思う世界 Faile(59)「サリン事件の恐怖」

最近、オーム真理教関係の指名手配犯人が、自首したり逮捕されたりして、思わずその事件の恐怖を、新たにした人も多かったのではないでしょうか。

実は私も、あのVXガスを警戒しなくてはならなかったことがあったのです。

私が毎日新聞から依頼されたエッセイを夕刊に欠いたのがきっかけでした。その翌日には郵便受けに、オームの道場へ出て来いという挑戦状が入っていら理、拙宅の周辺にビラが大量に張り出されたりしたのです。

勿論、毎日新聞社にも通報しましたが、警察にも通報しました。

直ちに築地の配備されていた特命の刑事が数名調査に来て、私から事情を訊いたことは勿論ですが、近所の家、駐車場の自動車などに張り付けたビラをはがしましたが、その時たちは、これからしばらく刑事を張り込ませて、異様な行動をとるものがいたら逮捕するということで、自宅周辺には、夜の十時うらいまで張り込んでいたことがありました。そしてそれと同時に、仕事で出かける私に、車に乗り込む時は、必ず本化ファイルケースなどで、首筋を隠しながら乗り込んで下さいという注意をされました。

あの頃、そのVXガスで犠牲になった人も大分いましたので、本当に恐怖の十日間でした。

幸いに刑事の張り込み中に、おかしなことは起こらずに終わりましたが、拙宅周辺の世田谷地区には、在家信者がかなりみるので、如何にもご近所といった姿で近づいて来て、殺人ガスを吹き付けてくるかも知れないという恐怖は、暫くつづきました。

実に、いやな時代の思い出が甦ってきてしまいました。

もうあのようなことは二度と起こらないようにしたいと思うのですが、かなり危険な宗教が、その信者数を増やしていきつつあるということも聞きます。

どうか、もうサリン事件といった国家転覆を図るような狂信的なものだけは現れないようにしたいものです☆