![]() モーターサイクル・ダイアリーズ The Motorcycle Diaries ★★★★★★★☆☆☆ 2003年 イギリス/アメリカ 監督:ウォルター・サレス 製作総指揮:ロバート・レッドフォード 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル / ロドリゴ・デ・ラ・セルナ / ミア・マエストロ ☆こう観た☆ ありきたりな観光名所をぐるっと回る、それも旅だ。ご当地の名物料理を堪能し、いいホテルに泊まる、 それも旅だろう。しかし本当の旅の醍醐味は、その日その場にいなければ決して出会うことのなかった人 たちとのふれあいと、そこから芽生える自己の新しい価値観、人生観にあると私は考える。本作で描かれ ているのは、のちに独裁政権からの解放を訴えたキューバ革命を指導するまでに至ったエルネスト・チェ・ ゲバラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)の思想の礎となった南米の旅である。 年上の友人アルベルト(ロドリゴ・デ・ラ・セルナ)と共にオートバイノートン500にまたがり、女と悪知恵ば かりを覚えてゆく文字通り行き当たりばったりな前半は、少しおりこうな医大生だが風貌はどこにでもいそ うな青年たちの珍道中にすぎないが、自分たちの足で歩き、人との密な接触が格段に増える後半、ゲバ ラの中で何かが変わってゆく。これこそが、先に述べた旅の醍醐味である。ゲバラの場合、偶然目の当た りにした罪の無い病人、政治異論者が迫害される当時の南米社会に憤りを覚えたことが、彼を歴史を動 かす男へと変貌させていった。彼ほど大化けするケースは稀だとしても、旅にはそういう可能性が無限に 秘めている。ハンセン病に苦しむ患者を扱う病院で、未来への決意とも取れるゲバラのスピーチと、医師 と患者を隔てた川を泳ぎ切ろうとするシーンは、彼の生真面目さが顕著に出ていて爽快だ。 実在の人物を描いた作品を観るとき、ことそれが比較的よくできていればなおさら、己の世界史の無知 さを呪う。映画として見ると全体的に凝縮されすぎている感はあるが、時間がありながら未知の世界に一 歩足を踏み入れる勇気がなく、家でくすぶっている若者のケツをたたくメッセージ作品としては十分な説得 力があると思う。
written on November 12, 2004
▽オフィシャルwebサイト:こちらから ▽あなたの意見を聞かせてください!:こちらから ▽ここで観た:梅田ガーデンシネマ(大阪)
|