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このページは C56(1999夏)出店の同人誌 Cafe'Alpha with Cafe'YU-NAGI 2 に寄稿したものとほとんど同じです。


to なぜなにA7
酔っぱらう
 さてさて、作中では盛大に酔っぱらったアルファさんが、私たちを大いに惑わせてくれてますが(笑)、彼女たち A7は、いったいどうしてお酒を飲むと酔っぱらうのでしょうか。

 まず、人間がお酒(アルコール)を飲んだ場合どうなるのか、みてみる。
  1. アルコールを摂取する。
  2. 胃や小腸から吸収され、血液に乗って全身にまわる。
  3. 脳に到達し中枢神経系がマヒする。→酔った症状を呈する。
  4. 血中のアルコールは、主として次のように分解される★1
  5. 水と二酸化炭素が呼気や尿として体外に排出される。
★1他は MEOS系などで分解される。
★2酢酸塩

 と言った感じである。
 
 では A7はどうか。
えーと。
 
彼女たちは基本的に、
 生体ベースなので、 機械ベースなので、
 人間と同様の機構をしていると考えればいいだろう。つまり、体内に吸収されたアルコールを ADHや ALDH(のようなもの)で分解しているわけだ。
 また、人間は酒に強い弱いがあるが、それは この酵素の働きの強弱でもある。すなわち、酵素の活発な人は酒に強く、そうでない人は弱い。特に日本人を含むモンゴロイドは約半数の人たちが、この中の ALDH2という 酒の飲み始めの頃に働くべき酵素の活性が弱いか全くない。そのため血中のアセトアルデヒドが分解されにくく、あっという間に悪酔いしてしまうのである。これが下戸。そしてこの特性は遺伝子(DNA)によって決定されるものであり、生涯変わることはない★3。なお、関連する DNAの異なる白人や黒人には、下戸はほとんどいない。(そもそも英語に上戸・下戸って単語はない。)
★3いわゆる訓練で強くなるのは別の酵素

 さて、ここでアルファさんを見てみると、御猪口一杯でほろ酔いになり、二杯でぶっ倒れてしまう。明らかに下戸である。アルファさんも日本人の血を引いているということか。 って、いや待て、彼女はロボットだ。
 おじさんの町内会のように、人とつきあうときには酒がついてまわるものだということは どの時代でも同じだろう。当然、A7も飲めた方が断然いいと思われる。また、上戸・下戸を決めるのは DNAのある部分が GAAか AAAかの、わずか一文字の違いだけであり、開発陣もその操作は容易なはずである。
 では何故、彼女はお酒を飲めないのか。
 ふたつ思いついた。
 ・ 長期間の飲酒に伴う悪影響の排除
 ・ 飲めない者の理解
 アルコールの長期にわたる摂取は必ず悪影響を及ぼすものであり、彼女たちのように長命ならば一層の注意を払わねばならない。飲めないならはじめから飲むまい、と開発陣が期待した可能性がある。
 また、人間を理解する上で、自身を同じ立場に置くというは常套手段だろう。まして試作機ならば実験的な任務も負っていたはずであり、アルコール耐性に関しては他の二体が「強い」と「弱い」を、そしてアルファさんが「飲めない」者の理解を託されていたのだとしても不思議ではあるまい。もっとも、あの飲みたいのに飲めない苦しみを理解したのはつい最近だから役に立ったんだか。(笑)
 そういえば、こういったことは 飲める人ばかりの欧米人なら思いもつかないのだろう。そう言う意味では、彼女は明らかに我々日本人の血を引いているのだ。
 とはいえ、A7全員をそうする必要は全くないわけで、普及型はやはり飲めるのだろう★4。その方がコミュニケーションはスムーズだろうしね。ひょっとしてココネを酔いつぶすのは大変なのかも。(笑)
★4丸子はワンカップ飲んでるし。
 可能性としてふたつある。
 まずひとつ目。 摂取したアルコールが直接、演算装置(脳)に影響を与えない場合である。現在のパソコンを発展させたようなものだとそんな風になるのだろう。 この場合、彼女たちは、あえて酔っているものと思われる。つまり、飲食したものにアルコールが検出されると、「酔いのプログラム」が起動して、わざわざ酔ったような症状を引き起こしているのである。
 それは、彼女たちが人とつきあう上では必要なことだと判断されたからに違いない。いくら飲んでもロボットのように平気な顔をしているのでは、やはり隣にいて興醒めであろう。だとすると、そのプログラムは彼女たち自身が書き換えることはできず、どの程度のアルコールでどんな症状になるか、といった設定は開発の際のチューニング、あるいはオーナーに委ねられた可能性が高い。アルファさんがあれほど酒に弱いのは、ひょっとしてオーナーも下戸なのかも。
 しかし、彼女たちの酔いがそんな作為的なものでは、それこそ興醒めではないか。
 そこでふたつ目。
 コンピューターが著しく発熱するものであることは御存知の方も多いだろう。そして、冷やす方法としては、ヒートシンクやファンで熱を発散させたり、冷却パイプを CPUの表面にあてるものがある。しかし、更に冷却効果が高いのは、現在はスーパーコンピューターにのみ使用されている、演算装置を基板のまま冷却水に入れてしまう方法だ。ただし、この場合の冷却水は純水といって不純物をほとんど含まないH2Oしか使用できない。水道水のように不純物を多く含んでいると、回路が部分的に予期せぬ動作をしてしまうからである。
 前置きが長かったが、彼女たちにもこのシステムが応用されているとしたらどうだろうか。もちろん消化系と冷却系は切り離されて設計されているだろうが、何らかの不備により、アルコールを飲んだ場合に冷却水に混入すれば、思考や挙動に影響を与えて酔ったようになる可能性はあるだろう。そして混入物が脱塩されて元の純水に戻るまではその状態が続くのだ。もちろん記憶に残らないこともある。
 また、アルコール以外でも同様の不具合を考えてみる。例えば動物性タンパク質。この場合はアルコールに比べて混入が極微量になり、「ジンジン」で済むのかも知れない。
 だが、このような不具合が普及型まで残っているとは思いがたい。おそらくこの不具合は M3では改修されている、あるいは元々アルファさん固有のものだったと考えられる。
 あんな物を贈るくらいだからココネはきっとお酒は飲めるのだろうしね。ひょっとしてココネを酔いつぶすのは大変なのかも。(笑)
 
