比較してから ●無垢(むく)の
フローリング の長所と注意点


人気のフローリング

■ フローリングの種類 = むく(無垢)と合板

現在よく使われるフローリングは、 以下の2種類に大別されます。

  むく無垢のフローリング: 天然木の単層板で造られたもの。乾燥
      (単層フローリング) 方法により、人工と天然の違いがある。

  合板のフローリング:   ベニヤを貼合わせた合板・集成材の表面に
      (複合フローリング) 天然木の薄板を貼付けたもの。 化粧天然木
                 の厚さは、 数ミリ =天然木化粧以上の場合
                 もあるが、 一般的には 0.3 ミリ前後。

■ 合板のフローリング

合板フローリングは、 温度湿度の変化に強く……狂わない……耐水性・耐候性に優れています。
これらの特徴は接着剤に起因するもので、 どちらかといえば、木よりも接着剤が主役の建材です。
なにより価格の安さが魅力で、 現在も多用されています。

しかし、 ホルムアルデヒドを含む接着剤により、 ラワンなどの広葉樹ベニヤを接着した合板は問題
になっています。

表面材の処理・塗装をみると、表面の化粧天然木が1mm以下の薄単板では、 耐摩耗性を高める
ために、 ウレタン樹脂塗装を厚くしたものが多いようです。 また、 表面処理では、 割れ・狂いをなく
すためにプラスチック……ビニール樹脂系……モノマーを含侵させ、 木材の天然高分子と複合体
の構造にしたもの(WPC)、 が多く用いられています。


■ 無垢のフローリング

有機化合物によるアレルギーといった健康被害を避けるなら、 価格的には少々高くなりますが、
天然素材の無垢のフローリングに限ります。 裏面に防腐剤のクレオソートを塗ったりしては勿論
いけませんが....。

"無垢" とは "本物" を意味しますが、その名の通り全体が天然木の板なので、 傷ついたら削る
ことができます。 無塗装品を選べば、 天然素材……柿渋・アマニ油・蜜蝋……の塗装材を使うこ
とが可能です。

しかし無垢のフローリングには、 反り・収縮という、 無垢の材を用いているが故の現象がついて
まわります。 特に床暖房用のフローリングでは、 大きな温度変化にさらされるために、 その特性
が欠点……狂いやすい……とみなされてしまうのです

ローリング
によく用い
られる材。

左:ブナ
右:ナラ

■ 理解しておきたい、 無垢材の性質

無垢の材では、 乾燥状態の悪い素材を使うと、 反り・曲り・割れ・が生じます。 これは湿度変化
に伴い、 吸湿と放湿を繰り返し、 膨張と収縮の体積変化を起こすという、 木材の本来の特性に
よるものです。

反り・収縮を防ぐには、 気乾状態 ……含水率:約15%…… 以下まで乾燥させた材を使う必要
があります。 床暖房用のフローリングでは特に、 含水率を数%まで人工乾燥させた後、 再び
含水率を8%位に戻したものがあります。
…気乾状態…含水率…(リンクの解説あり)

伸び縮みを繰り返した木材ほど、 伸縮率は小さくなってきますが、 何百年経っても決してゼロに
はなりません。素材を一度完全に乾燥させたからといって、狂いが皆無になる訳ではないのです。

■ 無垢のフローリング、 使用上の注意

無垢の仕上材が湿気にあうと問題が生じてきます。 "調湿と結露防止" がとくに重要です。
   反り・伸縮が出やすい(吸湿し体積の変化が生じる)
   腐朽菌が生育し腐る(含水率が25%を越えると)
   ダニや白蟻発生しやすい(湿った材や場所を好む)

通気性を良くすることが先決ですが、 湿気が予想される所では、 珪藻土(ケイソウド)を塗るなどの
調湿と断熱の工夫をする必要があります。

ヒノキやヒバ(アスナロ)といった樹種は、 殺菌効果のあるヒノキチオールを多く含み、 耐湿性・耐
腐朽性・耐蟻性があります。 ただし、 既に過敏症になっている人にとってはアレルギーの対象とな
る場合もあり、 使用に際しては、 反応を試験する必要があります。

無塗装品の場合なら、 使用者の意志で塗装を選択する訳ですが、 着色をする時は、 樹種によって
は色ムラが出やすいものもあり注意が必要です。

床暖房用のフローリングには手入れ不要のポリウレタン樹脂が一般的ですが、 過敏症の方には手
入れに手間が掛かるものの、ワックス……特に天然素材の蜜蝋や木蝋……仕上が適しています。


■ フローリング、 無垢と合板どちらを選ぶ?

無垢のフローリングにもピンからキリまであって、 一概には論じられません。 同じ樹種でも、良く乾燥
させたもの、 辺材でなく伸縮の少ない心材を用いたもの、歩留りが低くなるのを覚悟のうえで部材を
厳選したもの、は価格が高くなります ……価格設定が良心的であるとの前提に立てば…… やはり
良いものは高いのです。

いずれにせよ、反り・収縮の生じる可能性が皆無ではないことを承知しておかねばなりません。予算
が許す場合には、 無垢のフローリングの採用も検討すべきですが、最終的には長所と短所を承知し
た上で、 お客様が選択し決定なさることだと言えます。


NEXT項目 TOPメニュー


.