思う世界 Faile(34)「背中で仕事をする人」

この頃いろいろなことを考えます。

みな仕事に向かって真正面から取り組んでいますし、みな姿勢も正面を見て頑張っています。

昔は内職の人が多かったので、子供たちは知らず知らず仕事に一生懸命に向かい合っている、父や母の後姿を見ながら育つと言われていました。

ところが昨今は、ほとんどサラリーマンになってしまうので、父、母は会社でどんな姿で働いているかということには、まったく関係なくというよりは、まったく無関心で育っていきます。

父はほとんど何も言わなくても、こうしてひたむきに仕事に向かっている後姿を見せることが、無言の教育になると言われていたのは、もうはるか昔のことになってしまったのでしょうか。

親への感謝の気持ちがないままなので、それがさまざまな問題に発展してしまうことがかなりあるようです。

ところがごく最近のことですが、後姿を見せながら・・・つまり作業をしている姿を見せながら、頑張っている人がいるということに気がつきました。

ほとんどそのようなことを口にする人はいなくなってしまいましたが、つい最近私は、あることで背中を見せながら、仕事をする人を発見しました。

指揮者・・・コンダクターです。

彼はオーケストラのメンバーを見ながら、演奏を理想的にまとめる努力をしていますが、それは後姿から感じ取るしかありません。 彼はやっと仕事をし終えた時、観客へ向き直って、作業の出来についての判断を求めます。

それに対して聴衆は、拍手でこたえるわけです。

感謝を表現する訳です。

後ろ姿で仕事をして、その結果の判定を聴衆に任せるという、大変男らしい仕事師こそ、指揮者・・・コンダクターなのだということに気がついたので、お話しておこうと思って公開しました☆