●くるりの新しいアルバム『アンテナ』のCCCD回避が正式に発表されたのは、今日になってからでした。僕の早とちり。ともあれめでたい。ミュージシャンやスタッフががんばって通常のCDで出た、なんて聞くと、こりゃあ買わねば、と思ってしまう今日この頃。しなくてもいい余計な苦労を強いられたわけだし。シングル「ロックンロール」の曲が大したことないみたいに書いちゃいましたが(21日の日記)、リフも耳に残るし、抒情漂う軽快なメロも良いし、すんごい斬新なわけじゃないけど、と言ったつもりだった。ちょっと訂正。●先日のオマーン戦を、中田英寿が公式サイトの日記で振り返っている。いつになく厳しい、思わず気が引き締まるような内容。確かに、本番の真剣勝負にとにかく勝った、その重みがすべて、ということなんだろう。この人には教えられてばかりだ(ユベントス戦は残念だった。ボローニャもラストの精度がなあ)。次のシンガポール戦、見に行けないものか。(23日)
●南からの風が強くて気温も上がり、すっかり春めいてきた。まだ寒の戻りはあるだろうけど、桜の季節ももうすぐだ。●ヤン・ガルバレク『RITES』『;RARUM』(ECM)、大友良英『CATHODE』(Tzadic)、伶楽舎『武満徹/秋庭歌一具』(Sony)、横浜マリノス×城南一和戦、など。(22日)
●木、金と予定していなかったことで時間を取られちゃったので午後は出社。会社からサンスイのアンプ(今はなきAU-α907Limited)を車で運んで、自宅で試聴。明らかに分解能が上がり、高級オーディオっぽい音。ヘタにこれに慣れちゃうと困ったもんなんだが、その分いま使っているアンプの個性も分かって今後の対策の参考にもなるので、しばらく借りることに。カサンドラ・ウィルソン『NEW
MOON DAUGHTER』1曲目のウッドベースは自宅で過去ベストの鳴り方。●くるりのシングル『ロックンロール』と『ZAZEN
BOYS』を購入。曲自体はそう特筆すべきものではないかもしれないけど、くるりはドラマーが良いね。他のメンバーもさぞやりやすいだろう。アルバムはどうやら無事CCCD化を避けられたようで。ナンバーガールを解散させた向井秀徳の新バンド、ZAZEN
BOYSは、ナンバガのビートを解体させたような決然たるサウンドが立派。この次への期待が募る。「ミュージック・マガジン」誌の高橋編集長が「もっさりとした音像」って書いてるけど(3月号P139)、ぜんぜんそういう音ではありません。●U-23代表の韓国戦は田中達也だな、やっぱり。一刻も早くフル代表でプレイさせるべし。にしてもこのチーム、去年の5月に一度見てるけど、ずいぶんたくましくなったし、平山は闘莉王が入ったこともあってバランスも良くなった。世界を相手にした舞台をもっともっと経験させておきたいね。(21日)
●たとえば「選手たちのコンディションはどうだったのか?」「意志の食い違いによるパスミスが目立ったが、その原因は?」「中盤でボールをうまく回せなかったのはなぜなのか?」「マンマークで守られたのはやりにくかったのか?」「サイドからのクロスがほとんど上がらなかったが、どうすれば改善できるのか?」「ルーズ・ボールをことごとく取れなかったのはどうして?」「相手と競り負けたり、簡単に倒されてボールを奪われるシーンが多かったが、オマーンの選手はそんなにフィジカルが強かったのか?」「次のアウェイではどういう風に戦えば勝てそうか?」といった、試合中に去来したさまざまな疑問が僕にはある。こういう厳しいことこの上ない真剣勝負を戦うという貴重な体験を終えたばかりの当事者たちに、フリーで質問をぶつけられるという特別な立場を得たアナウンサーやレポーターたちには、とことんどうでもいい、しかもあらかじめ答えが見えるような、しかもしばしばまったく同内容の質問を繰り返すのではなく、どんなことでもいいから(選手に口を開いてもらうためのきっかけ以上の意味を持たない台詞ではない)自分自身が感じた疑問をぶつけてもらいたい。「勝利という結果が出たことは良かったと思います」という答えを聞いたあとにどうしてまた「今日の結果についてはどう思いますか?」と訊くのか? 「なにを考えながらプレイしていましたか?」って、そりゃ「勝つこと」に決まってるでしょうが。嫌みな言い方で悪いけど、サッカーに興味ないでしょ? 毎度毎度、中田英寿を呆れさせるような質問しかできなくて恥ずかしいとか悔しいとか思わないの? 思わないんだろうな、きっと。●久保万歳! ってわけで結果オーライではあるんだけど、とにかく疲れました(寒かったし)。客席がきちんと真剣勝負なモードになっちゃって、これがW杯予選というものか。これからは、臆さず力まず焦らず、持てる力を存分に発揮して、もっと内容の濃い試合を見せてください。頼みます! (18日)
