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Ĉu vi kredas je magio?
価格は購入時現在のものであり、原則として税抜きです。

1月

『甲斐修侍のフットサル バイブル』 甲斐修侍、日本文芸社   ISBN4-537-20227-0   (1200円)

 本を読めばフットサル(にしろサッカーにしろ)がうまくなる、なん てことは決してない。きっと子どもだったら、理屈などいらず、体だけ で覚えることができるだろう。悲しいかなぼくは大人になってサッカー を始めた。体が硬くなっている分、理屈で補うしかない。

 本を読めば上達するなんてことはないのに、フットサル本を見つける と買ってしまうし、読み耽ってしまう。本によってそう違ったことが書 いてあるわけでさえないけれど、買ってしまい、読んでしまう。あ、こ れは著者に失礼か。でも実感である。所詮、ボールを蹴って前に運び、 敵の防御を破ってシュートを打つ遊びだ。そして敵の攻撃を防ぎ、味方 の攻撃につなげる遊びだ。誰が論じても根本的な違いはない。

 でも、この本は、有名チーム「カスカベウ」を率いる著者ならではの 実戦的実際的なテクニックや心構えが述べられていて、ずいぶんと参考 になった。それを読んだだけで上達するなんて決してないという事実だ けが悔しい。

(01/16)

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『オフサイドはなぜ反則か』 、日本文芸社   ISBN4-10-114916-X   (629円)

 サッカーを語る上で見逃してはならない名著のようなので読んでみた。

(01/16)

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『愛すべき娘たち』 よしながふみ、白泉社   ISBN4-592-13295-5   (552円)

 ある人が「読んだら面白かった」と言っていたので興味を惹かれて読 んでみた。

 面白い。そして、深い。

(01/19)

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『サッカーの歴史』 アルフレッド・ヴァール(著) 大住良之(監修)、創元社   ISBN4-422-21161-7   (1400円)

 本屋で見つけて面白そうだったので入手。歴史といえば 『オフサイドはなぜ反 則か』といった本もあるわけだが、完璧な歴史書などないのだから 一冊だけで判った気になってはいけないだろう。

 おそらくはフランス人著者がフランス人向けに書いた原著初版(1990 年でやや古い)を、おそらくは大住良之が出版時(2002年1月)までの 変遷について補足し、また日本人向けの記述も足して出版したのであろ う。サッカーの歴史を振り返っておくことは有意義だと思って買ったの だけれど、読んでいてちょっぴり違和感があった。何もわざわざそのよ うな手を加えなくても、日本人が一から書いたのだっていいじゃないか と思ったのだ。

 とはいえ、130年にわたる近現代フットボールの歴史と変遷とをコン パクトにまとめ、要所もたぶん抑えており、世界各国でのサッカーの発 展にも触れているのは大したものだと思う。

(01/25)

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『サッカー移民』 加部究、双葉社   ISBN4-575-29602-3   (1800円)

 雑誌『サッカー批評』に連載されたドキュメントを一冊にまとめたも の。連載時から興味深く読んでいたが途切れ途切れだったので買ってみ た。

 日本サッカー発展の陰にはブラジルからやってきた「日系二世、三世」、 それだけでなく、日本人の血が入っていないブラジル人たちの功績がある。

 個人的には「日系」ということばに違和感がある。

(01/29)

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『ローマ帝国衰亡史 I』 ギボン、平凡社文庫   ISBN4-575-29602-3   (1800円)

 確かこの頃に読了した。

 といっても第一巻なので、本当は読了に数えてはいけないのだが、全 部で十巻もあるから読み終えるのはまだずっと先だ(一巻だけで何ヵ月 かかったことか)。その頃には最初の一冊を読んだ感想など忘れている に決まっているので、特に感想を記しておく。

 文庫版で一冊五百ページもあるような文章が十冊も続くから、読む前 はどんな内容かとおののいていた。ひとつの出来事を微に入り細を穿ち 論じ、、一年経つのに十ページもかかるような緻密な文章が続いている のかと思っていた。ところが案外そうでもなく(訳文に対する感想です が)、視野や視点を自在に変えたダイナミックな叙述で一度調子をつか めばすらすらと読める。面白いんである。

 ただひとつ気になるのは、ところどころ文末がぞんざいというかざっ くばらんというか、「話しことば調の体言止め」が目立つところ。今適 当にページを開くと、

彼にとっては、この神に対し迷信的感謝を捧げることだけが、治世唯一 の重要国務だった。エメサの神が世界すべての宗教に勝利するというの が、彼の信仰と虚栄との最大念願だったわけ。(p.260)
ブリタニアの制服と、そしてローマ帝国がその属州の北限をこの島と決 めたことは、先にすでに述べたはず。(p.62)
だが、古代ゲルマニアに関するこの一大高説も、実はたった一つの事実 だけで完全に崩壊し去るはず。(p.372)

