Taboo QAセッション(Part1)

さる4/25に「タブー」鑑賞の後にボーイ・ジョージとのQAセッションがありました。ロンドン在住のgodfieldさんが参加、そのレポートを送ってくださいました(大感謝!)。とても内容豊富でこれでもまだ半分とのこと。後半もお楽しみに。

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まずジョージに今夜の印象、舞台について一言二言語ってもらいましょう。
G: 皆本当にいいお客さんだったよ。反応が良すぎた位だ。お礼の拍手を僕から送るよ。

TABOO」誕生の経緯は?
G: 1年前くらいのことかな、クリス・レンショー(TABOOの演出家)にアプローチされてね。物凄く寒い夜、テムズ川のクルーズ船の上で言われたんだよ「君の人生についてのミュージカルをやってみたくないか?」って。僕は「NO」って言ったんだけど、彼は「それなら80年代初期の君や君の仲間たちについてならどうだい?」って続けた。僕だけについてならもう充分だけど、他の仲間たちもっていうんなら面白いって思った。

Q: 観客を代表して言いますが、今夜は最高でした。シドニーに来る予定はありますか?

G: あー、どこでも行くよ。君がオーストラリアからわざわざ来たことに感心する。知ってると思うけど、この舞台の重要な登場人物の一人でもあるリー・バウリーの面白さは、彼がオーストラリア人ってことなんだ。でも、彼はイギリスでの方が有名。オーストラリアの人たちには、リーがいかに天才だったかということをよく認識してもらいたいね。本当になかなかお目にかかれないキャラクターの持ち主で、僕自身、彼の大ファンだから。舞台ではリーが着た衣装を全部取り上げることは出来なかったけど、もうすぐ「ファーガス・グレイ」出版から彼についての本が出る予定だ。買う価値のある本だよ。本屋に行って買ってね。お薦めだよ。

Q: あなたと同じように舞台で演じられている役のモデルとなった人たちの中で、誰か見に来た人はいますか?その人たちの感想は?

G: 本当言うと、舞台が始まった時一番心配だったのは、批評家たちなんかじゃなく舞台に登場する役のモデルとなった人たちだった。批評家の酷評には慣れてるからね。ビッグ・スーとかレイチェル・オーバーンとかあの当時の仲間たちが見に来てくれてんだけど、感動してくれた。これは本当に嬉しかったね。

Q: スティーブ・ストレンジの自伝は読んだ?感想は?

G: ちょっと忙しくてね。でも読むのを楽しみにしてるよ。

Q: BT(電話会社)の「カーマ」を歌うカメレオン電話の宣伝だけど、あの電話もらった?

G: いや。でも楽曲使用料はちゃんと受け取った。

Q: ジョージ。「TABOO」が開演したばかりの頃は役者の演技力に感心して、「僕には出来ない」と言っていたけど、リー役をやることにしたのはどういう風の吹きまわし?

G: 気分屋だからね。うーん、何でだろう。始めてDJをやり始めた時は、自分がDJになるなんて思いもしなかったけど、実際に今やってるし。自分のキャリアをきっちり計画するタイプじゃないんだ。「数打ちゃ当たる」の気持ちだね。今夜はリハーサル3日目で猛烈に緊張した。台詞を覚えるのもそうだけど、自分の立ち位置やらタイミングを覚えるのもきついよ。改めて役者を尊敬する。でも、「役者は皆狂ってる」っていうのは相当確かだと確信したね。一度役作りに入ると、その役柄に飲み込まれてしまう。自宅の電話に出てふと気がつくと「あっちに行けよ、ビッグ・スー。忙しいってのがわからないの?」なんて答えてる自分がいるんだ。生活全部が舞台一色になる。これはすごいことだよ。

Q: 「Taboo」がNYのブロードウェイに進出する可能性は?
G:夢は誰でも見られるからね。マドンナはキム役に最高だと思う。よく考えてみてよ、彼女にはいい舞台が必要だよ。

Q: DJとして活動している時、歌いたいと思うことは?
G: 全然ない。毎日風呂で歌ってるし、3ヶ月後には「沈黙の暴力」っていうタイトルのニュー・アルバムをリリースする予定だし。もうすぐ僕の歌声が聞けるってわけだ。アルバムは相当いかれてて、かなり個人的な内容になってる。

Q: そのニュー・アルバムはCCとしてですか?

