このページは「再会」の変更バージョンです。
主人公が美月に屋上で面会したシーンから始まります。
おち的には「再会」と同じですが、それまでの展開は変更されています。
あなたはどちらが好みでしょうか? [by主人公]
美月が僕の胸元で泣いていた。 誰も自分を受け入れてくれない孤独、その全ての感情がまるで一気に爆発したかのように彼女は泣き続けた。 皆、志穂のことばかり見ていて美月のことは考えなかった。 僕も考えなかった、それどころか彼女のことを疫病神みたいに思っていた。 なぜ美月のことを考えようとしなかったのだろう。 彼女も初めからこんな性格ではなかったはずだ、ふつうの女の子が人を殺そうとするほど男に対し憎しみを持った、 そのことがどんなことかなぜ誰も思わなかったんだろう。 彼女は待っていた、口ではなんて言っても美月は自分のことを大切に思うってくれる男性を待っていたんだ。 あの時彼女の言った「男はみんな志穂ばかり私の立場はどうなるの・・・」と言う言葉が何よりもの証拠だ。 僕は泣き続ける彼女を抱き寄せた。 「志穂に戻らなくていい。」 美月は驚いたような顔で僕の顔を見上げた。 僕自身信じられない事を口にしたと思う。 「君が志穂に戻りたくないのなら戻らなくていい、僕これからも君の元に来るから毎日来るから・・・・・・・・・・・・。」 僕は志穂に戻らなくてもかまわないと思い始めていた。 別もし戻らないのなら美月を愛し続けよう、志穂も許してくれる。 彼女は何も言わず無言でうなづいた。 美月は僕の背中に腕を回し僕を強く抱きしめる。 僕の胸に顔を埋め泣きやむとまるで迷子の子供が母親に抱きついているような安らかな顔をしていた。 そして僕と志穂ではなく赤坂美月との同棲生活が、始まった。 赤坂美月、僕が初めて会った美月とは別人格、いや別人の赤坂美月、 彼女はこの半年間僕が見てきた美月とはまるで別人だった。 初めて会ったときのあの美月を連想させられるほど彼女は優しく明るくそして愛らしい女性だった。 志穂なのか美月なのか区別が付かない、もしかしたら志穂の人格が戻ったのではと時折思ってしまう。 ただ志穂と違う点と言えば自分の高校の頃の事を何かと僕に話そうとするとこ。 まるで死んだ時から今の時間、 その間の僕に会わなかったブランクを取り戻そうとしているかのように美月は自分の全てを僕に話し続けた。 彼女の話を聞くうちに思うことが本当に美月は志穂の意識下で生まれた多重人格なのだうかと言うこと。 志穂が美月の性格を事細かく覚えていたとしてその情報を元に無意識で人格形成をしたとしても、 美月の記憶、志穂も知らないであろう彼女のプライベートの記憶まで共有することは不可能なはずだ。 美月の話の中には志穂も知りもしないような話まででてくることがある、 彼女がただ単に作っている架空の記憶の可能性もあるかもしれないが。 同棲生活を初めて数日、部長や二村に美月のことを紹介した。 志穂の記憶が戻らなかったこと、今美月とくらしていることなど何一つ隠さず全部はなした。 この数週間美月との生活で僕の心は少しずつ彼女のことで埋められていった。 夜、時計は午前二時を指している。 なぜか僕は眠れずベットのに背もたれ窓から外の風景を見ていた。 雪はまだ残っているため月光が雪に反射して思ったより外は明るい。 「私・・・・・・・・・・・ちょっといい?」 ドア越しから美月の呼ぶ声が聞こえる。 僕が立ち上がろうとすると美月はドアを開け僕の部屋に入ってきた。 「美月・・・・・」 彼女の姿を見て僕は驚いた。 ただのパジャマ姿なのだが、胸の辺りまでボタンがはずれておりその隙間から胸の谷間が見えた。 下着はつけていない、まるで僕を誘惑しているかのような格好だ。 「ちょっと眠れなくて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 そう言うと美月は僕の側に座り僕に寄りかかってきた。 しばらくの間僕たちは外を眺めていた、時折美月が寒そうに身を震わせるので毛布を掛け肩を抱き寄せた。 「ありがとう、あなたには本当に感謝しているわ・・・・・・・・・・・・・・・。」 美月の顔は今まで僕に話をしていたときと違い何かものすごく真剣なそして悲しげな顔をしていた。 