防寒装備
2009/01/24更新

バッテリーは十分か?
 バッテリーは、撮影の命である。完全機械式カメラを持っていかれる方は、関係ないが。
 EOS100というカメラに新品の2CR5という電池を入れる。室温下では500枚程度撮影できる。
これが、マイナス40℃になると、なんと、『5枚』
 あっためれば復活するとかしないとか言われるが、結局カメラが冷え切っているので、その
場での連続使用は難しい。
 バッテリーの予備は必要だが、10個も20個も用意する必要はない。結局、あんまり変わらな
いのだ。
 カメラの防寒に自信があるならば、1個100枚くらいの計算で十分だと思う(EOS KISSデジタ
ル旧型で、下記防寒装備の場合、実績あり)
 当然、カメラの種類と状態によって変わる。余裕はあるほうが良い。
 また、カメラは完璧に防寒しても、暖めもしないポケットに予備バッテリーを入れておい
た・・・・・・なんていうのは、無意味である。バッテリーは、冷え切らせないこと。


防寒装備は完璧に
 結局、カメラ自体を冷え切らないものにするのがいちばんだ。市販品もあるようだが、自分のカメラに合わせて、作成してみたらいかがだろう?
(1)初期型
 フリース生地を購入し、型紙を作り、家族に作成してもらった。
 二重のフリース生地の間に、アルミ蒸着されたポリウレタン(厚さ5mm)を挟み込み、筒状に
する。両端を絞れるようにし、レンズの先端だけ出せるようにしておく。
 使用しないときは、レンズ自体をカバーの中に入れてしまう。
 内側に懐炉を貼れば、マイナス30℃でも100枚以上の連続撮影ができた。
 (2006/01 マイナス10℃で、160枚の連続撮影ができた)


 オーロラの出を待つ間は、アルミ蒸着されたカバーをかけておく。
 
(2)新型 (二型)
 初期型の防寒装備で実績はあるが、さらに防寒性能を高めた新型防寒装備を作成した。
 (あちこち手を怪我しながら)
 アルミ蒸着された熱反射のいい生地の間に、三枚折りしたエマージェンシーブランケットを縫いこみ、初期型より薄く、保温効果を上げている。

※写真内部はEOS KISSデジタル X 

連続撮影時。カバーのついたリモコンが左の隙間から出るようになっている。

正面から、待機時の様子。
連続撮影時に手前に垂らしていた部分でカメラの液晶部分をカバーする。
待機時には手前は二重にカバーされることになり、効率がいいようだ。
 使用時には中に酸化型カイロを複数挿入。
 2007/01フェアバンクスでの結果、-30℃〜-40℃の間で、300枚の連続撮影に成功。
 2008/01フェアバンクスでは-20℃〜-30℃の間、KISS Xでやっぱり300枚以上の連続撮影が成功。
 レンズの出口にゴムが入っており、操作の煩わしさを軽減。一度セットしたピントはそう簡単にはずれない。さらに保温効果をUPさせている。

 サイズがEOS KISSデジタル(無印)に合わせているため、2009現在使用中の50Dには少し小さめ。だが、バッテリーグリップを使わなければ、使用可能で、効率もいい。
 カメラから一回り大きいだけなので、移動・持ち運びも楽。待機時は上記写真のように背面はマジックテープで固定してしまい、保温が可能。全面はレンズ口をゴムの中に入れてしまえるが、レンズ口はずっと出しっぱなしにしていた。
 サイズをきっちり合わせて作成したため、バッテリーグリップの装着が不可。
 まぁ、300枚程度撮影できるので、それ以上撮影しないならバッテリーの交換は不必要。
 EOS KISSデジタル(無印)、EOS 50Dに使用する場合は底面から問題なくバッテリー交換できる。
 ただし、EOS KISSデジタル X以降のKISSシリーズに使用すると、固定部分の三脚穴とバッテリー装着位置が近く、上記カバーつけたままバッテリーを交換するのは大変。


(3)初期改良型 (三型)
 初期型の内部は発泡ポリウレタン(厚さ5mm)のシートだったが、バッテリーグリップに対応させるため一度ばらして縫い直した。内部の保温シートを発泡ポリウレタンからエマージェンシーブランケットに変更。
 2008年12月 保温効果は過去最高となったが、少し厚くなった分カメラとクイックシューの固定に力とコツがいる。
 結構かさばるので、移動の際にちょっと不便。
 

