Kula Shaker スティーーーヴ!

Zepp Tokyo - 6/5/99


今年の3月にオープンした世界最大級のライヴハウスZepp Tokyo。でもまあ「ライヴハウス」とは名ばかりの単なる椅子なし大型ホールという感じもしないわけではない。 やっぱりかつて世界最大級と言われていた赤坂ブリッツと比較すると、フロアの縦幅は同じぐらいで、横幅が若干広い感じがする。 でもその赤坂ブリッツと決定的に違うところは・・・・・言うまでもなく縦の細かいブロック分け。 まさにこれこそウドーのお仕事、といった感じ。

でもまあその辺りの文句を言い始めたらきりがないし、幸運にも自分はこのZepp2デイズ、オンラインでゲットしたチケットには両方とも「Aブロック」と書いてあることだし、とりあえずここではその最前ブロックから観たクーラシェイカーギグの模様を書いていきたいと思う。

まずはそのAブロックだけど、思いっきり縦幅が狭い。多分10~15人が縦に並んだら一杯ぐらいの縦幅だ。でもぎゅうぎゅうになるほど客を入れていないのでムチャクチャ余裕がある。だから踊るスペースは十分に確保できる、といった感じである。 メンバーの姿を目の前にしてのこれってかなりの贅沢だ。 そんでもってかなり嬉しい。

そしてそんなことに嬉々としていると、一旦客電が落ちる。でもなかなかメンバーがステージ上にその姿を現そうとしない。 拍手と歓声で早い登場を促す我々の前を、コンサートスタッフがうろうろよろよろと動き回っているだけだ。 そしてそんな状態がおよそ5分弱ぐらい続いた後、ステージ上の照明がさらに暗くなってようやくメンバーが登場。 でも暗くてなんだかさっぱり見えないよー。

そのステージ上の明りが再び灯されたのは、ギター&ヴォーカルのクリスピアンがワウのカッティングに入った時。 やがてポールのドラムがどんどこどんどこと入ると、「あー、やっぱあの曲だあー」といった感じで「Hey Dude」。 真ん中にロゴが入ったチビTを着て様々な模様の入ったストラトキャスターを抱えたクリスピアンは、イントロのギターリフをポンポン飛び跳ねながら軽々と弾きこなしているんだから早速おそろしやクリスピアン・ミルズ。 自分を含めた周りからは「オイ! オイ!」という歓声が上がっていて、なんだか早速楽しい。 メロディーラインはオリジナルと変わっていたし、テンポも若干遅めの感じだけれども、やっぱ「きゃっち・ざ・さーーーん!」のところでは右手をしっかり天誅高く掲げて握りこぶしを作っちゃう。

「はりーーーーおんーーーーーさんだうん」って感じで紹介しながら「Hurry On Sundown」。 全然知らないけどテンポがすごく乗りやすくてもうどうでもいいや。 とりあえず飛んでおこう。「ブルースナンバー」ということで鳴らされた「303」ではさすが「ブルース」とクリスピアン自ら説明しているように、オリジナルの半分ぐらいなんじゃない?と感じさせるほどのテンポダウンがされている。 このテンポの遅さはおととしのニューヨークでのライヴを観て感じたことでもあるのだけれど、ここでの演奏はその時のものよりも確実にレイドバックされている。 でもその代わりにクリスピアンのブルージーなオブリガードのタメがさらに強化された感じで、えぐって、仰け反らせて、かき混ぜちゃう。

「Mystical Machine Gunに・入・っ・て・る・曲・で、、、、、昨晩は・や・ら・な・か・っ・た・曲・で、、、、ぎたーまーん」ということで「Guitar Man」。 かなりベタなタイトルだけれど、やっぱ「ぎたーまん」という感じでギターリフ、リフ、リフといった具合にゴツゴツくる。 でもクリスピアンのギターマンぶりが本当に発揮されたのは「Great Hosannah」のイントロ部分で、手元のボリュームコントロールを微妙に調整しながら最初のアルペジオフレーズを優美に奏でると、続く切れのよいウォームなワウのカッティングで早々と昇天。 そしてベースとドラムが絡んでくるととんでもないグルーヴがあるんだなあこの曲には。 ジェイのキーボードもなかなか。 ステージ後方の丸いスクリーン(?)みたいなものには簡単な映像めいたものが投影されて、ムードはやっぱりエキゾティック。

そのままメドレーのように「Mystical Machine Gun」へと繋がり、ニューアルバムから立て続けに4曲。 どれもこれもアルバムで聴いた印象とは異なり、やっぱライヴ栄えするわあ、といった印象を強く持つ。 しかしまあ「S.O.S.」のリズムは踊りにくいわあ(笑)。 変拍子、ここに極まれり。 

