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03年10月

●昼間は暖かくて、電車に乗ったら扇風機が回ってたけど(要らん!)、深夜は冷たい風が吹いた。まもなく霜月。●BBSから引用してしまおう。高橋健太郎さん曰く「凄く大雑把にいうと、音楽業界のほとんどすべての職種はリスナーとミュージシャンの間に動くお金の一部をもらうことによって、生計を立てているわけです。にもかかわらず、リスナーとミュージシャンへの敬意を欠いた、としか思えぬ出来事が増えている」。まったくじつにこれは基本だと思う。(半分は出版業界に属してはいる)音楽専門出版社だって、音楽そのものを生みだしているわけではない以上おんなじだ。それにしてもここんとこぜんぜん音楽聴いてないぞ! ●昨晩遅く発注した本がもう届いている。何度使っても驚くなあ>Amazon。買ったのは寺山修司の童話や詩に宇野亜喜良さんが絵をつけた「踊りたいけど踊れない」(アートン、2003)。(29日)

●開設1年を過ぎたころからカウンターの回り方が早くなってるような感触があって、こんななんの役にも立たないサイトを見ていただけてるのはありがたいかぎり。なのに、ここんとこ更新が滞り気味ですみません。いましばらくはこんな調子でもたもたしそうです。(27日)

●夜になるとだいぶ気温が下がる。さすがに夏仕様の服装で出歩く人も見なくなった。●まだまだ本調子ではないのだが、所用で1日中外出。帰宅後は仕事関連メールの対応に追われる。例によって宿題山積み。●地上波の民放TVがなくなっても別に困らない生活だし、そんなことするやつだっているだろうな、ぐらいにしか思わなかったけど、言われてみれば、なるほど、と。「視聴率」ってのは相当にいかがわしい代物ですな、たしかに。●取材でイスラエルに滞在中のDさんから「雑感メール」がすでに4通。中東の歴史やら情勢やらには、いまだに基礎知識がまるでなくてチンプンカプンだったりするんだけど、今日たったいま現在のイスラエルからの便りかあ、と思うと不思議。くれぐれもテロに巻き込まれませんように(っていう認識でいいのかな?)(25日)

●ああ~、やっと終わった。けっきょく1日も休めず、なんだかんだでしんどい1週間だった。土日もやりたいこと、やらなきゃいけないことがあれこれあって、静養モードにはなりそうにない。●音楽配信メモで2日続けてCCCDへのコメント大特集(ぼくの日記にもリンク張られてた)。そこからのリンクで佐久間正英(GLAYのプロデューサーといえば大物ぶりは分かってもらえるだろう)が、CCCDの製品版を聴いて「愕然としました」「音楽への冒涜です」「音を作る人間として、音を届ける人間として許せない気持ちです」と公式サイトのBBS(インデックスの3)に書き込んでいるのを知る。今ごろかよ? とこっちも驚いたが、力のある人がCCCDの正体に気づいたのは、まあよかった、と言うべきか。たとえ吉田美奈子の新譜(やっぱCCCDなんだろうなあ。鬱)だろうがなんだろうが、買わないぞ、と誓いを新たにした次第。そういえば『レット・イット・ビー・ネイキッド』、アマゾンでは当然のようにアメリカ盤が売り上げ(予約)1位、国内盤は7位。アナログも魅力的ではあるな。カスタマーレヴューにやたらダブりがあるのが謎。(24日)

●予報とはうらはらに爽やかな晴天だが、体調不良で半休。全休にすれば回復が早いのはわかっちゃいるが。ワールド・シリーズも日本シリーズもなくて平和な1日(^^)。●中山久民さんと初めてお目にかかり、原稿をお預かりしたのはいいんだけど、いったいいつ読めるやら。●2年前に『ブラック・マシン・ミュージック』という労作をものした野田努さんの新刊が出ていた。「エレキング」などでのこれまでの原稿をまとめたものらしい。『ジャンク・ファンク・パンク』、河出書房新社から。●えっ、そりゃあり得んでしょう! “東電OL殺人事件”容疑者の無期懲役確定って……立件することすら微妙なくらいの状況証拠しかないんですけど、あの本を読むかぎりでは。それとも佐野眞一が取材しきれなかったとんでもない事実があるとでも? 身柄も拘束したままだったとは。(21日)

