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「ダブルキャスト」ロングストーリー
−After GoodEnd03−(下)
―――――――――――――――第8章:真実は・・・―――――――――――――――
夏休みも終盤にさしかかったころ、撮影は無事に終了した。残すは編集のみ・・・
・・・なんだけど、はぁ、また僕がやることになってしまった。
理由は簡単、新入部員が入ってこなかったから去年やった僕がやらされているわけ。
意外にめんどくさいんだよなぁ・・・。しかものんびりできないし・・・。
そんなグチをたれているときに、志穂のことが頭に思い浮かんだ。
そういえばどうして、あのとき志穂の男言葉は直り、男を蹴ってしまう癖も直ったのだろうか?
ひょっとしたらそれって・・・。
「志穂! ちょっと本屋に行って来るから!!」
「うん、わかった。夕御飯までには戻ってきてねぇー! いってらっしゃいー!!でもなんでそんなにあせっているの?
てっ・・・もう行っちゃたよ。」
本屋に行くなんて、もちろんウソ。本当は南西総合病院・・・、そう森崎先生の所へ・・・・・・。
「はぁはぁ、はぁはぁ、森崎先生!!」
「どうしたの? そんなにあわてて。」
「志穂のことなんですけど、男言葉と男を蹴ってしまう癖が直ったんです。記憶はまだ戻ってないですけど。」
「!? それは本当なの?」
「はい、なんか僕が退院した次の日かららしいです」
「そう・・・、それじゃあ男言葉と男を蹴ってしまう癖が直る前の日になにか感情の大きなゆれがなかったかしら?」
「えーと、その日は僕が丸一日の睡眠から目が覚めて・・・。あっ! そうだ!」
「何かあったのね。」
「はい、志穂が泣きました。しかも泣き疲れて寝るまでずーと・・・。」
「志穂ちゃんはあなたを心配して泣いたのね?」
「はい。」
「それね、まちがいないわ。」
――――――――――――――――第9章:映研――――――――――――――――
森崎先生の話はこうだった。
志穂が僕のために泣くためには、志穂の中の美月の人格がほとんど無くなり志穂の人格が
表面に出てこなければならないらしい。そのためあのとき泣いたことにより志穂の人格が表面に出てきて、
その状態が今でも続いているために男言葉と男を蹴ってしまう癖が消えた。
最後に森崎先生は深刻な顔をして僕にこんなことを言った。
「・・・なにが起こっても志穂ちゃんを離しちゃダメよ。」
「えっ? はい、わかりました。」
「まだちゃんと調べてないから確かなことは言いにくいんだけど・・・・・・。」
「なにか起こりそうな予感・・・ですか?」
「ええ・・・。」
確かにいやな予感がする。よくはわからないけど何となく感じる不安・・・。
「ねぇ。」
・・・志穂・・・志穂・・・志穂・・・志穂・・・・・・
「ねぇったら!」
・・・志穂・・・志穂・・・志穂・・・み・・・つ・・・き・・・・・・!?
「ねぇ!! おーい、生きてるかー?」
「・・・!! ん!? えっ! あぁ? ははは。」
「ボケーッとしてないで、早くご飯食べよ。」
「あぁ、そうだね。それじゃあ、いただきますか。」
「うふふふ。」
「ん・・・? どうしたの」
「うふふ、じゃーん!!」
「!! どうしたのそのケーキ?」
「なーにいってるの。今日キミの誕生日じゃない!」
「あっ、そういえば。」
”パンッパンッパパパパーン”
なんなんだこのクラッカーの音は!?
「いやー、いつもながらお熱いねえ、お二人さん。」
「「ひゅーひゅー。」」
その声は二村に映研のみんな! ということは・・・・・・。
「よーし。これから飲み会だー!! 行くぞー!!!」
剛田先輩の声が響き渡る・・・、そうこれから始まるのは映研恒例誕生日飲み会・・・。
ただ名だけで内容はいつもと同じくひたすら飲むだけ。はぁー、明日は二日酔いかぁ・・・。
「と言いたいところなんだけど、今日は特別に許してあげる。」
「「えー!? 部長、マジっすかぁ!?」」
「さぁ、帰った帰った。それじゃぁ、志穂ちゃんとがんばってねー。うふふふ。」
余計なお世話である。
――――――――――――――――第10章:気持ち―――――――――――――――
みんなはさっさと帰っていった。めずらしいこともあるもんだ。
「あー、びっくりしたー。結構みんな暇なんだね。」
「・・・そうなのかなぁ?」
「それよりさ、ケーキ食べようよ。あっ、それとも私に食べさせてもらいたい?」
「い、いいよ! じ、自分で食べるから!!」
「なによー。そんなに嫌がることないじゃない!」
「い、いや、そうじゃなくてね・・・。」
「・・・私のこと嫌いなの?」
「なっ、そんなことないよ! 絶対に!!」
「そっか、それならよかった。じゃあ、私のことどう思ってるの。」
一瞬ドキッとした。そういえば志穂にちゃんと自分の気持ちを言ったことがない、出会ってから一度も・・・。
どうして今まで言わなかったのだろうか? いや言えなかったのかな?