 これは最初原著者の文体を映したのかと思っていたらそうではないこ とが巻末の「元版第一巻あとがき」を読むと判る。これが訳者の癖なの か、「である調」の堅苦しさや平板さをを打破する試みなのか、まった く何でもないのかは判らない。しかし、こんなことを気にするのはぼく だけかも知れないが、せっかくの「ローマ帝国が滅亡に向かう物語」が この体言止めでところどころ調子を狂わされている感じがした。

(01/31)

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2月

『もっとソバ屋で憩う』 杉浦日向子とソ連、新潮文庫   ISBN4-10-114916-X   (629円)

 ふと本屋で見つけて、電車の中などで退屈した時やつまらない旅行の 間に読むのにいいかなと思って買ったのだが、それ以上の面白さ。

 もちろん、こういう本を読もうと思うくらいだから、ソバ好きである。 自分ではそう思っている。

 悲しいのは、この本に紹介されている店のうち、自分が行ける店はす ごく限られていることだ。いや、でもまあそれでいいのだろう、お気に 入りの店なんて自分で探し発掘するものだろうから。この本のおかげで、 近所に二、三軒憩えそうな店を見つけた。

(02/05)

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『SHOOK UP!』 広江礼威、小学館   ISBN4-09-157261-8   (552円)

 去年出会った『BLACK LAGOON』の作者の旧作。あれ、『BLACK LAGOON』 の感想が書いてないな。まだ継続中の作品だから控えたのかな。多分そ うだろう。『鉄腕バーディ』のことも書いてないし。2003年の9月16日 に1、2巻を買い、その日のうちに読んだ。1巻の途中まで読んでの読後 感は――

 さて本作『SHOOK UP!』は『BLACK LAGOON』に先立って書かれた作品 で、連載を打ち切られた悲しい過去を持っているらしい。見たところ文 章で言う「若書き」で(ただし絵柄ではなくて絵の構成とか筋の運びと かいう部分でのこと)、物語の背景が読み取りづらいし、人物の配置や 書き込みもちょっと注意が足りない感じでどこに誰がいて何がどうなっ たのか前を何度も読み返さないと把握できないところがある。

 本のオビには「これがなければ『ブラック・ラグーン』は生まれなかっ た」と書いてあるが、それはどうなんだろう。まぁ、やたらと乱暴な女 主人公がいて、やたらと乱暴をして、どちらかといえばひ弱系の主人公 との葛藤があって、ひと悶着があって、軍隊が出てきて戦闘シーンがあ るという点では共通する。しかし本作では人死には出ないし、事件もそ こそこ平和的に解決する(連載が続いていたら凄惨な話になっていった のかもしれないが)。テッテ的に破壊する意志が躍動する『BLACK LAGOON』とはこの点が大きく違う。思うにそれは女主人公と彼女を取り 巻く仲間たちとの相互作用が描かれたからで、ここに作者の基調低音 (のひとつ)を見た思いがした。「限界状況でいかに踏みとどまって 『つながり』を重んじるか」は、もしかしたら『BLACK LAGOON』でも今 後描かれていくのかも知れない。なんか書評ぶってるぞ(笑)

 伊藤「大佐」が気に入った。これもまぁありきたりのキャラクターな んだけど、国防組織の命を受けて行動する渋い脇役を完璧に演じていて カッコイイ。現実の国防組織がこれほどコワモテであり、現実の国防組 織にこんなに渋い軍人がいるなら、大いに尊敬するのだが(決していな いと言っているわけではない)。

(02/12)

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『高速回線は光うさぎの夢を見るか?』 華倫変、太田出版   ISBN4-87233-697-6   (1100円)

 ふと本屋で見つけて、なんとなく気になって買った。高橋源一郎がオ ビの惹句を書いていたせいもある。

 読む前に、華倫変という作家はどういう人かネットで検索したら、い きなり、既になくなった人であるらしいことが判り、驚く。なくなった のは2003年の3月とのこと(本書初版は2002年10月)。そういうことを 知ってしまうと、読む時にもその情報が頭についてしまう。

