54.吉野山金峰神社折屋の道標(大和国内)

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吉野郡吉野町吉野山1651 金峯神社本社階段下から南100mの三ツ辻の南東部斜面に北を正面に建つ
尖頭型角柱 187x32x31p(頂部、基部含まず)
N34.341804 E135.881685


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(北面)
┌─――――――――――――――――┐
│    大坂新町 折屋甚蔵    │
│         同 む免    │
│左大峯 願主           │
│         折屋徳兵衛   │
│         同 ゑい    │
└―――――――――――――――――┘
(「む免」は変体仮名「むめ」)
(「ゑい」も同様「えい」)

(西面)
┌─――――――――――――――――┐
│ 寛政十戊午歳四月建之      │
└―――――――――――――――――┘

(南東面)
┌─――――――――――――――――┐
│(なし)             │
└―――――――――――――――――┘

(東面)
┌─――――――――――――――――┐
│    世話人          │
│ 岩組  吉川太兵衛       │
└―――――――――――――――――┘


(寛政十(戊午)年四月1日とすると、西暦1798年5月16日水曜日となります。)
(参考『吉野と大峰』森下惠介、2020年刊には、未記載)
(行先に関しては「左 大峯」として、大峯山への参詣を案内するだけのシンプルなものである。当時も
 道なりに進むと、大峯山奧駈け道をハズして大変な事になる地点であったものと思われます。
 国立公文書館の『大和名所図会』7に、「山上嶽」の解説があり、その前の頁の絵の中に「山上参」が
 説明されている。
 一般の人が此処を単独で歩いたかどうかは分かりませんが、先達の人達にとっても迷惑な道標では無か
 ったと思います。)
(ここで注目したいのが、施主と紀年銘です。
  「折屋」関連の道標が摂津の国に幾つかあり、それらには紀年が記されていませんが、この道標には
 明確に書かれている事を確認するものです。「折屋」の詳細については別項を参照いただくとして、こ
 こでは、折屋甚蔵と折屋徳兵衛、並びにその妻であろう名前が一度に確認出来、寛政十(1798)年時点で
 は、ご健在であった事が窺えます。又、記述の順番からして「折屋甚蔵」が親であろうと思います。
  尚、「折屋」は大坂新町にあった、揚屋・茶屋で「弥兵衛」が初代であるらしい事がwebの記述にあり、
 又その名を国会図書館の『澪標』靖中菴、寛政10年刊、に見ることが出来、「折屋甚蔵」の父あたり
 になるのでは無いか。)
(世話人個人に関しては分かりませんが「岩組」をwebで「岩組、大峰山寺登拝の修験道講で、大峰山寺
 の運営に関わる阪堺役講の一つ」と簡潔に説明する文章が有ります。組に所属する講名も書かれていま
 すが、現在のものと思われ、折屋さんが講員であったものか、単に世話役を頼んだだけのものかは分か
 りません。『吉野と大峰』に「講社の連合体である阪堺役講の一つで、大坂江戸堀の船大工塩屋藤兵衛
 が舟大工、廻船問屋による岩万人講が始まり。江戸中期以降組織化された。」としています。
 尚、この「岩組」は壺阪寺の新しそうな標石にもありました。)
(尚、石の新しさ、「左 大峯」の彫刻方法等から再建されたものでは無いかと思う。)

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【1.金峯神社下を南に望む 【2.道標を南に望む 【3.道標を北東に望む
 右上100mの三ツ辻へ  一段上に当道標  右上、大峯山上へ
 左階段を登り神社へ】  右(南)、西行庵へ】  左下(北)金峯神社へ】

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【4.北面上部拡大 【5.北面下部拡大 【6.道標を南東に望む
 「左 大峯」  「折屋甚蔵/むめ」  左面に案内と願主
 機械で彫ったか】  「折屋徳兵衛/えい」】  右(西)面に紀年銘】

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【7.東面下部拡大 【8.北面基部拡大 【9.西面上部拡大
 「世話人」  基部が少し露出  「寛政十戊午歳」は
 「岩組吉川太兵衛」】  何か新しい様な】  つちのえうま年】

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【10.現案内を南東に望む 【11.壺阪寺の茶屋西の石碑
 奥(東)は「安禅寺蔵王堂跡」  「岩組」を偶然見つけた
 「青根ヶ峰」とある】  当道標との関係は不明】
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