読む世界 Faile(58)「向島と軽井沢」
スカイツリーが誕生して、すっかり向島を中心とした下町が注目されるようになりましたが、どうも観光目当ての方には、その周辺にはあまり興味が湧かないようなのが、残念です。
今回は、普段あまち取り上げられないところを紹介しようと思います。
勿論、折角「読む世界」で書くのですから、それに少しでもかかわるようなことはないかと考えました。
実は私の出身高校は、この下町の「墨田川高校」というところなんです。作家の先輩に早乙女勝元、後輩に宮部みゆきがいます。
校歌を作詞した方が、「五重塔」を書いた作家の幸田露伴です。
今でも近くを流れる隅田川を素材にした校歌を歌う機会がありますが、この墨田川に沿ったところの小梅というところには、「風立ちぬ」を書いた堀辰雄の寓居跡が残されています。彼の「幼年期」という作品では、その近くあった「牛島神社」の印象について書いてありますが、私もこのあたりはよく歩いていたことがありました。 先日はいい機会なので、その寓居跡の写真を撮ったりして探索してきましたが、軽井沢にもその後療養を兼ねて移住したところに、今もその別荘が保存されていますし、彼の作品に因んだ道の碑が沢山残されています。
実は、私の仕事場としている山荘は、彼が最初に作った別荘のあった釜の沢から、結核で入院していた恋人を見舞に、そのサナトリュウムへ通ったといわれているところにあります。
保存されている別荘は、またの機会に紹介しようと思いますが 、今回は、向島と軽井沢のかかわりのあるところを紹介することにしました。どうか、スカイツリーだけではなく、是非、史跡めぐりでもして下さるといいなあと思って、書きました。
掘辰雄の寓居跡の近くには、水戸藩の小梅邸のあったところもあります。季節のいい時に、是非、お出かけ下さい