志穂との関係が壊れてしまうのが怖くて・・・・・・。
「ねぇ? ・・・やっぱりいいよ。」
「えっ・・・?」
「キミの気持ち、わかってたんだね、私。たぶんずーと前から・・・。
キミとこうして一緒に暮らしていると楽しいし。なんだかもう記憶が戻る戻らないなんてどうでもよくなってきちゃった。
それより私はキミとこうして今まで通り楽しく暮らしていきたい・・・。
あっ、なんかなに言ってるかわかんないね、どうしちゃったんだろう私。なんか変だね。」
「志穂・・・・・・・・・。」
「キャッ!」
僕は志穂を抱き寄せた。後から考えるととてつもなく大胆なことをしたものだ。で
も、そのときは体が勝手に動いた・・・。
「・・・・・・離さない。」
「えっ・・・。」
「なにが起こっても志穂だけは絶対に・・・。だから・・・・・・。」
「だから・・・?」
「記憶が戻らなくてもいいなんて言うな。全部・・・全部、受け止めるから、志穂のこと・・・、どんなことでも。」
「・・・ありがとう。こんなボクのことそんなに思ってくれて。」
「(・・・ボ・・・ク?)・・・志穂・・・。」
志穂と僕は自然にキスをした・・・。
――――――――――――――第11章:とらわれた心――――――――――――――
志穂・・・。
「うああ。うっうっ、」
「!? 志穂?」
「いや、あっいやああああああああああああああああああああ!!!!」
「志穂!? 志穂、志穂、おい志穂!!」
”バシッ”
「さわってんじゃねーよ!!」
「!?・・・志穂どうして僕を殴る!? 志・・・!! ・・・み・・・つ・・・・・・き!? 美月!! どうして!?」
「ふん!! うっさいわねぇ。まぁいいわ、教えてあげましょうか? 簡単なことよ、だって志穂は私のモノなんだから。
きゃーはっはっはっはっはっは!!」
「それは違う!! 君は美月じゃない志穂なんだ!!!」
「まだわかんないの?」
「・・・!? なんのことだ?」
「私は今まで休んでいただけ・・・。そう志穂を記憶喪失にすることも男言葉にすることもすべて私の自由なの。
つまり私は完全に志穂を支配しているの。」
「!? ウソだ!!」
「ウソ!? おもしろいこと言うわね。なんなら志穂を帰してあげましょうか? もちろん、記憶をなくしてね。
きゃーはっはっはっはっはっは!!!!」
「・・・!? ウソじゃないみたいだな。でもそんなことをしたらおまえの記憶もなくなるんだろう!!」
「おあいにく様、なくなんないの。残念でした。・・・さてと、もう用も無いし、さようなら。・・・うふふふ。」
「待て!! 美月!!!」
美月が、玄関を出ていった後につづいて、僕も玄関を飛び出したが、もう、そこには志穂・・・、
いや美月の姿はなかった・・・・・・。
――――――――――――――第12章:『赤坂志穂』――――――――――――――
はぁはぁはぁはぁ・・・・・・、志穂・・・・・・。
あたりはもう暗く街灯の光がただまぶしかった・・・。
もう、会えないのだろうか? もう一度志穂に会いたい。
その時だった・・・、街灯の光の下に・・・・・、そう、それは紛れも無く『志穂』だった・・・・・・・・・・。
「!? 志穂!!」
「・・・また、会えたね・・・もう、二度と会えないかと思ってたよ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・志穂・・・・・・。」
泣いていた・・・でも、どこか僕に対して微笑んでいた・・・・・・。
いつのことだっただろうか? 僕と志穂が出会ったのは・・・・・・、
すべては偶然だったのかもしれない。初めて『美月』に出会ったことも、今『志穂』にまた会えたことも・・・・・・。
偶然でも何でもいい・・・僕はただ志穂にずっとそばにいてほしいだけ、夢でもなんでもいいから・・・・・・・・・・。
「・・・志穂・・・・・・帰ろう・・・。」
「ボクも帰りたい・・・・・・でも、もうダメみたい。」
「何言ってんだよ! 帰ろうよ、2人で!!」
「・・・・ありがとう・・・本当にキミに会えてよかった・・・、絶対忘れないよ
キミのことだけは・・・どんなことがあっても、キミのことだけは絶対に・・・」
「・・・・・・・」
もう、何も言えなかった・・・、僕にはただ志穂の顔を見つめていることしかできなかった・・・。
「このネックレス・・・キミにあげるよ・・・。」
「・・・・・・えっ・・・?」
「ボクがここにいて、キミに出会っていっしょに暮らした証拠としてとっておいて・・・・・・ね・・・?
また、あの時みたいに2人が出会ったらちゃんと私に返すんだぞ。」
「あぁ、わかってるよ。必ず返すよ。」
「・・・また、会えるね?」
「会えるよ・・・絶対に・・・。」
「・・・そうだよね、また会えるよね!・・・・・・・・・・うっ・・・、もう本当にダメみたい・・・。」
「・・・志穂もう無理しなくていいよ・・・。大丈夫、絶対また会えるから」
「・・・・・・ありがとう・・・・それじゃあ、またね。」
『志穂』は『美月』に戻り、闇に消えていった・・・。
―――――――――――――エピローグ:ダブルキャスト――――――――――――
「おーい、そこ準備できてる?」
「はーい、オッケーでーす!!!」
「それじゃあ、本番いくよー!」
「監督!」
「ん? な〜に?」
「ちょっと待ってください。」
「いいわよ。」
「これ、君に返すよ。」
「? これくれるの?」
「違うよ、約束したじゃない。また出会ったら返すって。」
「? ごめん、なんにも覚えてないや。」
「いいよいいよ。じゃあこれは僕から『赤坂志穂』へのプレゼント。」
「本当? ありがとう!」
人は様々な顔を持っている・・・。
人はいったい、いくつの顔をもっているのだろうか?
遊ぶ、ため?
勉強する、ため?
そして恋をする、ため?
そしてどれがいったいどれが本当の自分の顔なのだろうか・・・?
・・・・・・THE STORY MAY BE NEVEREND...
作者:あきら
著作:ソニー
スペシャルサンクス:けんじ
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