 読むと、作品世界や作中人物の絶望感、閉塞感、怒りも嘆きも通り越 し涙も乾ききった諦念がひしひしと伝わってくる。そして、発表媒体の 多くがエロ漫画雑誌という理由もあるだろうが、主人公は女であり、セッ クスをし、強姦されたり輪姦されたりもし、死んだり生き延びたりする。 絶望や閉塞や諦念を乗り越えて? そいつらを抱えたまま? そいつら と向かい合って? いやー、どれでもない気がする。ポジティブでもネ ガティブでもなく、何か、透明になって。いや透明でさえない気もする。 うまく言えないしそもそも判らない。すごい作家だったんじゃないかと 思う。

(02/15)

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『エイジ』 江口寿史、ホーム社   ISBN4-8342-7291-5   (571円)

 ずうっと昔、単行本(A5サイズ)で出たと思う。その時に読んだと思 うのだが、それに今回の「エイジ85」も入っていたかどうか。いやいや 「エイジ2」も入っていたかどうか。

 江口寿史は一流のストーリーメーカーであり、ストーリーテラーだっ たと思う。「だった」というのは失礼だけど、ぼくの中では「書けなく なった作家」に入っている。この辺は論じるといろいろあれこれなので 割愛。

 面白いのだ。作者本人がそう言ってしまうくらいに面白い。絵がちょっ と荒れている感じがあるし背景もいっそ爽やかなほど白かったりするけ ど、女の子はかわいいし、何よりここには遠い昔(20年前だ)の日本が 描かれている。と思うぞ。読めば判るぞ。高校生がロックバンドに入っ ちゃいけないし女子高校生のスカートが膝下丈なんだぞ(笑)。

 完結までは望まないにしても、続きを読みたかったな。「エイジ85」 サイコー。

(02/25)

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3月

『理想のフットボール 敗北する現実』 大住良之、双葉社   ISBN4-575-29659-7   (1700円)

 大住良之はぼくにとって「信頼できるサッカーライター(またはジャー ナリスト)」のひとりだが、著作を読むのはこれが初めて。本屋で手に 取りぱらぱらとめくってみてしばらく考え挙げ句に棚に戻す、というの がずっと続いていた。なぜかは自分でもよく判らない。

 著者が自分の目で見てきたレアル・マドリード(2002〜2003)、オラン ダ代表(1974)、ブラジル代表(1982)、フランス代表(1976〜1986)を取り 上げ、それぞれのチームの「すごさ」「美しさ」とその背景、そしてそ んな素晴らしいチームでも迎える敗北の瞬間を綴っている。思い入れを 廃し適度に乾いた文章と内容が好ましい。

 ところで82年ブラジル代表といえば「黄金の4人」であり、ジーコで ある。現日本代表監督である。ジーコは82年ブラジルのようなサッカー を目指している、らしい。大住良之はジーコ就任の時からの「ジーコ反 対論者」だった。ひとつは監督経験がないこと、もうひとつは現代サッ カーの潮流はオ ートマティズムとダイレクトプレーの重視にあるが、 ジーコの考えはそれに反するという懸念からだったと記憶する。以降若 干のぶれはあったが、2月18日のオマーン戦で「これ以上ジーコに任せ ても良くはならない」と断じた。

 奥付によれば、初版上梓は2004年3月5日(実際の発売日より一ヶ月ほ ど未来の日付を使うのが日本出版界の慣習らしい)。あとがきの日付が 2月。本文の 校正を終えたのは昨年末ごろだろうか。大住さんはこの本 をどんな思いで書いたのだろう。もちろん、出版社の企画も絡むから著 者の意図や意志 がすべてとは言い切れないけれど、時期が時期だけに 興味を刺激される。実は、初めて大住良之を読んでみる気になったのも、 現在の日本代表チームの状況と本書の主題とを比べて著者は何を言いた いんだろうと思ったからだ。

 けっきょく、本文からは直接そのような関係性は読み取れなかった。 むしろ「美しいフットボールさいこー!」と礼賛しているように見える。 わずかに、巻末の元フランス代表監督のミシェル・イダルゴとのインタ ビューが暗示的に感じた。

(03/02)

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『亜智一郎の恐慌』 泡坂妻夫、創元推理文庫   ISBN4-488-40218-6   (1800円)

 これは新刊ではなく単行本は1997年、文庫化も2000年。それを今初め て読むところに、筆者がいかにミステリーから遠ざかったかが読み取れ ることを読者は見落としてはならない。それはもう赤方偏移を起こすく らいの勢いで遠ざかっているのである。

 そんな人間が流石は泡坂妻夫と言っても説得力がないが、ひとつひと つの話の出来がよく、また当時(安政年間、江戸末期)の事件とうまく 絡めてある。出来がいいというのは、亜愛一郎シリーズの初期の作品の ように「論理のアクロバット」がきれいに決まっているということだ。