 と、いうように A7は飲めたり飲めなかったりするわけだ。
 
 私自身は彼女たちは生体であると考えているが、今回の酔っぱらう件に関してはどちらでもありうると言えよう。ただ、機械体の方はクルマで言うならオイル漏れを起こしているようなものなので他の面でも不都合が出そうだが。(苦笑)
 
 
 さて、彼女たちが酒で酔っぱらうことはわかったが疑問はまだある。
 
 日本酒では御猪口 1杯しか飲めないアルファさんが、カルーアミルクではコップ 2杯飲んでいるということだ。
 両者の大体のアルコール濃度は次のとおり。
日本酒15〜 20%
カルーア12〜 15%
 つまり、大して変わらないのだ。
 カルーアは通常、カルーアミルクとして飲むため半分ほどに薄まるが、カフェオレもダメな★5アルファさんがそんなにミルクを入れるはずがない。おそらくあれのアルコール濃度は 10%ほどと思われる。
★5カフェオレのミルク濃度も 50%ぐらい。

 そうするとアルファさんは、カルーアミルクをコップ半分も飲めばぶっ倒れていいはずである。しかし実際は 2杯も飲んでいる、しかもいい気分でだ。
 これはいったいどういうことか。 次の 3つが浮かんだ。
  • あのカルーアミルクにはミルク以外の何か薄まるものが入っていた。(例:ホットコーヒー)
  • 人間同様に気分次第で平気な時もある。(笑)
  • アルファさんはアルコールが原因で酔っているのではない。
 なお、この後の NIGHT BIRDは人間でも起こる症状である。 あなたも覚えがないだろうか。酔いつぶれた後、自分の記憶にはない行動をとっていたと、まわりの者から言われたことが。(わ、私じゃありません!)
 
 さて、この続きの考察は、みなさんにお任せすることにしましょう。
 うまくいけば アルファさんとグラスを交わす秘訣が見つかるかもしれませんよ。
 
 ところでココネはどうなんでしょうね。 彼女がお酒飲んでるところって描かれてませんが、ホントのところ彼女は強いんでしょうか、弱いんでしょうか。 いちど一献差し上げたいものです。

インターミッション5 目次 ページ14

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