●週末はドツボってたし、今日は久々に会議で怒りモード。いつまでこうやって我慢するんでしょ? 例によって特急で片づけねばならぬ仕事だらけで、結果どれも鈍行に。●「レコード・コレクターズ」での吉田明裕さんに続いて、「ミュージック・マガジン」11月号では安田謙一さんが「上海ブギウギ1945 服部良一の冒険」の書評を書いてくれた。吉田さんには「ノン・フィクションはこうでなくちゃいけない」と過分な言葉、安田さんからは「読み物としてツカミに欠ける」という鋭い指摘をいただく。サエキけんぞうさん、篠原章さん、小沼純一さん、松山晋也さん、大須賀猛さん、と錚々たるみなさんにレヴューしていただき幸せな本です。中山康樹さんは「音楽書の書評には批評性がない」といった意味のことをお書きになっていて、総論としては同感だけど、例外のないセオリーはないわけで。でもどんなに書評で取り上げられまくってもどれだけ売れるかは結局本じたいの力にかかってるってのも事実(大金と多くの人手を販促にかけられる場合は別)。●安田さんてば、ついにを出したんですね。しかも国書刊行会からってのがすごいな。帯は小西康陽だし、ハードカヴァーだし。(20日)

●自分より歳が上で親しい人にだって、もちろん魅力的な人、付き合って楽しい人、信頼している人はいっぱいいるんだけど、ふと気が付くと自分がその場で一番年寄りってことがままある。どうもそれが自分として納得がいかないというか受け入れたくないっていうか、意識したくもされたくもないという気持ちがわくんだけど、それってなんなんだ? と自分で疑問でもあり。からだと気持ちと生活と、それぞれの変化のしかたがうまく合致してないんだろうな。若いことに価値がある、という無意味な価値観は捨てて、自分の年齢とそれに伴う役割を素直に受け入れたほうがいい、みたいなことを誰かが書いてたのを思い出す。●ニューヨーク・ヤンキースのワールド・シリーズ出場決定! 途切れとぎれにしか見てないけど、いや第7戦はすごい試合だった。敗れたあとのペドロ・マルティネスの表情にも思わず見入ってしまったけど、とにかく松井はすばらしすぎ。めでたい!(17日)

●ルーファス・ウェインライトの3作目『WANT ONE』、Dreamworks盤を購入。日本盤にはボーナス・トラックが付いてるけど、こっちはエンハンストCDでした。めったに見ないけど。一緒にボブ・ディランのハイブリッド・デジパック・リマスター再発から、発売当時以来ぜんぜん聞いてなかった『STREET LEGAL』も。●「ビルボード年間トップ100ヒッツ1956-2001」の見本が上がる。杉原志啓さんに「DIG」誌上で絶賛されたこともあるビルボード本、久々の刊行だ。●今日始まった「トリック」の新シリーズはちょっとパワー落ちてない?(16日)

●夕方4階の会議室で打ち合わせをしていると、ゴゴーッと地鳴りのような響きがして床が揺れた。地下鉄か、とも思ったが4階まで響いてくるはずはなく、地震。震度4とか。ふだん地震は怖がらなさすぎってくらいにわりと平気なほうなんだけど、とんでもないのが来るのかと一瞬ビビった。●晩飯と帰宅の車内で中西秀彦著「本は変わる! 印刷情報文化論」(東京創元社)を読む。前半は活版からデジタル印刷の最先端までの変化が具体的に判りやすくまとめられていて、いい勉強に。そういや、校正紙に写真も一緒に出てくるようになったときの感動なんて、ついこないだの話だよなあ。オンデマンド印刷の機械って社内にあったんだっけ? 担当は日本に数少ない(?)SF専門編集者の小浜徹也さん、装丁は死ぬほどお世話になっている岩郷重力+Wonder Workz。さん(クレジットは、最後の。が抜けてませんか?>小浜さん)。(15日)

●おなじみ内田樹の引用を。“「愛する」というのは「相手の努力で私が快適になる」ような人間関係ではなく、「私の努力で相手が快適になる」ような人間関係を築くことなのである”(『子どもは判ってくれない』P145、洋泉社より)(14日)

●例によって冴えない連休だった。半分は仕事してたし。今日は五反田の喫煙お断りラーメン屋で晩飯。●内田樹の新刊『子どもは判ってくれない』(洋泉社)と『志ん朝の落語2』(ちくま文庫)を購入。『子ども~』はカヴァーのタイトル文字が、日本初公開当時に野口久光さんが描いた映画『大人は判ってくれない』のポスターとおんなじ。中味のほうは『疲れすぎて~』とだいぶ重なってる気配。●アルタンのマレード・ニ・ウィニーとダーモット・バーン夫妻に無事女の子が誕生したそうな。けっこう高齢出産だったんだけど、よかったよかった。とんでもないミュージシャンになったりするんだろうか。(13日)

