QSLカード考・規格カードなら安心?

この原稿は、大宮アマチュア無線連盟の会報1993年(平成5年)4月号にJN1WTQが投稿掲載されたものを一部修正したものです。


前回、QSLカードを「規格」、「自作」、「市販記入」、「クラブ」という4つの種類に分類しましたが、これとは別にフォーム(形式)による分類で割合を見てみましょう。

「ログ形式」:コールサインと共に、データ記入欄が表にある。ログノートのような記入欄を持つものが多い。
(1892枚中467枚、24.7%。平成4年12月現在、以下同様)

「コールサイン」:コールサイン、QTH等が表面に書かれたさっぱりとしたデザインのもの。
(232枚、12.3%)

「イラスト」:イラストをデザインの中心に据えたもの。これは更に「オリジナルイラスト」と「他の出版物からの流用」とに分類される。
(672枚、35.5%)

「写真」:写真をデザインの中心に据えたもの。これもイラスト同様「オリジナル写真」と「他の出版物からの流用」に分類される。
(430枚、22.7%)

「その他」:抽象的なCGの背景や地図などを使用したもの。
(91枚、4.8%)

−−−−これからやっと本題です。−−−−

以前JM1コールでQRVしていたころ、QSLカードの半数以上が「規格」カードという印象でしたが、現在は7割近くが自作カードであると前回書きました。その理由を考えてみると、

「ワープロ、パソコンの普及」

ということがあげられるのではないでしょうか(注1)。すなわち、ワープロやパソコンでQSLカードの原稿を作成して印刷会社に送れば、それがそのまま版下として印刷できるので安価に仕上げることができるわけです。これらの自作カードには個性的なものが多く、みていてなかなか楽しいものです。しかし、QSLカードは本来更新の証明書であり、必要なデータが記入されていればそれでよいわけです。

私は今のところアワードの申請をする予定はありませんが(注2)、以前AJDやJCC、JCG100くらいはいつでも申請できるように準備しておこうと思ったことがあります。とりあえずカードを都道府県別に区分していましたのでその中から該当カードをピックアップしていったのですが、そのうちに妙なことに気がつきました。選んだカードは、選択の余地がない(つまり1枚しか該当カードがない)場合は別として、同じ県や市郡でいくつかカードがある場合、ほとんど「規格」カードを選択していました。その中でもさらに「ログ形式」のものが多くなっていました。

これまで私が言ってきたQSLカードのデザインとは、QSLが伝達すべきデータのある面ではなく、そのQSLカードの特徴を顕著に表わす面のほうを指しています(本当はデータ欄があるほうが表)。従って、データ記入欄も自作されていようと、表にあろうと裏(切手面)にあろうと、必要なデータに抜けや誤りがなければ何ら問題はないはずです。しかし、別に差別しているわけではないのですが、どういうわけかデータ欄が自作だとアワードの申請に使う気になりづらいものがあります。最近はタックシールを貼っただけというものも増えていますが、あれはなおいけません(注3)。

なぜかログ形式の規格カードにはデータに関して、安心感が得られるのです。QSLカードは眺めていて楽しいものはそれはそれで結構なことですが、一見地味な規格カードにも、QSLカードとしての美しさ、いわゆる「機能美」というものを備えているように感じます。

「規格」で「ログ形式」または「コールサイン」型のQSLカードはあわせて291枚、全体の15.4%に過ぎません。自分も安い自作カードを作っていながらこんなこというのも変ですが、バラエティに富んだ自作カードも楽しいけれど、渋い規格カードも、もっと増えてよいような気がします(注4)。

(1993年4月号会報)


(注1)今はアクティブなHAMのほとんどの方はパソコンを活用しておられるでしょう。
(注2)現在も予定がありません。というより予定が立たない。早くカードの整理をしなきゃ。
(注3)勝手なことを言っていますね。でもなんとなくそんな感じしませんか?
(注4)これまた勝手なことを。

(1998年5月31日UP)



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