とにかくまずはクリスピアン、クリスピアン、クリスピアン。 両手を天高く掲げることが非常に多いこの人だけれど、やっぱりへたれピート・タウンゼントみたいに腕をぐるぐる回してみたり、1段高くなったドラムセットの台に駆け上ったかと思えば、ギター担当スタッフのスティーヴさん(推定42歳)から交換用ギターをなかなか受け取らなかったり、ギターのシールドが絡まって慌てて出てきたスタッフに間違ってお尻を触られてビックリ白目を剥きながら「そこは唯一触っちゃいけない場所なんだよ」とおどけてみたり、「I always sing with Kentucky accent.(ボクはいつもケンタッキー訛りで歌うんだ。)」と訳のわからないことをのたまってみたり・・・・・・。 でも一番ビックリしたのはポールのドラムスティックが一本だけ自分の真横に飛んできたこと。 な、なんだったんだあれは。

カポの付いた黒の12弦ギターに持ち替えてポールに二言三言声をかけた後、そのポールのドラムビートだけが響き渡る中で、「いったい何の曲だろう?」と思っていたら、「いーーーんとぅざでぃーーーぷ」と突然歌われ始めて、こりゃあちょっとあんた、どうでもいいけどかなりカッコ良すぎ。 というか、ポールのドラムってカッコ良すぎ、うますぎ。 まるでどっかの若い体育教師(兼サッカー部顧問)みたいな彼だけれど、やる時はやるね。

そして本編最後の「Hush」まではあっという間だったけど、やっぱこの「Hush」、どうにも盛り上がるわ。 「なーななー、ななー、なーなーなー」と歌うと、「ウガァーーーー!!」ともう奇声とも雄叫びともなんとも形容しがたい魂の叫びを挙げてしまう自分。

アンコールではクリスピアンがステージ向かって左側、すなわち自分がいたあたりに鎮座して優美にギターソロとインド風アルペジオフレーズを柔らかく奏でたりして、周りにいた女の子達は揃いも揃ってみんな目がハート。 妬けるぞクリスピアン。 片手を挙げながら「ドウモドウモドウモ」って言ってる場合じゃないぞジェイ。 気のいい兄貴でプレシジョンベースのアロンザ。 そしてやっぱ中学の体育教師ポール。 もちろん女学生にもてもて。


Zepp Tokyo - 6/6/99


この日は客電が落ちてからの会場入り。 ブロックは前日同様最前のAブロック。 今日は前日と逆にベースのアロンザ側の入り口から入ってみることにする。 しかし明るいところからいきなり真っ暗な状態に置かれたため、まったく周りが様子が見えない。 横に人がいるのかいないのかも分からずとりあえず目が慣れるまでブロックの端っこの方でじっとしていることにした。 でもとりあえずスティーヴ(今日は推定41歳)がセットリストの書かれた紙をメンバーそれぞれが見えるところに貼っているのは分かる。

でも!!!! 前日同様にメンバーが出てきてはじき出された音を聴いて、もう血管が切れちゃうぐらいに舞い上がらずにはいられなかった! 「あ、あれ? これってヘイ・デュード?」と思うがつかの間、耳に飛びこんで来たのはあのE→G→Aの複音ギターリフ!!!  体が勝手に反応。 「な、な、な、ナイト・オン・ザ・タウンだぁ!!」と叫びながらどどどどどどどど、っと隅っこから前方の真ん中辺りに、ずずずずずずずずいっとジャンプしながら移動していった自分。 だってMiscellaneousの「1曲目って重要だ」で、自分を日常から非日常の世界へといざない、かつ頭からトップギアに入れるための第2の法則としての「曲・アレンジを変える」という技に見事に合致したこの瞬間。 正常でいられるはずがないではないか。 しかしよぉ~~。 これは反則だってマジで。 昨日もこの曲を聴きたい聴きたい聴きたい!! って心の中で念じながら最後の「Govinda」を聴いていたんだから。 そしてそんな曲が次の日の1曲目でしょ。 おかしくなるなるのは無理ないって。

そして次は「Hey Dude」。(まったくの余談だが、この曲順にガンズ&ローゼズのライヴを思い出してしまった。「Hey Dude」が「Welcome To The Jungle」、そして「Knight On The Town」が「It's So Easy」 ね。 興味のない方、本当にごめんなさい。) チビTを来たクリスピアンがドラムセットのある一段高いところに登ると真っ白な背中が見えた。 もちろん女の子はうっとり。 いや今日は俺もうっとりしそうになったけど。

曲順の変更はとどまることを知れず、「Hey Dude」→「Hurry On Sundown」→「108 Battles」→「Great Hasannah」という流れには正直参った。「ニューソング」と言ったので期待してたら「108 Battles」だったのにも参った。 いや、クリスピアンのマーシャルアンプのキャビネット部分だけはステージ上に見えていたけど、ヘッド部分がステージ右側に隠されていたのにも参った。 そしてジェイのキラキラヒカル衣装とメイクにも参ったし、さらに磨きのかかったさわやかな体育教師(兼女子バスケ部監督)ポールのすきっ歯にも参った。 いやそれよりも何よりも目の前にいるアロンザが常にしかめっ面でコーラスをとっているのにも参った。

