4.アドバイザーという呼称

 

 GWTでは、かつてはGWTを指導する人をトレーナーとよんでいた。エンカウンター・グループでは指導者をファシリテーター(促進者)とよんでいる。これは、指導者という地位による権威から、介入が指示的になることを避け、「メンバーの自主性を重んじ、メンバーと共にいて、援助的にかかわる」という意図を明確にしようとしたものである。現在GWTでは、次のような理由から「アドバイザー」とよんでいる。
  1. トレーナーという呼称は、指導者が上から教えてやるという権威的な感じがある。GWTの指導者は、参加者の”人間としての成長・変容を援助する人”である。
  2. GWTのプログラムは、指導者の考えできちんと構造化されており、参加者の意見が反映される余地はほとんどないので、ファシリテーターよりも強制力をもっている。ふりかえりも指導者のペースで進められ、指導者の判断でコメントがつけられ、小講義が行われる。
  3. インストラクターというと、技能の向上を目指して指導する人のように聞こえる。

 このことは、限られた時間の中でGWTのねらいを達成しようとするとき、アドバイザーが必要以上に操作的になる危険性をはらんでいることをも意味している。アドバイザーが重々自戒しなければならない点である。

(著者の許諾を得て「新グループ・トレーニング」より抜粋)