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「螺旋のはてに〜想いは風とともに〜」




中編
















一日一日、涼しさが増していく。
あたりはすっかり薄暗くなっている。
もう、秋なのかな。

「今日は少し冷えるわね。」

「そうだね。こっちにおいでよ。」


僕は彼女の体を抱きよせようとした。すると、アスカは逃げるように僕の手をかわす
・・・。


「後でね・・・。」


そう言うと、彼女は夕方まで全開にしていた窓という窓を閉めていく。
初夏の、あの肌をさすような陽射しはどこにもない。

忘れたときに、時折、夏の影がみえかくれする。
静けさがただよう夕暮れ。
虫たちの音だけが伝わってくる。


秋を告げる風が閉められていく窓の隙間から入りこむ。



どこから吹いてどこへ過ぎ去っていくのか・・・・。




その風は空へ・・・。









人類補完計画の終焉からおよそ2年。
アスカの記憶は確実にもどりつつあった。

ネルフが同じ人間から襲撃されたあの日。


アスカは一度死んだ。


死んだといっても肉体が死んだとかではなく、心が死んだのだ。
今のアスカはそこから立ち上がろうとしている。
このごろ、寝ているときなにかにうなされているのだろう。

僕といっしょに寝たがる。

アスカが安心して寝れるのならと僕は喜んでいっしょにねている。
寝ている時のアスカは、僕によりそうようにしていた。

いつしか僕もアスカに安らぎをかんじるようになった。


人間の体温。

鼓動。


僕のほうがほっしていたのかもしれない。
僕がアスカに与えていたのではなく、逆にアスカから・・・・。
そう思うとなんだか照れくさかった。アスカには言わない。



アスカの心が死んだあの日。


アスカは二号機の中でママと再会した。
自我をとりもどしたアスカ。



でも、その数分後・・・・。



体をつらぬかれ、肉ははがされ・・・。体をばらばらびされた二号機・・・・。



人類を補完するためのパーツの一つ。



EVAシリーズ。



人類を救うはずではなかったのか。




今はもう、終わってしまったこと。
でも、僕たちは忘れることはできない。いや、忘れてはいけない。
アスカも思い出そうとしている。
また心が崩壊してしまうかもしれないのに、それと戦っている。

だから、僕はできる限りのことをアスカにしてあげたい。



レイ。



色あせてしまいそうだ。本当に・・・・。



2年たった今も見つからない。
最高機関ノアの情報網をつかっても見つからないなんて・・・・。
僕は今、アスカと学校へいきながらミサトさんの手伝いもしている。
少しでも、レイの手がかりがつかめれば・・・・。



アスカが最後の窓を閉めた。



部屋は涼しさと静けさでつつまれていた。
かつては、ミサトさんと3人でくらしていた。今はアスカと2人きりの生活。

共同、家族。

言い方をかえればいくらでもある。
でも、2人でいることが、僕らにとって自然なことだったから、2人の生活はなんら不
思議なことはなく・・・。
以前とかわらない、生活だ。

僕がご飯を作って、お風呂をわかして・・・。
変わったことといえば、アスカが僕の手伝いを進んするようになったことかな。
僕ができるのに自分にできないことはないと、料理も覚え始めている。


僕の存在がアスカに与えた影響だろう。
アスカの存在が僕に与えた影響もあるだろう。


ただ、自分では気がつかないだけで。




窓を閉め終え、アスカが僕のひざの上に座ってきた。
僕は背後から、アスカの腰を抱く。



甘えてくるアスカ。


僕にしかみせないアスカの表情がある。
それが、また愛しい。


「ねえ、シンジ。」


静寂の中、アスカが話し掛けてきた。


「レイは生きているけど、いないのね。」


突然、レイのことを話だす。僕は驚くばかり。


「どうしたの?突然。」


僕はアスカを後ろから抱いているためにアスカの顔をみることができないでいた。


「最近、感じるの。レイの心を。
でも、わたしがレイに話しかけると、レイは黙ってしまうの。
どうしてかしら?
レイが死んでないのは確かなの。
だって、こんなにも近くにレイの存在を感じるから・・・。」


アスカ・・・・。

「アスカも感じていたんだね。レイの心を。」


「シンジも?」


アスカは僕のほうに体の向きを変えた。


「うん。感じるよ。
だから、今も探しているんだ。
ミサトさんがレイをいまだに捜索しているのは、やっぱり僕らと同じで、レイの心を
感じるらしい。」


「レイ。
あなたは、なんて罪なひとなの。
レイはあまりにもみんなの心に・・・・・・・・・。」


アスカがいわんとしていることを僕は理解していた。


レイ。


みんなの心にすみついている。残りすぎている。
人はいつかは死ぬ。
それがいつかはわからない。

でも、レイはまだ死んではいない。
みんながそう思っているのではなく感じている。


その時だった。


静寂が破られる・・・・・。


「ちょっと、ミサト。いくら保護者でもノックもしないで入ってこないでよね!」


アスカが立ち上げってミサトさんに怒った。
しかし、ミサトさんのあわてかたを見たアスカは、その怒りが急激にさめていくよう
だった。

汗をかいているミサトさん。
髪はみだれ、化粧もなおしていない。
いったいなにがあたのか

ミサトさんは息もとぎれとぎれに、信じられないとこを口にした。



「レイが・・・。レイが見つかったのよ!!」




締め切った部屋。

ミサトさんの開け放ったドア。



一陣の風が・・・・。



アスカの長い髪を揺らし、僕の頬を通り過ぎていく。



今までの心のなにかをぬぐいさる。



僕らはたた立ち尽くしていた。



そして、風は空へと吸い込まれていく。





つづく






「螺旋〜想いは風とともに〜」

いかがでしたでしょうか?後編のつもりが、話がおわらなくて続き物になってしまい
ました。(;^_^A
レイを登場させようと思ったらそこで、シンジもアスカもミサトも立ち尽くしてし
まって・・・。
わたしの頭の中で動いてくれない。で、ここで話をくぎったというわけです。
もう、続きは頭の中では完成していますが・・・・。キャラが動かないだけですね。
(笑)
今回は、とくにテーマというものはないですが、螺旋につながっているとでも思って
ください。(^^;;


ではでは。まったねえ〜。(^.^)/~~~



BYせつ















艦長より一千万の感謝を込めて(笑)





せつさんからまたまた投稿していただきました!

ありがとうございますう!!

感激のあまり腕が痛くなってきた・・・(意味ナシ)

それにしましても、なんと言いますか・・・・

今回の私の感想としましては・・・・

『これって三竦み(さんすくみ)?』

です(爆)。

いや、なんとなくラストシーンを見てそう思ってしまいました(笑)。

さて、タイトルにあります通り、後編に続きます。

さあ!恒例の昇進でーす!

今回の戦果を鑑みて、せつさんは

海軍中尉

に昇進していただきます!

ホントーにありがとうございました!

さあ!アナタの感じたところを心のおもむくままに書いて、メールでせつさんに出すのだ!

せつさんのメールアドはこちら!









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