そして今夜2回目のオーラス。それは「昨日ここに来た人達、きみらを別の場所に連れて行ってあげよう」とクリスピアンが語って始まった「Start All Over」。 自分がギターを持ってなにげに弾き始めちゃう曲、それがこの「Start All Over」。 それだけ好きな曲「Start All Over」。 「I wish that we could start all over~♪」という歌詞に涙した日を思い出しながら(・・・半分ウソ。)、クリスピアンが「I really wanna love again~♪」のところを感情を込めて3回も繰り返した、そんな最高のラヴソング「Start All Over」。 「くぉ~!」とまたしても声にならない声を発してしまったそんな「Start All Over」。 人生清算してまた「Start All Over」。

今にもジミ・ヘンドリックスの「Voodoo Chile」が流れてきそうな「Grateful When You're Dead」のイントロ&本編&アウトロ&おまけを経て、またしても「Into The Deep」。今日の「Into The Deep」のイントロはクリスピアンの「じゃらーん」というカッティングとポールのドラムビートがシンクロして始まるような形だったけれども、時々右手で「ぐわし!」と握りこぶしを作りながら熱唱するクリスピアンの姿にこれまた感動。 やっぱりアロンザはしかめっ面だけど。 そしてポールはやっぱり体育・・・。

その「Into The Deep」からメドレーで演奏された曲が昨夜の時点ではわからなかったのだけれど、なるほど「Narayan」だわ。 プロディジーのあれですよ。 プロディジー meets クーラ・シェイカーの画期的なあの曲。 でもそんなプロディジー風極悪ビートが絡むわけでもなく、あくまでも「Into The Deep」のテンポで優美に、あくまでもインドに、あくまでもクリスピアン的に演奏された、そんな「Narayan」。

「Tattva」でギターを交換したのだけれど、どういうわけだか要りもしないカポタストがネックのところについていて、苦笑いしながらそれを取り外して放り投げたクリスピアン。 おいおい、しっかりしろよスティーヴぅ。

「ちょっと静かな曲をやるよ」といいつつそんなに静かでもない「Shower Your Love」を経て、「さあ来いSmart Dogs!!」と期待しながら見ていると、ステージ左前に立っていたクリスピアンはいとも何気に「Hush」のイントロを弾きだしてしまった。 あん、ちょっとがっかり。 でも「Hush」だからとりあえず飛んでおこう。 「1,2,3,4!!!」の掛け声とともにそうしちゃえばこれはこれでやっぱ楽しい。

アンコールはすべてメドレーのように繋がっていてまったく弛緩する場面もなくラストの「Govinda」まで一気に突っ走ってしまった。  クリスピアンは2日続けてギターを高々と頭の上に掲げながらガチャガチャ弾きまくったけど、でも「Govinda」のイントロが始まっちゃうとなんだか憂鬱になっちゃうのも事実。 なんかもの悲しいんだよねGovindaって。 みんな手を振って「ごーびんだー、じゃやじゃや~」って歌ってるけど、なんかその手がさよならを言っているような気がしてなおさら寂しくなってしまうんだ。 

最後の最後に最前列の人達に一通りタッチしまくって、「お、いたのかジェイ」って感じになってしまったのもジェイらしかったけど、大活躍のパーカッショニストは謎の人物。 なにげに彼の存在が気になる今日この頃です。



6/5/99@Zepp Tokyo ---
  1. Hey Dude
  2. Hurry On Sundown
  3. 303
  4. Guitar Man
  5. Great Hosannah
  6. Mystical Machine Gun
  7. S.O.S.
  8. 108 Battles
  9. Grateful When You're Dead / Jerry Was There
  10. Into The Deep - Narayan
  11. I'm Still Here - Tattva
  12. Shower Your Love
  13. Hush

  14. Radhe Radhe(Intro) - Sound Of Drums
  15. Time Worm
  16. Last Farewell
  17. Govinda
6/6/99@Zepp Tokyo ---
  1. Knight On The Town
  2. Hey Dude
  3. Hurry On Sundown
  4. 108 Battles
  5. Great Hosannah
  6. Mystical Machine Gun
  7. S.O.S.
  8. Start All Over
  9. Grateful When You're Dead / Jerry Was There
  10. Into The Deep - Narayan
  11. Tattva
  12. Shower Your Love
  13. Hush

  14. Radhe Radhe(Intro) - Sound Of Drums
  15. Last Farewell
  16. Govinda


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イギリス村 (なおゆき村長さん)

Flowers Of Romance (YKさん)




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Last updated: 6/ 6/ 99