交わる世界 Faile(34)「さよなら思い出」

俳優の夏夕介さんが亡くなった。

わたしにとっては、遠い昔の思い出の中に存在した俳優さんです。

もうあまり知っている人はいなくなっていると思いますが、日本テレビで放送した、特撮作品を舞台でショー化した、「突撃ヒューマン」というものの、ヒーローを演じた方でしたし、更にいうなれば東映の特撮作品の「キョウダイン」でもヒーローを演じていた俳優さんでした。

この両作品のメインライターを務めたのが私だったのです。

こうしたかかわりのあった人が、次々と去っていくことが多くて大変残念なことですが、つい最近のことですが、この番組の放送時の記録が残されているということが判りました。

もう何も残ってはいないと思っていたので、大変嬉しいことだなと思っていた矢先の訃報でした。

この番組を創るきっかけになったのは、ウルトラマンのデザインを担当した成田亨さんが、ある事情で円谷プロを離れて企画した番組で、そのメインライターを務めたのが私だったということもあって、いささか思い出のある作品だったからなのです。

特撮といっても、これが変わっていたのは、舞台でやるというのです。

大体、特撮を舞台でやるというのは、無茶な話ですが、それを敢えてやってみようというのが、成田氏の企画意図で、その情熱に動かされたのがきっかけでした。

すでに成田さんは他界してしまわれていますが、彼はそのヒーローのデザイン、怪獣のデザインに情熱を注いでいました。

脚本を執筆する私と同志の脚本家の苦心も大変でしたが、随分頑張っていらっしゃったことを思い出します。

ヒーローに関しては、当時の人気バンド、オックスのメンバーであった夏夕介さんが決まっていましたが、なかなか止血感のある精悍な青年だと思っていましたが、ヒロインの決定に関して、わたしは日比谷にあった当時の渡辺プロダクションへ、プロデユーサーと一緒に、ヒロインのオーデションをするために行ったことがありました。

当時の人気アイドルであったキャンディズのメンバーと次々と逢って、最終的に決定したのが田中好子さん・・・通称すーちゃんでした。

庶民的な雰囲気を持った彼女と熱血青年を演ずる夏夕介さんのコンビで、前代未聞の舞台で演ずる特撮番組をやったのでした。

思い出が沢山あり過ぎるので、この辺にしておきますが、数年前に青森に成田さんの美術館が出来たのを機会に、あちらでシンポジュームがあったのですが、その時の記念写真と共に紹介したくて書きました☆

成田展会場前の写真
ヒューマンとの写真