交わる世界 Faile(59)「ピーコック革命の今」

映画、小説、テレビなど、今や80年代の勢ぞろいですが、またまた登場したのが男性のお洒落ということです。

昨今は「綺麗男」、つまり(きれお)というのだそうですが、80年代にあった男のお洒落が話題になった時は、ビーコック革命という言い方をして、マスコミを騒がせたものです。ピーコック・・・つまり孔雀の雄が羽を広げた時の、美しい姿に男のお洒落をひっかけたわけです。

それまで男のお洒落などということは、ほとんど無視されていたし、却って忌避されていたのですから、この時の流行については、顔をしかめる人も多かったように思います。

あの時もそれを実践したのは若者でしたが、その時の若者が、今や社会のリーダーになってきているのですから、ふと思い出して80年代のファッションを掘り起こして、現代に通じさせようとした結果ではないでしょうか。その呼び名も現代風に変えて、「綺麗男」(きれお)としましたが、狙うところは80年代とほとんど同じです。

時代は巡るといいますが、結局それぞれの若い時に体験したものは、自分が一人前になったら、それを広めてみたいという欲求に駆られるのでしょう。

一時映画なども、少年時代に観た作品を、大きくなったら自分で作ってみたいという気持ちになって制作する人が、かなり現れてきました。

こんな風にしてさまざまな文化は、継承されて行くのですね。

「今どきの若い奴は」などとは言わないで、ふと、自分の若い時を思い出してみませんか。きっと「綺麗男」ファッションに夢中になっている人たちを、冷笑するようなことはなくなるでしょう。彼等もいつかはまた、その時代の若者に対して、懐かしのファッションを発信する時がやって来るのでしょうから。

昨今のニュースを見ながら、こんなことを考えたりしました。 ☆