「私・・・・・・志穂に悪いことしてきた・・・・・ 私、あの娘がねたましかった・・・・・・・私がサイテーな男にだまされていたのに あの娘ばかり優しそうな人に好かれて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの娘のためなんて何も考えなかった、 あの子に悪い男が寄りつかないようにって・・・・・・・・・・・・・・・・あの子をいじめていただけなのよ・・・。」 「でも美月、それでも志穂のこと好きだったんだろ。」 「なぜそう思うの?」 「志穂のことが嫌いなら、悪い男がなんて言いやしないと思う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 志穂も今美月のことを自分の中に受け入れているんだ、二人は仲のいい姉妹なんだよ。」 このあとしばらく二人とも何も話さなかった。 そして美月が僕に座ったまま抱きついてきた。 「・・・・・・・・・・・・今日はこのままあなたに抱かれようと思ったけど・・・・ そこまでしたら志穂が可愛そうよね・・・・・・・・・・・・・ 今までありがとう・・・・・・・・・・・・・・・私、もう思い残すこと無いから・・・・・・・・・・・・。」 「美月!?」 美月は泣いていた、しかしその顔は微笑んでおりそこからは無念さが感じられなかった。 「さようなら・・・・・・。」 そういうと美月は顔を近づけ僕たちはキスをした。 いつまでも続くように思えた長いキス、唇を静かに離すと美月は僕の胸で眠りについた。 午前四時頃、日が登りはじめ窓からうっすらと光が部屋を照らし始めた。 僕は一睡もせず美月を抱きしめていた。 生気あふれる彼女の体を抱きしめているにもかかわらず気持ちは大事な人を失った気持ちでいっぱいだった。 美月はいなくなった、その体を妹に返すため眠りについた。 僕は泣かなかった、ただただ志穂の体を抱きしめていた、 今度この体が眠りから覚めたときは志穂が僕の元に帰ってくるのだ、泣いてなんかいられない。 静かだった、この部屋で聞こえるのは志穂の吐息と時計の針の音ぐらい、たまに外から車のクラクションが聞こえた。 「うっんん・・・・・・・・・。」 志穂が目覚め始めた。 僕の背中にまわしてある彼女の腕に再び力が込められる。 「・・・・・・・ただいま・・・・。」 志穂は胸に顔を埋めたままだ。 彼女の頬に涙が流れるのに気づいた。 「姉さんとお別れしてきた・・・・・・・・・・・。」 その言葉を聞くと僕は泣いてしまった。 泣くつもりは無かったのに泣いてしまった。 志穂に気づかれないように一生懸命にこらえようと思ったが無駄なことだった。 肩をふるわせ鼻をすすり、声だけは出さないように、とにかく泣いた。 それから一週間ぐらいたった。 僕は大学に行くため玄関をでた。 あれから当分の間、僕の心は美月のことで落ち込んでいた。 志穂がいるのに、あれほど会いたかった志穂が戻ってきたのに僕は彼女に対してあまり元気に接しなかった。 志穂の方もそんな僕に気を使ってくれた。 何も言わず何も聞かず明るく振るまい僕の側にいてくれた。 大学も昨日まで休んでいたが、もういつまでも落ち込んではいられない。 志穂のためにも僕も元気にならないといけない。 学校に行けば少しは気が晴れるだろう。 志穂は留守番をすることになっている。 「じゃ、夕方には帰ってくるから・・・・・。」 靴ひもを締め玄関まで送ってくれる志穂にそう言ったとき僕の顔に彼女の顔が近づいてきた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 僕の口をふさいだ彼女の柔らかい唇が離れ、志穂は微笑んでいた。 その表情は僕の今の気持ちを知っているかのように、僕を応援してくれているかのように優しかった。 「行ってらっしゃい。」 今日もいい天気だった、雪はまだ残っているけどそんなに肌寒くない。 あれからなぜ美月は自殺したのかを僕は考えていた。 美月は、彼女は自分を思ってくれる男性を待っていた、それは違いない。 ただ「二度と男にだまされるものか」と言った気持ちが彼女の気持ちを押し殺していた。 求める気持ちと拒む気持ち、その相対する気持ちに板挟みになり、美月は耐えきれず自殺したのではないだろうか。 この数日間の生活が彼女にとって幸せな物だったと信じていたい。 志穂の意識下に眠りについてしまったがこれからは志穂と一緒に生きていくに違いない。