 ただ、巻末解説で言われているように主人公・亜智一郎が亜愛一郎の 先祖というのだとしたらおかしい。亜愛一郎はどこぞの国の王子だった 筈だ(シリーズの最後の作品でそうだった記憶がある)。

(03/04)

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『ユビキタス・コンピュータ革命』 坂村健、角川書店   ISBN4-04-704088-6   (667円)

 長い間の放置プレイを経てようやく読了。

 坂村健のビジョンの一端をやっと知ったのだけど、うーん、どうなん だろう、どうも「指来たす」には共感できない。

 実際にはもう「ユビキタス」への前進は始まっているし、産業的にも その方向を目指すしかないだろうし(PCが普及しきって飽和したら)、 著者が本書中で強調しているようにユニバーサル化という意味でもそう なっていくべきなんだろうけど、どうも共感できない。

 本書については、「ユビキタスのもたらす障害や弊害、ユビキタスの 暗黒面」をまったく描いていない点で、あまり信用がおけないというと ころだろうか。一点の曇りもない薔薇色100パーセントのテクノロジー なんてないというのはもはや自明だろう。それから、人間て、逸脱しよ うとする生き物なんじゃないかと思うんである(すべての生物が逸脱し ようとする存在といえるかも知れん)。「ユビキタス」の安穏とした束 縛に堪えられるもんだろうか?

(03/08)

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『志ん朝の落語 1』 古今亭志ん朝 京須偕充・編、ちくま文庫   ISBN4-480-03871-X   (950円)

 落語といった話芸を文章で「読む」のは意味がないどころか害をなす、 とかつては思っていたものだけれど、といいつつ『落語鑑賞』(『わが 落語鑑賞』だったかな)は読んだことがあるが、さいきんではそう思わ なくなっている。んなこと言ったら芝居だって戯曲を読むことに何の意 味もなくなる。戯曲は戯曲で「本来生でしか味わえない芝居の味の最小 限が紙に書き留められた、そこから上演時のさまを窺い知るための基礎 資料」としての意味がある(と思う)。それと同じように、書き留めら れた落語の口演も、現場の感触や仕種、話ぶり、口調などのうま味が全 部削ぎ落とされてはいるものの、口演の臨場感を窺わせる資料にはなる だろう。

 なんて堅苦しいことを考えながら読んでいたわけではもちろんないけ れど、口演にかなり忠実(と思える)筆記で、「ああ、現場で聞いてい られたらな」と思った。

 志ん朝の落語って、実は聞いたことがない。落語そのものに疎かった。 自分には縁がないものと思っていたのだが、この本を読んでそれは間違 いだ、縁がないなどと思わずにテレビででも熱心に聞いていればよかっ たと痛感した。

(03/15)

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『冗談新選組』 みなもと太郎、イーストプレス   ISBN4-87257-398-6   (999円)

 新選組の生成・流転・消滅をわずか70ページに圧縮した、作者ならで はのギャグ漫画芸。これが復刊されたのはNHK大河ドラマ「新選組!」 の影響と思われるが(違っていたらごめん)、30年前の傑作が読める幸 せを喜びたい。みなもと太郎さいこー。

 これだけでは一冊にならないので、かどうかは知らないが、三谷幸喜 との対談のほか、1999年に雑誌連載された「仁義なき忠臣蔵」も併録。 これも「みなもと史観」が遺憾なく発揮された快作。「忠臣蔵」にはさ まざまな立場からさまざまな見方が提示されているけれど、こうした視 点は他にないのではないかと思うがどうか。

(03/15)

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N月 いつになったら読むのかな

『すぐわかる確率・統計』 石村園子、東京図書   ISBN4-489-00620-9   (2500円)

(01/??)

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『ららら科学の子』 矢作俊彦、文藝春秋   ISBN4-16-322200-6   (1800円)

(01/??)

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『統計学ハンドブック』  猪股清二、聖文社、ISBN4-7922-1325-8922円

(0?/??)

2003 目次へ

『モノグラフ 統計』 矢野健太郎・監修、科学新興新社、 ISBN4-89428-185-6724円

(0?/??)

2003 目次へ

『ローマ帝国衰亡史』  E・ギボン(中野好夫・訳)、ちくま学芸文庫、ISBN4-562-03441-61600円

 ISBNと価格は以下のとおり。

ISBN価格
第一巻 4-480-08261-11300円
第二巻 4-480-08261-11300円

(0?/??)

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