知る世界 「桂川日記」(45)「別れの時」

いよいよ別れの時がきました。

私が京都嵯峨藝術大学へ奉職してから四年が経過して、その時入学して来た学生も、今年、卒業という時を迎えたわけです。 長いようで、あっという間の四年間であったように思えます。

まだまだ高校生時代の幼さが漂っていた入学時の彼らを思うと、最近出合う彼らが、何と大人の雰囲気に変わってきたことか・・・。時代が大変混迷を極めていて、そんな時代へ若い人を送り出すというのは、実に気がかりなことですが、それはどんな時でも、そういうことなのかもしれません。四年間も付き合っていると、いつの間にか親のような心境になってしまうものです。 これから世の中の荒波の中で、一生懸命に生き残っていって欲しいと思っているところです。

間もなく卒業式がやって来ますが、兎に角彼らが前向きで明るいのが救いです。

今の気分をいつまでも失わないで、目標を見つめながら進んで行ってほしいと思っています。

彼らは四年間の研鑽の成果を、京都市立美術館で発表するのですが、残念ながらそれを見届けに行けられませんでしたが、いつも授業のアシストをしてくれている助手のHさんが、何枚か写真を撮ってくれ、わざわざ送ってくれました。「絵本・桃太郎」「チョコの骸骨」「香のする灯篭」です。それぞれ趣向を凝らして発表したようです。きっと他の学生もそれぞれ、芸術大学の学生らしい研究発表をしたに違いありません。写真が限られていましたので、すべてが紹介出来ないのが残念です。

通常の大学の研究成果である卒業制作として、卒論を書くのと同じように、芸大ではこうした成果を美術館で発表するのです。 どんなものを制作しているのかなと、大変気になっていましたが、それぞれ工夫して制作に取り組んだようです。昨今は、厳しい就職の活動もしながらの制作なので大変ですが、「ゆとり教育」の真っ只中の世代ですが、彼らはまだまだいい気分を持っていたように思います。どうか時代の壁を一生懸命に乗り越えていって欲しいと思います。

間もなく訪れる別れの時・・・まだまだ幼かった学生たちが、社会人として巣立って行くのを見届けたいと思っています☆

絵本・桃太郎の写真
チョコの骸骨の写真
祇香のする灯篭の写真