大ボシ山  2000年11月4日

香美郡土佐山田町から国道195号線を北上、香北町で左手に「轟の滝8K」の看板を見つける。ここを左折して、案内板に従いながらひたすら轟の滝(日本の滝100選、詳細は備考を参照)を目指す。これから向かう大ボシ山は、名瀑「轟の滝」の奥にひっそりと佇んでいるのである。
しばらく車を走らせると、かつての猪野沢(いのさわ)温泉跡地が見えてくる。ここには歌人吉井勇の「渓鬼荘(けいきそう)」が往時の面影を抱いたままそっと建っている(詳しくは備考を参照)。しかし、温泉は今はもう無い。かつて沢山の愛好者がいた猪野沢温泉だが、残念ながら火災により焼失してしまったのは記憶に新しい。現在もその復興を望む声は多いのだが、いまだその火は消えたままである。

さて、猪野沢温泉跡との分岐を過ぎてすぐ、猪野々簡易郵便局の前の三叉路は左折する。轟の滝まではあと3.8Kmである。
幅員の狭い車道を、対向車に注意しながら進むと、やがて日比原川にある轟の滝界隈へとさしかかる。
右手に駐車場やトイレが、左手には轟神社がある。名爆「轟の滝」はすぐそこだが、滝見物は帰途にして、まずは7Km先の登山口をめざす。
轟神社の上手にある分岐は右手へと進み、大久保集落の水田を抜け、日比原川の奥へと向かう。辺りで色づくユズの黄色が鮮やかに目に飛び込んでくる。
轟神社から3.5Kあまり行くと舗装が切れ、地道を更に2Kほどで日比原川の支流オモ谷に架かる「猪野々山橋」を渡り対岸を登り返す。
(猪野々山橋の橋梁上で上流を眺めると小さな2段の堰堤があり、水量さえあればこの頃、美しい風景をかもし出す。人工の建造物が周囲の自然に同化する趣はなんとも言えない。)

猪野々山橋を渡り、更に林道を登ってゆく。途中には沢が林道を横断する様な場所もあり、無理は禁物だが、橋からおおよそ1.5Kmで住友共同電力(住友共電)の送電鉄塔(NO.19)脇を過ぎてすぐに、林道はゲート止めに突き当たる。ここから歩くのだが、ゲート手前には、すでに先客のマイカーがとまっている。駐車場はないので通行車両の邪魔にならない場所を選んで駐車する。
なお、このゲートの鍵は番号合わせ式なので、高知中部森林管理所に連絡すれば、鍵番号を教えてもらうこともできそうだが、このゲートから登山口までは10分もかからない(約8分程度)ので、そこまでの必要はないでしょう。
(なお、この先で猪野々林道に分かれて神賀山を目指す折にはゲートの存在に注意してください)


登山道は送電鉄塔を順番にたどる。NOは鉄塔番号。ちなみに、山頂近くの鉄塔番号は26番。

辺りにいっぱいのヤシャブシの実に見守られながら荷を整えていると、上方から熊避けの鈴の音が聞こえる。前方には4名のパーティーの姿が認められた。たった一人で出かけてきたのだが、同じ山に向かう人を認めると何だか心強くなり、ゲートを越えて林道を歩き始める。
すぐに分岐があり、右手に行くと猪野々林道だが、ここは本線を左にカーブして登ってゆく。
ほどなく右カーブにさしかかるあたりで大ボシ山の登山口指標に出会う。



林道脇に登山口の指標がある。

登山口からは良く整備された鉄塔巡視路を、NO.20の送電鉄塔をめざして登って行く。
20番の送電鉄塔まではジグザグの登り坂が続くので、ここを焦らないことが肝要だと、ハイペースになりがちな自分を戒めて進むのだが、ついつい先のパーティーを追い越してしまった。そこでややペースダウンしようと時々後方を振り返りながら登ってゆくと、朝の逆光の中に過ぎてきた大久保の集落や御在所山の頂が見えてきた。


登山口から10分ほどで後方をふり返ると、左下に大久保の集落、右奥に御在所山の展望。

植林や雑木林を抜けて、登山口から約16分で20番の鉄塔に出る。標高約990m。
ここから山頂そばの鉄塔まで、送電鉄塔6スパンを辿ることになる。


鉄塔巡視路(登山道)は鉄塔の真下をくぐり上方をめざす。(管理板には猪野々山9林班の文字が見てとれる)

20番鉄塔を過ぎた辺りから、登山道には背の高いスズタケが目立ち始めるが、刈り払われた登山道は快適に上方を目指す。


スズタケ混じりの雑木林を行く。

やがて背の低いマツやアセビなどが目立ちはじめて、登山道は1030m辺りで傾斜が緩やかになり、尾根筋に近づく。左手にはちょっとした岩場があり、岩上に立つと対岸の紅葉が美しい。色づいた対岸の山肌には、白く一筋の小さな滝も見える。
この岩場を過ぎるとすぐに、右手に21番の送電鉄塔へ向かう小道を見つけるが、ここは真っ直ぐに行く。
ここまで登山口から30分足らず。

(なお、少しだけ寄り道して21番鉄塔の元に行くとホウの木の向こうに高板山の尾根が見える)


若い2次林の中を進むと、右手に21番の送電鉄塔が、更にその奥に22番の鉄塔も見える。

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