃材です。
孔の数は多孔質といわれてる木炭の 数千倍にも及ぶそうです。
断熱・調湿と結露防止のほか、 消臭・ 空気清浄化などの優れた
機能を発揮します。 水気の多い浴室・キッチン、 風通しが悪くて
ジメジメ した押入などの壁・天井に、 湿気や結露の恐れのある
床下・畳下に、 この材 料を塗れば "調湿と結露防止" に有効です。
この建材と、 温水 床暖房とを併用すると、 とくに効果的と申せます。


■ 建材選びの合言葉は、"生きた建材"

むくの木材も珪藻土も "生きて" います。 だからこそ、 呼吸するように湿気を吸いますし、木材は
反り・収縮という現象を見せるのですが、 現代では狂い易い欠点として頭ごなしに否定され、 接
着剤により力づくで抑える方法で対処しています。 伝統的技法では、 このような素材の部分的
な狂いを、 建物というシステム全体の狂いに発展させない工夫で上手に手なずけてきました。

木材が腐りやすいという点は、 現代では、 風通しが悪くても強引に防腐剤で解決してしまいます
が、 昔は、 風通しの悪い場所自体を設けないように工夫してきたのです。 健康被害を免れるため
の秘訣、 それは "生きた建材と上手に付き合う" ことです。


■ 暖房選びの合言葉は、"ソフトな暖房"

暖気を強制的に対流させる方式の暖房では、 部屋の上下で温度差が大きくなり、 汗をかくなど
水分の蒸発も多く、 冷えたガラス・コンクリート・金属に暖気が触れる所で結露が起きやすいと
言えます。
床暖房は低温輻射なので → 結露・湿気を防止し → 菌・カビ・ダニの発生を予防 →防腐剤・防
カビ剤・防虫剤の使用量を抑えることが可能です。 ダニは湿度が50%以下で、 腐朽菌は木材の
含水率が20%以下で、 活動することができないのです。

床暖房は "頭寒足熱" ですから、 医学的なメリットとして、 脳卒中や心臓マヒの予防につながり
ます。 また、 足元が適度に暖まり血行が良くなり ……温泉の効能書きではありませんが……
神経痛・リュウマチ・高血圧にもよろしいそうです。

ただし床暖房の弱点として、 放熱部の温水管で……床下に設けられるジョイント部分に……水漏
れと目詰まりの心配があるという指摘がされています。 しかし、 生きているソフトな血管のように
伸縮性に富み水漏れの恐れのない、 1本の連続するパイプを採用すれば安心です。


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