奥神賀山 1999年10月30日
奥神賀山はなだらかで、とにかく広い笹原が気持ち良く、展望も充分に楽しめる。
香北町と物部村の境にある神賀山(1071m)の奥に位置し、大山祗神社の奥の院として奥神賀山と呼ばれるようだが、一部の地図では高山とも記載されている。また、山の南側にある大きなザレ場が特徴的で、青ザレ山とも、青崩え(アオヅエ)とも呼ばれる。
物部村の中心部である大栃から楮佐古(かじさこ)林道でこの山に向かうと、林道からは青ザレ場がよく目立つ。
この山は、ここで紹介する豊永峠の登山口からなら、山頂までノンストップで登れるほど手軽だが、登山口までは南北どちらからでも結構な時間を要する。高知市方面からだと国道195号線で、さきの物部村大栃から韮生(にろう)橋を渡り川内林道を北上して楮佐古林道へと右折する。林道は未舗装だが、有名な高板山(こうのいたやま)への登山にも利用されており比較的整備されている。高板山登山口に建つ「シロヤシオ保護地区巡路」の看板を過ぎて2キロほど行くとなだらかな峠に着く。ここが豊永峠と呼ばれ、左手(西)に奥神賀山への登山道が延びている。
一方、高知自動車道の大豊ICを降り、国道32号線を北上し豊永から右折して国道439号線に乗り入れ、西峰から対岸に渡り林道柚ノ木線から小桧曽林道を経由する大豊町側からのコースもあるが、物部村側に比べて林道の状態は良くない。特に雨後は注意が必要である。
奥神賀山登山口。笹の中を頂に向かって広い登山道が延びている。
登山口にはこれといった看板などは無いが登山道は広くすぐにわかる。ここから東には高板山へ縦走路もあるのだが、こちらは踏む人も少ないせいかよく見ないとわからない。
広い峠に駐車して、一人でザックを背負った。
10月も終わりだとやや肌寒いが幸い風は微風で、日も高く昇っており山歩きには最適の条件である。
見上げると青い空に音もなく飛行機雲が描かれてゆく。
ぼんやりとそんな空を眺めながら歩いても登山道は広く足元に注意するような危険な場所もない。
山頂間近で後ろを振り返る。中央の鞍部が登山口の豊永峠。中央奥が三嶺。
笹の中の登山道をジグザグに登るにつれ北から東の展望が開けてきた。1998年のインターハイで高校女子が歩いた小桧曽山から土佐矢筈山、綱附森そして三嶺への縦走路が美しい。
登山口からゆっくり歩いても15分足らずで三角点(山頂)への木の標に出会う。三角点はこの標から登山道を右手にそれてササを漕ぎ、いくつかの踏み跡をたどれば約100mほど北の場所にある。
この標も登山道からの横道も見落としやすいので注意してほしい。また、三角点に向かう途中には山界の石標もあるので三角点の石標と間違わないでほしい。
登山道の脇には三角点への標(矢印の先)がある。この場所を右手にササを漕いで行くと山頂。なお、ここを真っ直ぐ行けば3分ほどで奥の院の祠に着くことができる。
広い登山道とは対照的に、腰までの笹を漕いで辿り着いた三角点は広大な笹原の中にある。看板や踏み跡がなければ到底わからない様な笹の中に石標がある。
ここからの眺めは、西に梶ヶ森が山頂に幾つものアンテナをかざし、そのまま右方向に目を移して行くと土阿(土佐と阿波)県境の山々が見事である。あいにく南方面の展望はきかないが、それは先の登山道まで帰れば叶うわけで、逆に北方面はこの三角点からの眺めが素晴らしいので、是非この場所には立ち寄ってほしい。
なお、山頂の看板には標高1442.2mと記されているが、地図では1442.9mと記載があり、ここでは後者を採用した。
ススキ混じりの笹原が三角点。左手前に三角点の石標がある。中央奥は綱附森、三嶺、白髪山など。