グルルル・・ルル・・ル

「ついたよ」

「ん・・ぁあ。どうも・・・ん?えっ!」

そこは僕の見慣れた家・・・・・でなく巨大な橋、横浜ベイブリッジだった。

雑誌でデートスポットとして紹介されていたので記憶に残っていた。

「なーにしてんの?外出るよ」

「あっはい」

僕はペットボトルホルダーからDOLVICを取って車の外に出た。

DOLVICは僕用に買ったみたいだから飲んでもいいはずだ。

涼しい風が心地いい。

お酒はほとんど抜けてるみたいだ。

ほっと胸をなで下ろすと寝起きの乾いた喉を潤した。

「部長どうしてここに?」

「それよりあれ!」

僕の手を引っ張って指差した先には最高の夜景があった。

ベイブリッジを挟む川に立つネオンがダイヤのように輝いている。

華舞伎町とは違う、なんていうか上品な感じのネオンだ。

そこに動く宝石・・いや船がこっちに向かって来た。

「わあ・・

思わず同じ言葉を口にする二人。

「ねえ?あんたカメラをやめられる?」

「えっ?何です?・・・・・やめられないですよ」

「あたしにおける監督もそう。やっぱやめられないのよ。辛いことも正直たくさんあるけど結局これしかなくて、きっともうだめだって投げ出してもすぐに戻ってくると思う。だから私はもう弱音ははかないわ。逃げられないってわかっているから。録って録って録りまくってればそのうちなんとなく浮かんでくるわよ。それで限界まで体張ってそれでもダメだった時落ち込めばいいんじゃないの?」

『確かに・・ずっとやってきたいしそう考えたら・・』

「ここから人の大きさて見えないくらい小さいでしょう?その人の三分の一にも満たない頭の中の話なのよ。悩みなんて」

「もしかしてそれを教えてくれるために来たんですか?」

「そういうこと、まーかわいい後輩の悩み相談に乗るのも部長の務めだからね」

そういうと照れくさいのか又夜景の方を見てしまった。

悩んでたのが時間の無駄なような気がして気持ちが楽になった。

「ほんとに・・ほんんんとうにっっっ!ありがとうございます」

部長の優しさに胸がいっぱいになった。

頭を下げた僕はあることに気づいた。

DOLVICの口元にピンクのルージュがついている。

部長の口紅だ。僕が寝てる時に飲んだのだろう。

もう飲んじゃったけど・・。

間接キス・・。

ドクンドクンドクンドクン

「よしっ朝日が昇る前に帰るわよ」

口元ばかり目がいってしまう。

あの艶やかな唇が・・

「ねえ?聞いてんの?」

「はっっ!きれいですよね夜景」

「・・帰る話よ」

「・・・・・・」

僕の顔を覗き込むようにして近づく。

『やば!そんなに近づいたら!』

ドクドクドクドクドクドクドクドク

「ははーんさてわ、口紅の跡に興奮してたんでしょ?」

『ギクッ!!部長は妙な所でするどい』

「そ、そげなことなっないです!!」

「・・・あんたってわかりやすすぎ」

「ムッ・・部長と違ってそんなに経験がないもんで」

皮肉めいた言い回しで返したが

「わっ私だってそんなに・・」

『あれっ!?平手打ちが飛んでくるかと思ったのに』

部長は頬を赤らめている。

いつもの凛々しい部長じゃない、初めて見る少女のような顔だった。

見つめあう二人。

沈黙が流れる。

「・・可愛いですよ、部長。照れてる部長て初めて見たけど」

「なっ!よっぱらい男のくせに生意気よ」

「よっぱらいでも男ですよ!か・可愛い人を誉めるくらいいいじゃないですか」

そういうと子猫のような目で僕の顔を覗き込んだ。

『か、可愛すぎる・・』

「男ねえー。でも男らしいとこ見たことないけど」

「じゃ見せますよ」

背中を向けた部長の肩を抱きしめた。

「・・えっ?むぐっんっ」

ボーーー!

間延びした汽笛の音が鳴り響く。

お酒の力がなかったとはいわない。

唇に柔らかい感触が当たる。

映研のみんなが気づいていない華奢な肩。

女の子特有の甘い香りがする。

部長の唇を半ば強引に奪ってしまった。

殴られるかと思ったが抵抗はなかった。

「部長の・・いや遥の唇柔らかい・・」

肩を優しく強く引き寄せ低い声で囁いた。

部長はうつむき加減で恥ずかしそうな顔をしている。

「ずっと思っていたから・・嘘じゃないでしょーね?

「えっ!」

消えいるような声で確かにそう言った。

予想外の反応に僕まで照れくさくなってしまう。

「で、でも、決して軽い気持ちじゃなくいや今日特にドキドキしたってのもあるけど、前々からきれいだなとはっ!!」

気づいたら意味不明の言葉を並べていた。

「もう・・ムードないわね」

「すいません・・」

「しょーがないか。・・帰るわよ」

「はいっ」

僕は部長の手を深く繋いで車に向かった。

「でもあたしにキスしたんだしその分たっぷり雑用を与えてあげないとね」

「そっそんな!!!トホホ・・」

遠ざかる車をようやく橋をくぐり抜けた船だけが見ていた。

ボーーー!

まるでこれからの二人を祝福するかのように

 

Fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ``っ!!!

「どうしたんですか?」

「あんた吐いた口でキスしたでしょ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ!」

すっかり忘れていた。

でも僕らはもう恋人なんだしそのぐらい・・

バシンッ!!!

なわけない・・・ははっはははっ(泣)

NORMALENDING7

達成率105%

FIN


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