手術後の状況

 術後の3日間は、手術跡の痛みがひどく、そのことを医者または看護師に伝えると「痛み止め」をしてくれる。 この痛み止めには2種類あって、脊髄に通っている管に注入するやり方と、動脈点滴へ入れる方法がある。 ひどく痛いときはこの両方に入れてもらう。身体を少し動かしても痛いので寝返りができない。 これをむりにすると痛みが大きくて目が覚める。右手はほとんど動かせない。左は手術した部位とすこし 遠いのでいくらか動かしやすい。トイレに行くにも看護師に手伝ってもらう。

 手術後は自力で立ち、できれば歩く、というのが早期回復のポイントらしい。先生の回診があると、歩くように促されるが、立って部屋内を歩きだしたのが3日目だった。しかし、身体のいろいろな所から管が出ているのでなかなか歩く気にはなれない。

 手術前に「食道切除再建術」というA3の資料が配布された。これは、手術前から退院日までの間にどのような「治療」「処置」「検査」「安静度」「食事」などが行われるかが時系列で示されている。

 この表によると身体のあちこちから出ている「点滴」や「パイプ」の管が外されるのは「抜糸」「尿管抜去」も含め、1週間かかる。食事が開始されるのも1週間後、それまでは点滴で栄養補給される。実際はほぼこのスケジュールどおりに推移しているが、手術跡の痛みはなかなか消えてくれない。

 初めての食事(手術後8日目)は、スポーツドリンクをそのままゼリー状にした小さな水ようかんぐらいのもの。これが朝晩続き、この後、三分粥、五分粥となり、全粥は食事再開後3日目だった。その後は通常の病院食となったが、量が多すぎて入らない。自分で調整し、配膳された3割か半分位を食べるようにした。担当医からは「上手に食べるのも練習のうち」といわれ、ゆっくり噛んでたくさんの唾液を含ませるよう指導された。

 食事が再開されても胃が小さくなっているのでたくさん食べれらない。胃は単なる通り道になっているという。上手に食べそこなうと苦しんでしまう。失敗すると「ダンピング」(胸のつかえや吐き気など)という症状が現れる。

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