野鹿池山 97年10月25日
野鹿池山は糠池山(ぬかのいけやま)とも呼ばれ、高知県大豊町三大渓谷のひとつ奥大田川(おこうた)渓谷の最奥に位置し、南斜面にはみごとな自然が広がっている。かつて大豊町の麓の集落が干ばつに苦しんだ折りには南斜面からこの山に登り、雨乞いをすれば必ず雨が降ったと言われている。しかしそのルートは昔からの言い伝えで、「この山には主が住んでおり、野鹿池山には一人では行くな」と言われており、ここではもっともポピュラーな徳島県側からのルートをご紹介する。
国道32号線大歩危駅付近から藤川谷沿いの県道に乗り入れる。(藤川の名称の由来はこの辺りに藤の群生が多いことからなり、命名は弘法大師空海とのこと。県道に入ってすぐには藤棚や藤娘のオブジェ?の有る立派な休憩所がある。)道沿いの集落(上名地区)ではユズが黄金色になりソバの花が咲いている。急傾斜には茶畑が目立ち、また所々茶色いのはゼンマイ畑のようである。大豊町立川地区に通じる谷沿いの細道を10分ほどで下の登山口の大池橋に着く。ここには野鹿池山山荘左折の看板があり、500m程行くと山肌に張り着いた民宿とあめごの養殖場がある。時間があればここから登ると良い。
上の登山口まで車で行くなら、大池橋を渡らないで直進する。平行する藤川の渓谷の流れは鮮烈だが付近の山々は植林ばかりでちょっと残念である。程なく渓谷から道が外れると美馬峠隧道を抜けてすぐに野鹿池山向けへの林道(下名粟山線栗山工区)の分岐に着く(なお、ここを更に直進すれば大豊町立川に降りられる)。ここまで32号線から20分ほど。ここから未舗装の地道を5Km程で木の鳥居と自然環境保全地域の案内板がある上の登山口に到着する。
木の鳥居の脇には作業小屋がある。
なおも、そのすぐ先の三叉路を右に折り返せば、悪路ながらまだ少しばかり車で標高を稼ぐことができる。終点には自由に利用できる、真新しいログハウス風の休憩所があり、水場もある。ここの標高はほぼ1200m、下の登山口からの徒歩2時間近くを省略した計算になる。
車道の終点には立派な休憩所があり、鍵はかかっていない。一般の人が自由に利用できるようである。
機材を背負い、終点の広場から野鹿池神社の石の鳥居をくぐり数歩も登れば、山頂と木道の遊歩道の分岐に立つことが出来た。ザックを背負ったままオオミズゴケやホンシャクナゲの群生する遊歩道を進むが木道は朽ち果て、至る所に大きな穴があいており歩行には充分な注意が必要。おそるおそる辿り着いた木道の終点には野鹿池神社の祠があった。見事な竜の彫り物が施された祠には御神酒が祭られている。ちなみに、地図やガイドブックによればこの祠から西に遊歩道が延びているはずなのだがいくら捜してもそれらしき跡は見つからなかった。
野鹿池湿地帯にかかる木道は朽ちていて注意が必要。湿地帯は思ったほどぬかるんだ処は少ない。