思う世界 Faile(35)「並ぶということ」

日本では飲食店の人気店ともなると、その店の前には、入店を待つ客が延々と並んでいる光景があります。

そればかりでなくても、ファッション関係の店が開店する時、量販店での人気商品の販売の時等々、とにかく並ぶという光景をよく見かけます。

こんな光景を見なれている私にとって、列を乱して我先になるという光景は、戦後間もなく見かけて以来、ほとんど目にしなくなっていたのですが、いささか時間が立ち過ぎていて、ここで取り上げるには恐縮なのですが、中国取材の折に、北京から西安へ向かう時のことですが、とにかく時間どうりに飛行機が着くかどうアも判らないと言うので、空港ロビーで深夜まで待ったことがありましたが、ようやく西安へ引き返す飛行機が到着したときのことです。

私と編集担当は、チケットがあるのだから、慌てることはないと、悠然としていたのですが、なぜか中国の乗客は、一斉に飛行機に向かって走るのです。

その意味がまったく理解できませんでした。 ところがその理由がはっきりとしたのは、飛行機に乗り込んだ時でした。

私たちが持っている搭乗券の席には、すでに座っている人が居るではありませんか。

私たちは直ぐにスチュアーデスに抗議をしたのですが、まったく埒が明きません。乗客も私たちの抗議にもまったく反応をする気配もなく、平然としているのです。

これでは、わざわざ座席指定のある搭乗券を買った意味がないではありませんか。

結局スチュアーデスは、空いているところへ座ってくれというだけで、違法にわたしたちの席に座った者に、そこをどくように指示することもありませんでした。

結局あの頃はまだまだ、そういったことに慣れていない市民は、我先に席取りをするしかなかったのでしょう。

社会訓練が出来ているか、出来ていないかということを、実際に体感してしまったのでした。

果して、整然と並ぶという習慣が、現代の中国で徹底されているかどうか、大変興味のある問題です☆