●昨年「スウェーデンの社会福祉と音楽療法」を上梓された大滝昌之さんと新宿でお会いする。僕が編集を担当したわけではなく、大滝さんが青年だった頃(^^;)参加していた劇団の仲間だった人が、僕の学生時代から知りあいだったというご縁。数十年前のある日、急にフォーク・ギター1本かついで日本を後にした、とかあれこれ聞いていた話から想像していた風貌、人柄はそう外れていなかった。簡単なスウェーデン語を教えてもらうことに! ●夜はスガシカオ@studio
coast(やっと見ることができた)。こういう音楽がこれだけ売れる時代になったのねえ、てな年寄りくさい感想はさておき、沼澤尚のドラム(1発のスネアの重みと跳ね具合、トップシンバルの鮮やかな音色、まったくうるさくならないハイハット、とかいう以前にとにかく最高のグルーヴ!)を核に延々繰り出される大ファンク大会は、もう言うことなし! 気持ちよ~く体を揺らし続けた2時間ちょっとでした。テレビとかで見たことなかったわけじゃないけど、ここまで徹頭徹尾ファンク・バンドだったとは。といってもいわば“しょうゆ味のファンク”で、僕にはそれがちょうどいい具合。前半はシングル曲中心の選曲だったのもありがたかったけど、楽曲のクオリティがそうとう高くないとできない芸当ですな。またチケット取ろ! ●このライヴハウス、まだ新しいようだけど、天井が高くて換気も良く、なによりもPAが素晴らしかった。もちろんエンジニアの腕も良いんだろうけど、低音がこれだけバランス良く響くハコも珍しいのでは。女性客にはかなりステージが見にくい構造なのが問題ではある。それと、コインロッカーの鍵に番号札が付いてない! おかげでロッカー前に人が密集、周辺が大混乱で危険な状態になった(思わず整理係を勝手出たくらい。スタッフがいない!)。責任者出てこい! つうか主催者は反省すべし。マジ危ないよ、あれは。明日行く人いたらくれぐれもご注意を。(17日)
●「ミシェル・ルグラン 風のささやき」の見本が上がったので、著者の濱田高志さんと渋谷のHMV、タワレコ、バウンス編集部、ミュゼ編集部を回る。どこも非常に反応が良くてありがたい。●夜は高円寺「円盤」で副島輝人氏の連続講座「日本フリージャズ史を語る」第11回(やっと行けた。司会はDIWの沼田さん)。といっても今晩の主役はゲストの大友良英。素人にも分かる言葉による刺激的な卓見が続いて、空腹も忘れたほど。メモ取ればよかったかなあ、やっぱり。初期山下洋輔トリオとかも凄かったけど、佐藤允彦と富樫雅彦のデュオによるライヴ盤『コントラスト』(イーストワークス)はからだの中を稲妻が走るような衝撃を受けた。佐藤允彦って、ひょっとしてものすごく僕好みのミュージシャン? 『インスピレーション&パワー』もちゃんと聞き直したい。帰りの道すがら、同業編集者M氏と「会社の外に出ないとダメですよねえ」としみじみ。深夜の阿佐ヶ谷で蕎麦食って帰宅。(16日)
●「いーぐる」後藤さん、編集者の柴さんと今年2度目の新年会@たまねぎや。だいぶ溜まってきた原稿をいただく。日本ポピュラー音楽学会、加藤典洋、ギネス、ミルフォード・グレイヴス、AECO、グールド、モーツァルト……。●佐野洋子「神も仏もありませぬ」読了。カラカラと笑えてホッとしながらしみじみと泣ける。強力にお薦め。(13日)
●コートがいらないぐらいのポカポカ陽気。●ディスクユニオンで営業したあと、アイルランド音楽方面の人たちと台湾料理屋で今年初の新年会(遅っ)。ペンタングル『Solomon's
Seal』、COIL(J-POPのほうではない)『3』、ダーヴィッシュの3作目『アット・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ』(ヴェーセンの「Josefine's
