思う世界 Faile 16 「オンリーワンの誤解」

もう大分前になりますね。

しかしSMAPの「世界に一つの花」が、いつまでも歌われていると、つい先頃から言われ始めた気がするのですが、実はもう大分前からで、所謂時代の変革期から叫ばれ始めたように思います。

旧世代の、必死で上昇しようとしてきた時代を否定して、もっと気楽になって生きようとし始めた時からの、新しい時代の思潮であったように思います。

NO1よりONLY ONEであれという言葉が、象徴的に叫ばれるようになりました。大変新鮮で、魅力的にも聞こえてきました。

わたくしも、それでいいと思うことがありました。

兎に角わたくしたちは、いえ、わたくしはといったほうがいいかもしれませんが、なれないにしても、とにかく一生懸命に頂上を目指して努力していました。時にはもうちょっと息を抜いて、楽な気持ちになったらと思うことも、あるにはありましたが、なかなかそんな気分にはなれませんでした。下手にそんなことをしてしまったら、周囲の人が頑張っているのに、置き去りになってしまうのではないかというような不安になってしまうからです。とても気楽な気分にはなれませんでした。

それにONLY ONEであることの不安ということもありました。もし社会的にそれが認知されないとしたら、まったくそんなものが、存在していることさえも認めてくれないし、こちらが生きつづけていくことも、困難になってしまうであろうことは、明白だからです。

そんな気分で、ずい分長いこと仕事をしてきたものだなと述懐してしまうことがあります。昨今はもう一寸気楽になってもいいと思えるようになりました。年齢を重ねてきたことと、世間的に、みなそのような雰囲気になってきたからかもしれません。今や、ほとんどの人が、ONLY ONEを目指せばいいと思うようになってきているのではないでしょうか。

要するに自分流でいいという風潮になったので、とにかく何かに縛られて、窮屈な思いはしなくても、自己流で勝手にやればいいという訳です。そのために、プロの作業よりも、アマチュアの作業がもてはやされたり、時にはびっくりするようなものが飛び出してきたりもします。

しかし・・・。

どんあ時代でも、行きすぎというものが起こってしまいます。 ほとんどの人が自己流になってくると、どうしてもそれを誤解してしまう人が現れてしまいます。

その結果、行きすぎてしまう・・・つまり、困った問題を生んでしまうようになるのではないでしょうか。

プロの世界でもそうですが、アマチャの世界でも、これまでの決まりごと、最低限の決め事まで無視をしてものづくりをする人が多く、それでいいと思いこんでいることがきてしまいました。 それに拍車をかけたのが、所謂仮想現実・・・バーチャル・リアリティという表現方法というものです。

若い人の創作物を見ていると、変わっていればいいのだろうと言わんばかりのものが多く、中には滅茶苦茶なものが多くなっているんです。それがバーチャルなのだと思い込んでいるようなものです。つまり最低限守っていなくては、成り立たないもの作りのルールというものを、まったく無視して・・・というよりも、まったくそいったことは知らずに、創作する者が現れてしまっているのです。

これでは、どうしても疑問を投げかけたくなってしまいます。 バーチャル・・・つまり仮想なのだから、自由に勝手にやってもいいじゃないかというか、時には、それが滅茶苦茶で、まったくまとまりのない、理解に苦しむ雑然としてしまったものであっても、だからこそONLY ONEなのだと、開き直られてしまいそうです。そんな作品が次々と登場してしまうことは、正にバーチャル・リアリティの誤解であり、行きすぎというものです。 このまま放置しておくと、ほとんどの場合、バーチャルだけでリアリティは先ず無視されています。つまり何の努力をしなくても 、勝手な想像だけでものづくりをしてしまう風潮が広がっていってしまうのです。

そろそろこのバーチャル・リアリティということが、ONLY ONEであることの基本理念であることには、疑念を投げかけなければならない時がきているのではないでしょうか☆