WEBMASTER の 今週の述懐 . . . . .
「お金」シリーズ 1
「良心的価格」 という日本特有の言い方があります。
"reasonable price" は英語にありますが
"conscientious price" とは まず言いません。
無駄な経費などを削減した 「合理的な(reasonable)プライス」 の方は腑に落ちます。
片や 「良心的」 というのは もともとは 「暴利でない」 ということでしょうが、
今日 「良心的価格」 と言うと、むしろ値引き合戦の常套句です。
(店員)「この商品は良心的な価格設定になっています」
じゃあ 他のは暴利なの?
要は 営業戦略上、つまりトータルでは最大利潤となるように
特定商品だけ設定を低くしている、ということのようです。
次のはどうでしょう。
(セールスマン)「わかりました、では今回あなただけ特別に3割引に」
自分だけは安くしてもらえた、嬉しい、相手が自分に対し良心的に思える . . .
でも ちょっと待って下さい、それは誤りです。
結局その分、他の客から埋め合わせしているに過ぎません。
客に幸福感を持ち帰ってもらうことは 商売道の本望、非難には値しません。
もとより 「価格」は需要と供給の駆け引きの産物そのものです。
価格の納得は 私たち買う側の自己責任です。
買った商品が 翌日半額でバーゲンセールになっていても
売る側を「非良心的」とは言えません。
なのに、
〜 安い イコール 良心的 〜
〜 高い イコール 非良心的 〜
いつの間にかこんな誤解の構図が出来上がってしまっているように思われます。
上記のような 「価格(プライス)」 での誤解なら まだしもです。
問題は
商品の論理を当てはめられるはずのない、
手業や知的生産の労働報酬(コスト や フィー)にも、
いや 日本では むしろこれらにこそ際立って
上記の誤った構図が当てはめられてしまっているという現状です。
例 : 「医は仁術だ(いざと言う時には金銭を度外視して過重労働するのが当たり前)」
〜 お金の話を持出しただけで 悪徳のように 思われてしまいそう。〜
例 : 「この追加工事はサービスしてくれる(好意=無料)と思ったのに」
〜 本来 "service" には「無料」という 語義はありません。日本特有の誤用。
そういえば「奉仕的見積り」などという言い方にも問題が浮き彫りに。
仕事の内容・出来栄えで奉仕するのが本筋。〜
例 : 「あのハウスメーカーは何案も無料で持ってくるから良心的だ。あの会社に決めようかな。」
〜 ハウスメーカーの全ての「無料設計」は 工事契約する客が
(成約しなかった大半の)他の人の分まで 工事費の中で 支払っていることなどは
ちょっと考えればすぐ分かりそうなものなのに。〜
やれやれ、ため息が出てきました。
続きあり。 (^_^) 安達
98/02/22