Waltz」を彼らと共演している~胸熱くなる名演~というのにこれだけ聞いてなかった。近作とは違った味わいの、評判に違わぬ傑作)を購入。●ロイ・キーン自伝読了。彼がマンUで過ごしたキャリアはほぼ同時体験できているので、子細に描写される試合の一コマ一コマを思い出しつつ楽しめた。一昨年のワールドカップ辞退のいきさつもやうやく納得。試合のたびに故郷コークからドカドカ押しかける親類縁者たちとか、いかにもアイルランドらしい話も満載だけど、さすがに熱心なサッカー・ファンにしかお薦めはできないかな。ちょこっとクセはあるけど、翻訳(東本貢司)もスムース。(12日)
●アメリカのタワーレコードが会社更生手続きを申請したことを、今日の朝日新聞経済面がわりと大きく報じていた。その理由をアマゾンなどネット通販の伸長とデータ配信の普及に求めているのはまあいいとして(ネットとかだとウォールマートのような小売りスーパーのチェーン店との競合に負けた、とか伝えられてもいる)、「『ナップスター』などが違法とされて以降、米国では1曲99セント程度で配信するサービスが広がっている」という記述からあとは、日本のレコード業界の言い分を代弁してるだけになる。日本のレコード会社は「違法な無料ファイル交換」に脅かされており、それに対抗するために「レーベルゲート」や「エニーミュージック」などの配信事業を立ち上げた、CDの小売店も「アジアからの逆輸入CD」の影響を受けていて、ともに危機感を強めている、と。アップルやナップスターが今年中に日本でサービスを始めることも紹介しているが、日本の業界がコピーコントロールCDを導入したりレコード輸入権の創設を求めたりと、自分のクビを締めるというか音楽を殺しちゃうような悪あがきばかりしていて、リスナーが共感できる有効な対策をとれずにいることには触れていない。経済部の記者にとって音楽業界なんてごく小さな世界だろうから、関心も薄いのかもしれないけど、CCCDのときもずいぶんおざなりな記事しか出なかったしなあ。●そうそう、前々からほんとうに謎というか、信じられないというか、アホちゃうかというか、なんとかしたらどうかと思ってるのが、多くの日本のミュージシャンの国内盤の定価。本体価格2913円、税込価格3059円ってさあ、ありえない設定じゃない? そもそも3%の消費税が導入されたときに税込でちょうど3000円になるように、ってんで決めた値段なわけでしょ、2913円てのは。いまだにそのまんま放置してるってどういう神経なのか? 僕らだって書籍の定価決めるときに税込で3000円超えるかどうかってすごく神経使うし、CD買うときのこと考えたって税込3000円以内ですめばずいぶん買いやすくなる(実際もっと買うよ、日本のミュージシャンの新譜)。洋楽のCDは下げられたんだし、できないはずはない。2850円じゃなんでダメなのか? ●前から弱点と分かってはいたオーディオ用の電源タップをオヤイデ電気のOCBシリーズに替えてみたら(借り物)、なんていうか汚れが落ちて(ノイズが減った)音がクリーンに磨きあげられた具合で気持ちいい。ヴォリュームも30分ぐらい大きくできる感じ。やっぱ買うかなあ。●ヴェーセンのオフィシャル・サイトができた。公式アルバムを4枚も持ってない!ことが判明。問題だ。(11日)
●小野島大さんの企画・監修で今月25日に発売されるニュー・ウェイヴ・トリビュート盤がCCCD化される、というのはいささか旧聞に属するけど、顔ぶれといい選曲といい(ROVOがポップ・グループの「We
Are Time」!とか)、楽しみにしていただけに残念無念。ここで、「この際いいか」とか思って買っちゃったりするわけにもいかないもんなあ。そんなことしたら今まで我慢し続けてる吉田美奈子やケパ・フンケラやモスカの立場はどうなる? だよなあ。ああっ、もういったいいつになったらこんな悩みから解放されるのか? ●その小野島さんの日記もだけど、今年に入ってからなじみのサイト(ページ)が次々とすごい勢いでブログ化されている。いつのまにか再開されていた藤川毅さんとかも。いまだになんだかよく分かってないけど、これは楽しそうだな、と初めて思ったのはとんがりやまさんのとこを覗いたとき。なんだかスマートに見えるし、とにかく楽ちんらしい。と惹かれつつも、面倒くささが先に立つのであった。(9日)
