ＱＳＬカード考・ＨＡＭは自然が大好き？
この原稿は、大宮アマチュア無線連盟の会報１９９３年（平成５年）７月号にＪＮ１ＷＴＱが投稿掲載されたものを一部修正したものです。
春になって静かだった５０ＭＨｚも、週末になると移動運用する局も増えて賑やかになってまいりました。私もＦＴ６９０Ｍｋ２（５０ＭＨｚのポータブル機）を持っているので、その気になればすぐに移動運用できるのですが、なかなかその気にならない不精者で、もっぱら移動局を呼ぶ側にまわっております。ＦＴ６９０はポータブル機とはいえけっこう重いので、最近買った１２００ＭＨｚのハンディ機でも持って峠にでも行ってみたいと思います。聞こえていましたらぜひお相手ください。
コンテストともなりますと、奥武蔵グリーンラインは移動のアマチュア無線局であふれている状態で、知らない人が見たらびっくりするでしょうね（注1）。特にＶ／ＵＨＦではロケーションによって電波の飛びがぜんぜん違いますから無理からぬことです。またこれとは別に、ハンディ機の普及に伴い、アマチュア無線を野外で運用する機会は大幅に増加しております。アウトドアライフのアクセサリーとしてアマチュア無線局を開設する人が増えているのも周知のとおりです。美しい自然のなかでアマチュア無線をするのはまた格別なものです。
美しい自然の風景を写真に切り取り、ＱＳＬカードにするのもまた楽しいことでしょうね。写真を使ったＱＳＬカードはオリジナル写真のものと、他の印刷物等から流用したものに分類することができます。ここではオリジナル写真のＱＳＬカードを「ながめて」みることにしましょう。
（１）意外と少ない「機械」もの
アマチュア無線家が好きそうな写真といえば無線機や自慢の自家用車など「機械」ものを思い浮かべます。しかし無線機やアンテナの写真は意外と少なく、車両や航空機、鉄道写真等を含めても２５％しかありません。反面、山岳や植物、風景などの「自然もの」は６０％近くもありかなりの数になります。普通絵葉書というと、観光地の風景や文物を写真にしたものですが、オリジナル写真のＱＳＬカードも似たような傾向になっています。機械ものに分類したもののなかにも、移動先の風景をバックにした車や無線機の写真が多く、それらも風景写真としてカウントすれば「自然もの」に分類されるカードが圧倒的多数になります。ＨＡＭは自然好き？
（２）プロ級の腕が必要、天体写真。
天体写真をＱＳＬカードにしているのもなかなか目立ってよろしいものです。他の印刷物から流用したものもありますが、発行者自身が自分で撮影したものもかなりあります。天体写真を個人が撮影するには、天体とカメラの知識とかなりお金のかかる設備が必要で、そう簡単にできるものではありません（注２）。星や星雲などの天体写真を自分で撮影して作成されたＱＳＬカードこそ、オリジナル写真カードの王様と言えるでしょう。
（３）クラブ局に多い建物の写真
学校や企業のクラブ局がよく使っているのが建物の写真です。一番わかりやすい写真といえるでしょう。なかには空中写真を使ったものもあり、これは何かのパンフレットなどに使われた写真の流用かもしれず、厳密な意味でオリジナル写真ではないかもしれませんが、そのクラブ局のロケーション、環境が一目でわかりますね。
（４）自宅付近を写してみようか
美しい山岳や夕日の映える海、可憐な高山植物などをＱＳＬカードにしたくなるのは当然ですが、どれも似たような感じになってしまうのは仕方がないことです。しかしそんななかで、発行者の自宅付近と思われる何の変哲もない街の風景をＱＳＬカードにしたものが少数ですが存在します(注3）。はじめは「何でこんな写真をわざわざＱＳＬカードに使うのだろう？」と思いましたが、ただの家並みやビルが写っているだけの写真でも、似たような風景写真のカードと並べてみるとなんだか変わっていてむしろ親しみを持てるようになります。
（５）これは勇気がいる。自分の姿がＱＳＬに
オリジナル写真の約７％にＱＳＬカード発行者本人が写っております。これは非常に勇気が必要と思いますが？ 少なくとも私には絶対真似できません。家族一緒のもの、海外旅行のスナップ写真、移動運用を写したものなどいろいろありますが、ただ残念なのはＹＬさんのＱＳＬカードに本人が写っているものがないことです（注４）。
これからは、「ＱＳＬカードを作るぞ」という気構えでカメラを持てばいい写真が撮れるかもしれませんね。
（１９９３年７月号会報）
(注1）いろいろ設営中に一番よく聞かれるのが「テレビの中継ですか？」です。
(注2）一番大事な「根気」を書き忘れています。私にもっとも欠けているもの。
(注3）ＱＳＬカードの分類を思い立った当初、この種の写真がカードに使われるなんて想像しておらず意表を突かれました。
(注4)その後なんかＹＬさん本人の写っているカードをもらったような気が・・・最近全然整理していないので・・・。
（１９９８年６月１４日ＵＰ）