登山口から15分ほどで小さなピークを過ぎ、更に5分ほどで三角岩の小ピークを越えるとアセビが目立ちはじめる。更に7分ほどで、ちょっとした分岐にさしかかるが、左へと下る道は見過ごして、右手へと忠実に尾根を辿ってゆくと、ほどなく、駄馬峰(だばみね)の山頂である。標高1002.5m。
山頂は、尾根の登山道上に4等三角点の石標があるだけだが、南側にある岩場からの展望は小休止に最適で、鳥形山を正面に眺める展望は小休止の間中、見飽きない。
駄馬峰山頂。尾根に三角点があるだけの通過点だが、岩場からの鳥形山遠望は必見。
駄馬峰から眺める鳥形山には、涙とも汗とも区別のつかない白い筋が幾つも流れ落ちている。石灰岩の採掘で日々変化する鳥形山は、たった今にしかない瞬間を私たちに見せつけている様だった。
駄馬峰の樹間から眺める鳥形山。
駄馬峰で息を整え、再び尾根伝いに歩き始める。
約10分後、ちょっとしたピークあたりの尾根で突然踏み跡がとぎれる、が、ここは賑やかな山界標識を頼りに、南(左手)へと下降する。
やがて、古(いにしえ)の道らしき跡と並行しながら下り、国土地理院の図根点の標あたりで最低コルの半山越かと思わせられるが、実は、半山越の峠はまだ少し先だった。薄暗い植林の中にある「半山越」の道標には、駄馬峰から約20分で辿り着いた。
ここを右手(北)に下れば、不入登山口(いらずとざんぐち)まで1時間20分とあり、一方、目指す山頂までは20分と記されている。
この辺り、標高は約960m。従って、ここより鶴松森までは標高差140mほどの登り坂が続く。
半山越の道標。あと20分で鶴松森の文字が見てとれる。
ここからはひたすら鶴松森まで焦らずゆっくりと坂道を踏みしめてゆく。
標高約980mで、図根点の標に出て、やや緩やかな昇りとなるが、それもつかの間、山頂が近づくにつれ、次第に傾斜は増してゆく。
半山越から約10分で「もうすぐ山頂」の標を過ぎれば、空がずいぶん近づいてきた。
山頂が近くなると、左手に小岩の展望所(半山越から約15分)が現れるが、更に1分程度で大岩の展望所なので、展望は大岩の上で楽しむと良いでしょう。
岩の上に登ると、眼下に葉山の集落が白く光って見え、振り返ると歩いてきた稜線が一望である。かすんではいたが蟠蛇森(ばんだがもり)まで見通せた。
岩場から辿ってきた稜線を振り返る。眼下には葉山村の集落。
大岩からの展望を楽しんだ後、約5分で「葉山越」の標を過ぎ、更に2分足らずで鶴松森の山頂へ飛び出す。
辿り着いた山頂からの眺望は、北はヒノキの植林だがそれ以外は絶景で、東に霞んではいるが須崎湾が望め、その左手に蟠蛇森、眼下には布施ケ坂のつづら折れ、その西には東津野村船戸の集落、そして尾根の木々越しに不入山(いらずやま)。さらに山頂からやや西に散策すれば、北に展望の開けるところで鳥形山が目の前に現れる。しかし、残念ながら天狗高原は積乱雲の中にすっぽり隠れていた。
山頂はカヤの多い原っぱ様で、3等三角点の石標は草むらの中に眠っている。
冬だと刈り払われて気持ち良いと言われる山頂も、この梅雨時期には草いきれで「むん」としているが、東に一本の柿の木がちょっとした風情をかもし出している。
茅原が広がるなだらかな鶴松森山頂。三角点の石標は山名板の足元にある。左奥に不入山がのぞいている。
鶴松森は分水嶺として、仁淀川、新荘川、四万十川の三河川にその恵みを運んでいる。
この頂きに立つと、その一つである新荘川に少し前までカワウソが住んでいたというのも容易にうなずける思いがする(今もいるのかも知れないが、、、)。
ところで、朝の早かった私たちは、ちょうどの昼食時と山頂で腰を下ろし、持参した食料を広げた。しかし、梅雨の末期の蒸し暑い中で、とてもアツアツのカップラーメンを食べる気力はわかなくて、ソーメンでも持参しておけばよかったと後悔しながら、結局はおむすびとお茶だけのささやかな昼食に終わってしまった。
鶴松森山頂から布施ケ坂方面、正面やや右手に白く見えるのは東津野村の集落。
簡単な昼食を済ませると、天狗高原の方から少しずつ近づいてくる雷鳴に追われるように私たちは来た道を引き返した。
なお、参考のため帰途のコースタイムを記しておくと、
半山越まで、山頂から10分あまり、同じく駄馬峰までは30分あまり、登山口のある林道までは約1時間足らずを要した。