●土曜日は久しぶりにLDプレイヤーの電源を入れ、プレゼント用にマイルスやコルトレーンの映像をVHSにダビング。棚を見返すとけっこう面白そうなディスクがあるある(^^;)。全部DVD-Rに落とせちゃえたら楽しいだろうなあ。●風もなく暖かかった今日は、キーラ3人組のライヴ@渋谷ブエノス。やってることは単純といえば単純なんだけど、不思議な愛嬌もあって惹きつけられます。客席には若い女性が目に付いた。●マレーシア戦のフル代表に比べるとU-23(オリンピック)代表のほうがはつらつとプレイしているように見えちゃう。期待を一身に集める平山は、最後の最後のプレイで悔いを残したかもしれないけど、あれがかえって良かったんじゃないかな。期待はいっそう募るばかり。とはいえ全体にパスの精度やスピードがまだまだだよなあ。にしても民放の中継はほんとうにうっとうしい。視聴率を上げることばっか考えてるとああなっちゃうんだろう。五輪最終予選見るのはちょっと憂鬱かも。●ジョニ・ミッチェルの『トラヴェローグ』、2割引の国内盤を見つけたのでようやく購入。すっかりジョニづいてます。この前買ったDVD『シャドウズ・アンド・ライト』は、画質は諦めるとしても(79年収録)、ライヴ・シーン以外の映像がやたら挿入されててがっかり。センス悪いんだもん。当時はあれが洒落ていたのか。それともなにか深~い意味があるのだろうか? 少しでも動くジャコやメセニーを見たいって人以外は音だけで充分かも。●「ライヴ」欄、間違いを直しつつ、あれこれ追加しました。(8日)
●トップページにジャケットを載せたヴェーセンは、4月のトリオでの初来日がとにかく楽しみなスウェーデンのグループ。いま一番入れ込んでるバンドのひとつで、って似たようなことは何度も書いてるけど、聞けば聞くほど素晴らしい。このベスト盤は発売元ミュージックプラントのオリジナル編集で、ぼくもデザイナーさんを紹介してディレクションみたいなことでお手伝いした。イメージ通りシャープなものができあがって嬉しいかぎり。ヴェーセンの音と映像がここで見聞きできるので(右上のスウェーデン国旗から入る)、未体験の方はぜひぜひぜひ。●右端のマイルスは、宝島ムック「マイルス・デイヴィス海賊盤ベスト50」の発売記念イヴェント@いーぐるで聴いて仰天。そのときかかったものじゃないけど刺激されて買ったブートです。69年、ショーター、コリア、ホランド、デジョネットのクインテットによるライヴ。モノラルだけど、これがまたじつにスリリングな演奏で。フィルモアのコンプリート版とかも凄まじかったなあ。オフィシャルで出せばいいのに。(4日)
●節分。ちょっと雨模様だったけど暖かだった。●校了したばかりのルグラン本のチラシをイラストレーターでちょこちょこと作ったり、その葉書サイズ版を試してみたり、何カ所かプロモーションの電話したり、ご無沙汰のお詫びメールを書いたりしているうちに、1日が終わる。今頃になって咳が……。朝日新聞の近藤康太郎さんから著書『アメリカが知らないアメリカ』(講談社)を送っていただく。あの国を彼のように隅々まで体験したわけではもちろんないが、アメリカへの愛情と違和が同居している感じ、とてもよくわかる。●パリ、カンヌ、カボ・ヴェルデ、ハイチ、と年末から年始にかけて海外に行っていた友人・知人が多く、ちょこちょこと話が聞けて楽しい。でも自分で行けたらもっと楽しい……。(3日)
●おおっ、10日も間を空けてしまった。なにをしていたかというと、体調を維持するための睡眠時間だけは確保しつつ、ひたすら仕事。ようやく昨日の午後10時にミシェル・ルグラン本を校了にできた。風邪はけっきょくさっぱり回復していない。なんと1月はライヴに一度も出かけられなかった……。財布を開く機会が少なかったのはよかったけど、新年会も次から次へと2月に回しちゃったし(まだアルコールはま~ったく欲しくならない)、先送りにせざるをえなかった仕事も山積み。編集者が著者や訳者さんを待たせてどうする!(2日)
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