QSLカード考・欠陥カードあれこれ

この原稿は、大宮アマチュア無線連盟の会報1993年(平成5年)10月号にJN1WTQが投稿掲載されたものを一部修正したものです。


さて、QSLかーどについていろいろ見てまいりましたが、今回はカードの発行者の意志、意図と関係ない分野、すなわち「QSLカードの欠陥、誤記入」について見てみましょう。

人間だれしも間違いはあるもので、QSLカードの作成、データ記入時のミスを完全に防ぐことはできません。しかしQSLは交信証明書としてアワードの申請時等に必要な書類ですので、珍しいカントリー(注1)・市郡区のカードに間違いがあったらがっかりしてしまいます。ひとくちに間違いといってもいろいろなタイプがありそうです。

(1)データの記入漏れ
QSLカードの不備のなかでもっとも単純な部類のミスです。カードに記入欄があるのについうっかり書き飛ばしてしまうのでしょう。バンドやモードの漏れなどは、心無い受領者が勝手に自分の欲しいデータを記入してしまうことが可能であり、不正の温床になる可能性があります。

(2)データの記入間違い
データ間違いの中では日付の間違いがもっとも多く見受けられます。日付でしたらあまりアワードの申請には影響ないかもしれませんが当然好ましいものではありません。

(3)記入項目の訂正
実は各種欠陥カードのなかで最も数が多いのがこの件です。最初はデータベースの備考欄に「欠陥、データ訂正あり」と記録していたのですが、あまりにも数が多いため途中で止めてしまいました。訂正印を押している場合もありますが、ほとんどは線を引くだけか修正液で直しています。本来データは書き間違えたからといって、線を引くなどで訂正するのではなく、新たに書き直すべきなのですが、深く考えている人は少ないようです。(注2)

(4)運用場所不明
コンテストQSOでのQSLカードによく見受けられます。J*1***/1となっているだけで移動先の市郡区の記載がないことがよくあります。東京コンテストでQSOし、カードをもらったら5エリアの住所のままだったりとか・・・・。つい出来心で「得した」なんて思ってしまいます。あぶない。(注3)

(5)コールサイン不明
いろいろな間違いの中で一番間が抜けているのがこれ。複数の局でひとつのQSLカードを作ると安上がりなので、結構多くの人たちがこの種のカードを作っておりますが、自分のコールサインにちゃんとチェックマークつけてくださいね。

(6)名前漏れ
実は私が1年ほど前に作成したQSLカードには名前が抜けておりまして、JARLに発送する直前に気がついたことがありました。オペレータ名はQSLカードに必須のデータではありませんが、やはり名前は入れるべきでしょう。この名前漏れは他にも時々見受けられます。それにしてもワープロ原稿で作成したコールサインと住所の間にゴム印でぺたぺた名前を押した私のカードを受け取った人は「こいつ名前入れ忘れてカード作って間抜けなやつだ」と思ったでしょうね。

(7)QSLカードが来ない
これぞ「究極の欠陥」カードと言えるでしょう?QSLカードの交換を約束したにもかかわらず、カードが来ないというのはそう珍しいことではありません。ちょっとした書きとばしやコールサインのミスコピーなど私も知らないうちにやっているかもしれません。当然相手にはカードが届かないことになります。しかしアワードを追いかけている人達にとっては笑い事ではありません。

7ヶ月間にわたりQSLカードについて気がついたこと、感じたことを勝手気ままに書き連ねてまいりましたが、一応今回で終わりといたします。コンテスト、移動運用その他、アクティブにアマチュア無線をやればやるほどQSLカードをたくさん発行することになります。そしてもちろん他局のカードもたくさん受け取ることになります。これからも細心の注意を払って立派な「交信証」を発行するように心がけましょうね。


(1993年10月号会報)


(注1)今はカントリーじゃなくエンティティーです。日本人には言いづらいなー。
(注2)当局はお役所相手の商売をしているので、書き間違いは改めて書き直し、という習慣がしみついてしまっています。
(注3)一応お断りしておきますが、このカードでアワード申請などしておりません。

(1998年6月28日UP)



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