藤本、カツカレーを語る

カツカレーを食べ歩くうちに、やはり「うまいカツカレー」とそうでないものとの違いが少しづつ見えてきます。ここでは、私の感じた「あるべきカツカレー大盛りの姿」について書いてみます。


カツカレーはカツが大事

なんていうと、カレー好きの人は怒るかもしれないけど、カツカレーはカレーの亜種というよりは「丼物」の亜種である、というのが私の考えである。要は、かつ丼の「タレ+卵+タマネギ」(中部地区なら「ソースと千切りキャベツ」か)の代わりにカレーを使って皿に盛っている、という感覚だと思って欲しい。

タレと卵とタマネギがどれほど上質であろうと、カツが駄目ならそのかつ丼は失敗作である。これと同様に、カレーのルーがいかに「ルーとして」素晴らしいものであっても、カツが貧弱なものはカツカレーとしては二流以下、と断言しよう。もちろん、ルーも良質であることが一流の条件ではあるだろうが、例えば

「ルーがうまくてカツが駄目なカツカレー」

「ルーは駄目だがカツがうまいカツカレー」

があったなら、私は後者の方を「より良いカツカレー」として評価するだろう。こと「カツカレー」においては、カツこそが「主」であり、ルーは「従」なのだ。

ルーは辛くないに限る

ルーが「従」であるというのは、言い換えればルーがカツの「引き立て役」、フランス料理でいうなら「ソース」の役割を果たすことになる。しかしながら、カツというのは(何も付けずに食べてみればわかるが)ソースに比べれば味が薄い。衣に閉じ込められた豚肉の旨味を堪能する所にカツの醍醐味があるのだが、ソースが過度に辛いと豚肉の旨味がすっかり隠れてしまう。

今まで食べて回った経験では、せっかく上質のカツを用意しながらも、ルーが辛いためにカツの味が消えてしまっている例がたまにある。「辛くなくて何のカレーぞ」とお怒りの諸氏もいるとは思うが、繰り返して言えば「カツカレーはカレーではなく、カレーをソースとして用いる丼飯」である。そば屋のカレーとまでは言わないが、あのくらい「辛さを抑えた」ものがソースとしてはちょうどいいと思われる。

ルーはサラサラ型よりネットリ型

もうひとつ注意すべき点として、ルーの水気がある。ルーが本格インド風のサラサラ型だと、どうも早いうちにカツの衣がグジュグジュになってしまい、衣のサクサクした食感がなくなってしまう傾向にあるようだ。

もちろん、「衣はあくまで旨味を閉じ込めるためのもの」と割り切ってしまえばこれでもよいのだろうが、やはりカツはサクサクした食感を楽しみたいという気持ちもあるので、私はネットリ型のルーの方が好きである。ただし、出てきたときに「ルーが別の器に入っている」ようなものならば、ルーを順次かけていけばよいわけだから、この差は現れないだろう。

大盛は器も大きくあるべし

キャンベラ」でカツカレー大盛りを頼むと、まず皿の大きさに驚かされる。実は、普通盛りのカツカレーよりも一回り大きな皿が使われているのだ。これを見ると、大盛りであることが視覚的にも実感できる。

これには、実利的側面もある。「ソース」であるところのルーをご飯の上に大量にかければ、それだけ下にドロドロと落ちていくわけであり、それを受け止めるためには大きな皿が当然必要になるわけだ。逆に言うと、「大盛り」を謳いながら皿が大きくないというのは、ご飯だけを大盛りにしている可能性がある。これでは、〔カツ〕←→〔カレー〕←→〔ご飯〕のバランスが崩れてしまい、良いカツカレーとは言えなくなる。大盛りは、バランスを保って大盛りにするべきなのだ。


fujimoto@eva.hi-ho.ne.jp

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