1.GWTの基本的な考え方

 

 GWTの理論と方法は、行動科学に基礎をおくラボラトリー・トレーニングの学習理論とアドラーをはじめとする成長心理学をベースにしている。
 GWTのアドバイザーをやろうとする人は、これらに関する本を読んでおく必要がある。
 GWTの基本的な考え方は、次のとおりである。
  1. 実習→コンテントのふりかえり→プロセスのふりかえり(フィードバック)→分析、検討結果の一般化→変容・成長、のプロセスをきちんと踏んでいく。特にプロセスのふりかえりが重要である。コンテントとプロセスについては、別項をご覧いただきたい。
  2. 今、ここで(Here & Now)の行動を重視する。
  3. 特に、自己への気づきと態度の変容を重点目標とする場合は、できるだけクルト・レヴィンの変革理論にいう「解氷から再結氷へのプロセス」をたどるように配慮する。
    「解氷から再結氷へのプロセス」とは、次のとおりである。
  • 自分自身の態度、行動について、予想もしなかったデータ、これまで持っていた自己像を崩壊させるようなデータに直面する。
  • 自分自身に対するイメージが攪乱され、不安やおそれを感じる。
  • この不安を乗り越えるには、グループの中に、あたたかく支持的、許容的な雰囲気、心理的安全感がなければならない。これをつくりだすのがアドバイザーの役割である。
  • そのなかで、自分の態度、行動を点検し、またグループのメンバーからフィードバックを受けて他人から見た自分の姿に気づく。
  • ありたい自分の姿をイメージしたり、モデルを見つけてその人と同一化し、自分のなかに新しい思考、感情反応、行動様式を統合する。

 つまりGWTは、難行苦行ではなく、できるだけリラックスした雰囲気の中で自分の姿に気づき、自ら態度、行動を変容させていくことを目的としているのである。
 GWTでは、人間は外からの圧力をかけて変化させることはできないと考えており、またそのようなことをするのは、人間に対する冒涜だと考えている。

(著者の許諾を得て「新グループ・トレーニング」より抜粋)