日常化について

 

1.GWTの最終目標
グループワークトレーニングの目的は『パティシペーターシップの養成』といわれているが、本質的な最終目標は日常生活における「行動変容」である。つまり、グループワークトレーニングという限られた非日常空間において、良好な人間関係が築けるようになったり、また、効果的な課題解決が出来るようになるのが目的ではなく、あくまで色々な問題を含んだ現実の日常生活の中で良好な人間関係が築けるような行動を、実際にとれるようになることが目的なのである。

そこでGWTネットワークが行うグループワークトレーニングでは、”日常生活に学んだことを活かすことが目的”ということを意識して、「実習」「ふりかえり」の後に「日常化」というステップを取り入れることをしている。

 

2.「日常化」のステップ

日常化の意味は、GWTを実施して『気づいたこと』『学んだこと』を、日常の生活のどのような場面で、または、どのように活かしていくかを考えることである。具体的には、@気づいたこと・学んだことを文字化して明確にする。A実際に行動にうつせるようにするため、具体的場面、具体的行動を考える。の2つの内容を「日常化用紙」に記入してもらう方法をとっている。

実際にはじめのうちは「日常化用紙」の記入自体、漠然としか記入できないが、何回か経験するうちに『行動レベル』を意識した記入が出来るようになる。

 

3.「日常化」のためのGWT実習

GWTでの気づきを日常に活かすというのは、具体的には『意識的に自分の行動をコントロールすること』である。パティシペーターシップの目指す「グループの一員としての状況に応じたグループへの貢献」のためには、@グループの状況(プロセス)を適切に把握することができることA状況に応じたコミュニケションスキル・課題解決法等を身につけていることBそして、実際に状況に合わせてそのスキル・課題解決法等を行える(行動できる)ことの3点が重要であるが、その中でも一番重要なのが、実際に行動できることである。

人間関係の理論は色々な場面で紹介されたり、学ぶ機会があり、「知っている」人は多く存在している。しかし、「充分理解している」は少なくなり、それにまして「出来る」人はさらに少ないのである。

我々GWTネットワークでは、この「日常化」の難しさをカバーするために、数年GWTを学んでいる人(中級者)を対象として、「自己コントロール」をねらいとしたGWTを実施している。実習内容は「コンセンサス実習」「協力実習」等であるが、実習に入る前に「宣言シート」というもの書いてもらう。これは、『体験学習のサークル』でいう仮設化のことで、これから行う実習で自分はどのように行動するかを宣言、つまり設定してもらい、実習後その宣言した行動が効果的であったかどうかをメンバーにフィードバックしてもらうのである。このGWTによって、自分が「出来る」「出来た」と思う行動を、実際に「出来ている」つまり他のメンバーから見て効果的に行動できているかということをチェックすることができ、本当の意味での効果的な行動を習得できるのである。

 

 

(C)2000 GWTネットワーク