読む世界 FaileFaile(59)「詩心」

昨今は、兎に角現実主義というか実話主義というか、生々しいものが全盛で、創作された世界のものへの関心が薄れてしまっています。

現実の変化が激しくて、ざらざらとした手触りのものへの興味が優先で、想像された世界や洗練されたものへの無関心が進行しすぎてきています。

しかも次から次へと洗練される前のものが、送り出されてくるので、それで満足してしまう人が多くなってしまいます。その分洗練して、洗練して磨き上げたものへの関心が、薄れてきてしまっています。

現代はそういった粗っぽい素朴さと、磨き上げられた高度なものとの差が激しくなってきているのではないでしょうか。

こんなことをお話しするのも、実は最近親しい詩人の佐藤勝太さんから、最近作を恵贈して頂いたのがきっかけでした。

最近は詩心を失ってしまっているようなことが多いなと思う、正に現実主義が全盛です。

表現する言葉を、洗練して、洗練して、磨き上げた上で作り上げる詩の世界です。厳しい現実の世界を描くこともあれば、夢の世界へいざなってくれるようなこともあります。

短な言葉の表現に籠められる、作家のエッセンスを読み取る楽しさは、次第に失われてきてしまっているのでしょうか。

かつて詩人の「金子みすず全集」へ、エッセイを寄稿したことがありましたが、詩と大いに関係のある歌詞ということなのですが、最近は死というよりは、メッセージです。そんなことから若い人は、詩というものがどんなものかも、判らなくなってしまっているのではないでしょうか。

もう一度、洗練された言霊というものについて考えてみる必要があるのではないでしょうか☆