●ちょこっと会社で作業したあと、初めて見るのがラスト・ライヴになってしまったミッシェル・ガン・エレファント@幕張メッセ。オール・スタンディングで2万人くらい? 音が出たとたん帰りたくなったが(^^;)、辛抱して聴いてるうちにだんだん集中を高めていく演奏に引き込まれていった。とにかくカッコイイのひとこと。すばらしいビート・バンドですな、いまさらですが。終盤、レゲエ・アレンジのイントロから入っていった「リボルバー・ジャンキーズ」と、1回だけスクリーンに大写しになったチバの笑顔には痺れました。ミディアム・テンポの曲もグルーヴィーだし、文句なしのパフォーマンスだった。MCが少なくても、気合い入りまくってるし、音楽が雄弁だから不愛想なかんじはしない。PAは、あの箱にしては頑張ってたほうだろうし、わりと前の方で聴けたから、そう悲惨だったわけじゃないけど、もっとまともな音で聴いてみたかった(クソ暑くて汗まみれになったのにも参った)。帰りの混雑を避けて3度目のアンコールが始まったところでリタイア。しっかし幕張メッセ。トイレが1ヵ所だけ、しかもいっぺんに8人しか用を足せない。仮設トイレぐらい用意しろよ>主催者。場内整理員のバイトは要領を得ないし、と~にかく遠すぎだし、音楽を聴きには二度と行きまへん。(11日)

●7時間も表参道と渋谷界隈をウロウロ。喫茶店3軒。終わらん! ●毎度のことながら遅れた山手線を待って長々と高田馬場に止まっていた終電に乗って帰宅。深夜のJRが遅れない日ってあるんだろうか? おかげで駅を降りたら1時をとっくに回っていた。おそ~い晩飯にようやくありつきながら、ベルナルト・ハイティンクの指揮で大好きなブラームス/交響曲第1番のクライマックスを聴く。悠揚迫らぬ、スタンダード足りうる立派な演奏。サントリーホールでのライヴなんだけど、やっぱり曲が終わったとたんに「ブラボー!」の声が飛んでいた。で、スーパーワールドオーケストラってなんだ? ●続けてこの前のダニエル・ハーディングを放映。この人の英語、異様に聞き取りやすい。サービス? 聞き逃した「田園」の前半を聴いてしまう。アーノンクールもブリュッヘンも聴いてないのにいきなりハーディングに驚いてちゃまずいでしょうか?(10日)

●だいぶ肌寒くなってきた。こういう頃合いにちょうどいい服を持ってなくて困る。●ひと月ほどのあいだに3冊校了させるという段取りの悪いことになってしまった。そのわりにエネルギーが出なくて四苦八苦、調子悪くてしょうがない。ほうぼうお待たせしっぱなしなのに、さる著者からは丸ごと1冊分書き下ろしの原稿が届いたりして、ありがたいやら慌てるやら。●それでも日本代表戦の中継だけはなんとか見る。前半はDFライン、とくに茂庭が不安定で、それにひっぱられて全体が下がり気味になってたけど、後半は相手にも慣れてきたのか落ち着いた。相変わらず点を取れる気配に乏しいし(ジダンやピレスだったら決めてるよなあ、っていうシュートも数本あった)、予選も近づいているというのに、先発メンバーが定まってなくてだいじょぶかよ、とか思うが、とにかく次のルーマニア戦だな、問題は。(9日)

●10日ほど借りていたHDD内蔵DVD-Rとも今日で悲しいお別れ。日本代表戦までせめていて欲しかったが、ともあれパイオニアの新製品、80GBのをすっかり買うつもりになってたら、ソニーがえらいもん出すのを今ごろ知った。こりゃあ年末まで待つしか。と呟いてる人が日本中に350万人はいると見た。●ヘンにもたついてしまった『ザヴィヌル ウェザー・リポートを創った男』(ブライアン・グラサー著 小野木博子訳、2800円)の見本が上がった。店頭は15日頃の予定。(8日)

