楽しむ世界 Faile(21)「ひとくち古代史考」(ツキ)

「おっ。今日はツイてる」

「いやぁ、今日はツイてねぇなぁ」

「ああ。今日は、ツキに見放されちゃったよ」

こんなことを、ごく日常的に口にしたり、耳にしたりしたことがあるでしょう。つまり、巡り合わせがいいとか、悪いとかいうことを言っているわけなのですが、今回はこうした日常的に使ったり耳にしたりしている、「ツキ」という言葉についてお話したいのです。

こうした話で使われる「ツキ」ってなんのことなんだろうか。 そんなことを考えたことはありませんか。

ところがこれが、古代と関係がある言葉なのだということには、気がつかないでしょう。

それが大ありなんです。

超科学の現代とはいっても、実はまるで無関係だと思っている古代の習俗を、まるで無抵抗にやったり、使ったり、楽しんだりしていることが、かなりあるんです。

古代という、まだまだすべてのことが未開発の時代では、昼はいいとして、夜の闇は想像以上で、所謂漆黒の闇に支配されます。照明技術が発達、進化している現代人は、まるで不夜城のような街に生活しているので考えられないかもしれませんが、当時の人々にとっては、夜空に君臨する月の存在ほどありがたいものはありませんでした。

太陽 … 日輪の輝かしい存在と比べて、月はあくまでも地味な存在ですが、古代人にとっては、極めて大事な存在で、彼らの生活上、絶対に無視することはできませんでした。 「ツキ」という言葉の原点は、夜空に君臨している「月」から きているのです。

つまり神の威力が、自分に及んでいない … つまりその恩恵に浴していないという気持ちを表現したり、またその反対に、大変その威力が及んでいて、その恩恵に浴しているということを、「ツイていない」とか、「ツイている」という風に表現するわけです。昔。「狐ツキ」などということが、よく言われていたことを、思い出されるでしょう。何か夢中でやっている様子を、「何かに憑かれたようだな」と言ったり、ある瞬間からすっきりとした様子を、「何か憑き物が落ちたみたい」などとも言いました。つまり「ツイている」「ツイていない」というのは、通常、神力、魔力が人に憑いたか、憑いていないかを言う時に使われるのです 。

ところであなたは、「月」の神名をご存知ですか?

月読命 … (つきよみのみこと)などと仰ってはいけませんよ。正解は(つくよみのみこと)と読むのです。つまり「憑く」なんです。もうこれで今回の問題は解決ですね。

ツキがあるとか、ないとかということは、つまりツクヨミノミコトがその神力の威力を及ぼしてくれるか、どうかということなのです。更に言うと、ツキは月の威力を及ぼしてくれるか、どうかということなのです。更に言うと、ツキは月の威力を及ぼしてくれるか、どうかということなのです。

更に言うと、ツキは月の威力が及ぶということなのだということを、知っておくといいのではありませんか。

どうか「ツイているとか、ツイていない」とか言う前に、たまには夜空を見上げて、神のご加護を祈ってみませんか。

古代という時代には、結構楽しめる素材が沢山あります。

あなたも古代の再発掘をしてみませんか☆