さて、山頂から来た道を引き返すなら復路2時間(往復5〜6時間)ほどの中級コースなのだが、私たちは別府に下りるべく荷を整えた。山の食事に満足してたっぷり1時間の休憩をとったとはいえ、山は下りが一番気をつかう。足元に注意してまずはこの山のハイライトである捨身嶽に向かった。

山頂直下ササ漕ぎ
 山頂からスズタケを泳いで別府側に下山を開始する。

ササを漕いで15分ほどで捨身嶽への分岐に着いた。ここは山頂西のピークで、西峰とも呼ばれる。分岐の辺りは一面お花畑である。ザックを降ろして北に5分ほどで捨身嶽のてっぺんに立つことができるが、急斜面を降りて石灰岩のヤセ尾根を辿らないとならないので、足元には充分注意して欲しい。

捨身嶽
 捨身嶽は石灰岩の岩塊。写真ではわかりにくいが、更に両側は渓谷に切れ落ちており、見た目以上に切り立っている。赤い点線は捨身嶽へのルート。

もろく崩れやすい石灰岩に注意しながら捨身嶽の上に登ると、目も眩むような高ノ瀬峡の渓谷美が眼下に広がっている。高ノ瀬峡は徳島県屈指の紅葉の名所であり、秋の紅葉時期には言葉を失うことだろう。

捨身嶽と北の展望
 ここからは、山頂では見られなかった北の展望が素晴らしい。

捨身嶽から三嶺方向
 捨身嶽のてっぺんから三嶺方向を望む。左手前は白髪山。右奥で雲を冠するのが三嶺。中央奥に西熊山、左奥には天狗塚の特徴的な三角錐が見えている。

捨身嶽でたっぷりと展望を楽しみ、三嶺の姿をカメラに納めようと少し粘ってみたが、結局は沸き立つ夏の雲で山頂は見ることが出来なかった。あきらめて振り返ると石立山が目の前にあり、ここで見る石立のやさしい山容はこの山への登山道の厳しさが嘘のようである。

捨身嶽へのヤセ尾根
 捨身嶽から分岐方向を振り返る。こんな石灰岩の岩場をを辿らないと捨身嶽の上には立てない。