 
懐炉
 防寒カバーだけでは、意味がない。
 内部に熱源が必要だ。
 これも、ルートにより方法が異なるので、あったものを使用する。
 ・酸化型懐炉
 いわゆる『カイロ』 パックをあけて、かしゃかしゃ振るといつのまにか暖かくなるもの。
 手軽で便利。日本から安いものを持っていくことが可能。
 現地でも売っているが、日本よりかなり高い。
 欠点は、低温で放っておくと暖かくならないこと。
 ・・・・・・鉄が酸化する際に発生する熱を利用している。
 あまりに寒いと、化学反応がすすまない。
 最初のうちは、必ず暖かいところで発熱させること。それから熱が逃げないようにすること。
 例を挙げれば、ポケットに入れておいたらさめてしまうが、コートの下、下着の上などにつけ
ておけば、冷めることは無い。


 ・桐灰懐炉
 固形燃料を燃やすタイプ。(炭のようなスティック)
 低温下ではいちばん効果的。
 欠点・・・・・・固形燃料は、飛行機に持ち込めない。手荷物でも、機内預けでも。
 現地で同型の物が手に入るのは難しいのでは?
 懐炉ごと購入できればいいが。
 アウトドア用品の店が多いフェアバンクスなら、現地調達も可能だろう。(ウォルマートには存
在した)
 オーロラのホームページでありきたりのアイテムとして紹介されてはいる。
 しかし、ナリタで発見されると、問答無用で没収される。
 ナリタの検査は甘いので、すり抜けることもあるかもしれない。
 実際、フェアバンクスで知り合った方の中には、もぐりこませて持参したという方もいた。(違
法です)
 海外で発見されて捕まっても知らない。カナダもアメリカもはかなり厳しいぞ。
 ※しかも、どうやら極低温下では消えやすいらしい。上手くいかないものだ。


 ・白金懐炉
 有機溶媒を燃やすタイプ。
 欠点・・・・・・有機溶媒も、飛行機に持ち込めない。手荷物でも、機内預けでも。
 可能性・・・・・・ホワイトホースで知り合った山田野田吾作さんの案では、
       @本体だけ持ち込む。Aオイルライター用のオイルを入手(お土産物屋などで)
       二段階踏んで、使用するというもの。
       まぁ、現地でベンジンが手に入ればそれでいいんだけど。
        
 ・カメラ用ヒーター
 リボン(ラバー)ヒーターを改造したもの・・・らしい。
 自作で、カメラに巻きつける。ヒーターのバッテリーは保温しなくてはならないが。
 2007/01フェアバンクスの空港で。
 上記の自作防寒装備を手荷物で持ち込もうとした人がいたらしい。
 バッテリーから延びるコードが爆弾に見えたらしく、セキュリティチェックが騒然となっていた。
 ヒーターを使って保温するという発想は、私には無かった。結局、バッテリー部分を保温しなく
てはならないのだから。
 しかし、カメラ全体を保温するより、バッテリーパックを保温する方が、保温装備は簡素化で
きるかもしれない。今後、考えてみよう。

霜とり
 いままで全然意識していなかった。
 しかし、2008のフェアバンクスで霜の付着を体験。
 これが付いてしまうと大変である。
 KISSシリーズを使っていて、私とおなじ魚眼レンズを使っていた男性は暖かいロッジの中で霜を取ろうとしてレンズが温まるのを待ち、結露をふき取り、磨き・・・・・・とかなり大変な様子だった。
 私もこれをやるのか・・・と覚悟をきめて懐中電灯(LEDライト)をあてたところ、あれれ?
 霜が消えて行くぞ?

 と、いうわけで。
 霜取りには懐中電灯の明かり(温度)くらいで十分らしい。
 周りの人の迷惑にならないように注意は必要。


クーラーバック
 ?・・・・・何を言ってるの? と、言うなかれ。

 外はマイナスの世界。
 守らなくてはならないものがたくさんある。
 ・バッテリー
 ・バックアップメディア
 ・その他、低温に弱いもの。
 クーラーバックの内部に、ペタペタと酸化型の懐炉を貼る。これが以外に便利で、内部を冷え
切らせない。
 ただし、大きめなバッグに懐炉を貼ると、部屋に持ち込んだとき貼っていない部分が結
露することがある。精密機械は要注意!!
 タオル地の袋などに入れておくと安心。
 大きなものは持って行くことはできないが、今は折りたたみのできるタイプのものが安価で販
売されている。お弁当箱サイズのものがお薦め。
 結露に気をつけて、オーロラ観測には、ぜひ一つ。
 絶対に、あると便利。






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