●昨日も今日も長~~~い打ち合わせをしたため、ゲラや原稿方面が停滞したまま。極力新しい企画は増やさないよう努力する(ってのもミョーなもんだが)しかなさそう。●立ち寄った渋谷タワーで、アメリカ盤は通常のCD仕様なのを確認してから(めんどくさ)、ちょっと高かったけどカサンドラ・ウィルソンの新作『GLAMOURED』を購入。中山康樹さんの「ビーチボーイズのすべて」(えい[木ヘンに世]文庫)と、アンジェロ・イシ著「ブラジルを知るための55章」(明石書店)も。数日前にはディランのリマスター/ハイブリッド版『BLOOD ON THE TRACKS』(CDを持ってなくて好きなアルバムを、と選んだ)とロバート・ワイアット『クックーランド』も買ったんだった。ディランのリマスター(SACDプレイヤーは持ってないので普通のCDのほう)は、気持ち痩せて聞こえるんだけど、こんな録音だったかなあ。「TANGLED UP IN BLUE」「SIMPLE TWIST OF FATE」「IDIOT WIND」「SHELTER FROM THE STORM」などなど、じつに名曲揃いの超名盤なのに変わりはないが。(7日)

●爽やかな秋晴れが続くが、近所を歩いたぐらいで、いつもと変わらぬ週末。久々に部屋の掃除やCDの整理にも勤しんだ。●NHK教育テレビでダニエル・ハーディング指揮マーラー室内管弦楽団@サントリーホール。名前は以前から聞いてはいたが初体験。ふと耳に入った「田園」がやけに新鮮に聞こえて、けっきょく「運命」と2曲を聴き通してしまった。いやあ、すばらしいっすね。まったく奇をてらったところのないオーソドックスな演奏だと思うんだけど、溌剌・爽快、といって軽快すぎもせず、音楽がとにかく自然で生き生きしてる。過剰なロマンティシズムをそぎ落とした感じがとてもしっくり来た。あまり好きではない「田園」がこんなに気持ちよく耳になじむとは。「運命」終楽章のテンポ設定にも違和感がなくすっきり楽しめた。オリジナル楽器も使っているオケの響きが心地よいし、こりゃあぜひ録音してほしいもの。アマゾンで見たらオケは違うがブラームスの交響曲第3番&4番のCDがあった。古典・ロマン派のクラシックは自粛してるんだけど、聴いてみようか。でも、曲が終わったとたんに間髪入れず「ブラボー!」の声。あれだけでコンサートに行く気が失せるね。(5日)

●毎日よく晴れて気持ちいいけど、体調はいまいち。●先週に続いて今週も1冊を校了に。次の校了は20日頃の予定。なんて書くとすっごい仕事してるみたいだな。大須賀猛さんから「沖縄音楽ディスクガイド」を送っていただく。●夜は数ヵ月ぶりに弟夫婦と姪っ子たちを訪ね、なごみつつ食事。こんな愛想のない叔父さんでも、2人ともだいぶ喋ってくれるようになった(笑)。●東京地裁が圏央道用地の強制収用、都知事の代執行停止を決定。(3日)

●きょうはすっかり休養モードだったんだけど、「満月の夕」をテーマにしたイヴェントとあっては見ないわけにはいかず、SHIBUYA-AXへ無理無理出かけ、GO!GO7188、平安隆、HEATWAVE、沢知恵、ソウル・フラワー・ユニオンを聴く。スタンディング・ライヴ3時間はちと疲れたけど、元気そうな中川敬とも久々に話ができたし(あいかわらず良い歌聴かせます)、楽しめました。HEATWAVEは来年早々にアルバムを出すそうな。ソウル・フラワー・ユニオンは年末に10周年(もう10年かあ)ライヴが予定されている。(2日)

●気持ちよく晴れ上がって10月に突入。冷房はもう要らなくないですか? ●とくにファンというわけじゃないんだけど、ちくま文庫から出始めた「志ん朝の落語」1巻、最初が「明烏」で、おー知ってる噺だよ、ってんでつい購入。CDなどの音源から元ソニーミュージックの京須さんが実際の高座を忠実に書き起こしたもので、1巻目には他に「品川心中」「厩火事」「お直し」など男と女をテーマに12編を収録。吉原のことなんてそれこそ小説や落語でしか知らないし、やたら出てくる和装関係の言葉もちんぷんかんぷんだけど(「島田髷の根が、がっくりこう脱けて、斜っ交いンなってる」ってどういう状態? 「藍微塵の着物に茶献上の帯」って?)、けっこう聞き覚えのある噺が多くて楽しい楽しい。通勤の友には最高ですな。全6巻。(1日)