分岐からだと山頂まではもうすぐなのだが、地図で見る以上に細かな起伏が激しく予断を許さない。ヒメシャラの白い花びらが登山道に落ちているのを一心に眺めながら、スズタケの急登をひたすら登る。

ササの直登
 とにかく坂の連続。それが石立山の醍醐味でもある。

ブナが混じる明るい自然林は山頂が近いことを教えてくれる。
スズタケに開いた登山道は終始しっかりしており、汗だくの私たちを山頂へと導いてくれる。

山頂直下
 間もなく石立山山頂。珍しく緩やかな登山道で息を整える。

山頂間近になり緩やかなササ原を一気に山頂に辿り着いた。
県境尾根の分岐から30分ほど、登山口からは3時間あまりの行程だった。要所で休憩をとりながら登っては来たが、伊藤君と浜田さんは少しバテた様子だった。

石立山山頂
 石立山山頂。二等三角点の石標や祠がある。手を挙げている左の伊藤君の後ろに別府からの登山道があるが、びっしりとササに覆われている

石立山山頂は広い笹原で、三角点の一角は開けていて1パーティーはゆっくりくつろげる。山頂には石立神社と呼ばれる祠があり、西の捨身嶽(捨身とは苦行のこと)とともに修験の山と考えられる。
笹原の南西にはしっかりした踏み跡があり20mほど下ると遥かに香長平野が光っている。空気の澄んだ頃には太平洋も望まれるらしいが、この日はかすんで見ることは叶わなかった。
展望は概して西から南が良く、北はダケカンバの林に遮られ眺望はきかない。

山頂から南西の眺望
 広い笹原越しに高知市内方向を望む。手前は口西山と雨岡山と思われる。

3人3様の昼食を摂っていると別府ルートからの登山者が次々と訪れた。聞いてみると、ある人は登頂時間に4時間を要し、ある人は5時間かかったという。それだけ登頂時間に差があるのもこうした険しい山の特徴であろう。
余談だが、山頂でくつろいでいるとノコギリクワガタを見つけた。最近は麓であまり見かけなくなったが、こうして出会うとホッとする。

山頂から南の眺望
 山頂より南の景色。彼方の尾根には、西又山、甚吉森などが並ぶ。