観る世界 Faile(45)「変身願望」

最近海外向けの広報誌の取材で、昨今、アニメーション番組で、擬人法を使った番組が大変多いのだけれども、どういう理由があるのだろうかということを聞かれました。

そんなことがあるのだろうかと、一瞬戸惑いましたが、確かに調べてみると、そんな傾向があるかなと思われることがありました。

最近は変身願望ということが盛んにいわれて、何か今の自分とは、まるで違ったものに変わってしまいたいという気分が、横溢しているように思えてきたのです。

アニメなどで擬人法などという表現が盛んに行われているのは、それはそのためだと思うのです。その特殊性なこともあって、どんなことでも、自由に表現できるというメディアの利点のためです。

やはり時代の閉塞感が、そういった願望を叶える対象としてアニメーションにそれを託したのでしょう。とにかく何か窮屈な思いが、まともな人間の状態では覆させられないのでしょう。

かつても擬人キャラクターが活躍した時代がありました。

絵巻物の鳥獣戯画がその元祖であると言われていますが、そんなに古い時代ではなく、割りに最近の者としては、「快獣ブースカ」などという特撮番組はまさに擬人キャラクターの代表で、その系統を受け継ぐものとしては、「がんばれロボコン」という番組がありました。

彼らは人間と同じように喋りもしますが、動物であったりロボットなので、人間が理解できないために、逆に人間の駄目なところを指摘して、問題を堤起していきました。つまり人間にある問題点を、こういった方法で指摘していったのです。

擬人法という表現の仕方には、色々と表現するのにこれと言った決定打がない時には、絶好の表現法なのかもしれませんね。いうなれば、擬人法が持て囃される時代は、いつも一寸窮屈な時代なのかもしれませんね☆