知る世界 「旅雑記」(59)「法華寺付近」

奈良の探訪をつづけている最中で、光明皇后・・・聖武天皇の奥さんですが、彼女が建てた寺、法華寺を尋ねました。

ここで彼女は、天然痘にかかった庶民の救済に尽力したということです。普通であったら、とても、そういった患者に触れることは、恐れられていたこともあって、あり得ないことであったのに、皇后という高貴な方が、彼らの肌に触れて体の汚れを拭ったと言います。

突然、法華寺の話になりましたが、この近くに、在原業平が建立したという不退寺という史跡があるのです。

本来の目的は、その不退寺を尋ねるのが目標だったのですが、大変近くにあるというので、この法華寺まで足を延ばしてきたのです。

奈良時代の最期の巨星夫婦だったわけですから、現在もそんな風格を感じさせるところでした。流石にここは境内も広く、ゆっくりと休めるところですよ。

それからは、目的の史跡へ向かうことにしましたが、前者と違って、ここは歴史的な敗者ともいえる平城上皇の仙洞御所であったという、萱の御所という宮殿に作られた寺です。

この不退寺は、平城天皇の親族に当たる、在原業平が朝廷の許可を得て、父の阿保親王供養にもなるというので建立したところです。

今回は、二度目の訪問で、その機会を利用して、法華寺まで足を延ばしてみたのでした。

この不退寺には、聖観音立像もあるのですが、真偽は別として、一説ではその像は業平が彫ったとも言われているものです。 昔は、かなり広大な敷地に、宮殿が立っていたのでしょうが、今はこじんまりとした寺の佇まいになっています。

機会がありましたら、行ってみるのもいいのではないでしょうか。

こんな風にして、取材を積み重ねながら、小説を書き進めているのですが、多分来年の春には発表出来るでしょう。

猛暑の中の取材は、もう二年になるのですが、ようやくその終着点へ差しかかったようです。少し、早いのですが、お知らせしておくことにしましました☆

不退寺の写真
法華寺の写真