G: いや、違う。この3週間ばかりCCのメンバーたちと仕事しているんだけど、もしスタジオで一緒の時間を過ごすことにお互い我慢できれば、何か新しくレコーディングすることになるかもしれない。CCはリアルなソープ・オペラみたいなもんだからね。3年ばかり一緒に又世界中をツアーして廻って、お互い顔を見るのも嫌になったからちょっと休憩してた。今後これは音楽的に価値があると感じたら、アルバム制作に入るかもしれない。僕が今度ソロで出すアルバムは、フリル抜きの「チープネス&ビューティー」って感じかな。ストレートな感じで新曲が6,7曲位。

Q: 演技についてですが、昔「特攻野郎Aチーム」に出演しましたよね。誰が一番好きでした?

G: ジョアン・リバース。いや、MR.Tも好きだしジョージ・ペパードも大好きだし。ジョージは本当に礼儀正しかった。MR.Tは自分の声に酔ってるっていう感じだった。彼のアクセサリーは良かったね。でも誰よりもやっぱりジョージ・ペパードは本当の紳士だったと思うね。亡くなってしまったのは悲しいけど、本当に優しい人だった。でも、「Aチーム」の出演者たちはお互いに犬猿の仲だった。まるでCCみたいなもんさ。

Q: ジョージ・ブランドのコスメ・ラインを作らないかと打診されたことは?
G: ないね。でもエルトン・ジョンが新しいMACの宣伝に出てるんでむかついてるんだ。メイクなら誰にも負けないくらい挑戦してきてるのに!コスメ・ラインの話はいつでも歓迎だよ。でも、あと数年もしたらメイクなんて出来なくなるだろうから、打診するなら早くね。

Q:80〜90年を通して、個人的にあなたに関する最悪・最高の記事と思うのは何ですか?
G: うーん、最悪の記事は「ボーイ・ジョージ、後8週間の命」ってのだね。最高なのは先週の「NME」の人気投票でマドンナよりも人気があったってことかな。さらに素晴らしいことに、ジョージ・マイケルは名前すら登場しなかった。ごめん、ちょっとひどいことを言っちゃった。でも自分でも止められないんだ。

Q: バンドで歌うこと、DJをすること、舞台に出ること、快楽におぼれること〜これまでにこの中で一番圧倒されたのはどれですか?

G:今夜舞台裏でマット・ルーカスの衣装替えを見学したのが、今年一番圧倒されたことだね。すごいんだよ、本当に

Q: 舞台出演中、DJの仕事は?
G: 舞台に出ている時は、他には何もしない。舞台の後は、取材を受けたり、歌ったり、料理したり、スクラブルしたりはするけどね。後は可能なら遊びまくる。

Q: CCが本当のソープ・オペラなら、何故まだ続けるの?

G: 何故続けてるんだろう?

Q: 何故CCとツアー活動を続けるのですか?
G: 判らないな。ジョンがどんなに格好悪くなったかを見てもね。冗談だよ。彼はね、レズビアンと結婚したんだ。一体僕に何が出来るっていうんだ。

Q: 数年前にあなたを見かけた時、新聞記事がプリントされた素敵なスーツを着ていましたが、あのスーツには何かメッセージがあったのでしょうか?

G: ないよ。当時、「あのスーツを着ている僕がいかに醜いか」っていう手紙をもらった。実際そうだったしね。別にメッセージなんてないよ。ただ僕にアタックしているメディアに対して、僕も僕流にメディアにアタックしてたんだ。愛憎紙一重の関係だからね、僕とメディアは。僕はメディアが大嫌いで、大嫌い。

Q: 「余命8週間」という記事が最悪と言いましたが、あの記事があったからこそ、命が救われたは思いませんか?

G:全然思わない。そもそも、もし毎日£800分のヘロインを常習していたら、8週間どころか1日も持たないよ。現実的に考えても、そんな量のドラッグを1日で使うなんて無理。僕が保証する。でも君たちの中にもドラッグに手を出した人が居る筈だから、分かるでしょ。

Q: 出演者はあなたが自ら選んだのですか?
G: マット・ルーカスをリーに選んだのは、僕のお手柄だね。クリスと舞台について話し合っていた時にはもうマットが適役だと思ったし、その後HEAVENで彼を見かけてからは、リー役をこなせるのはマットしかいないと思ったね。そのリー役をやる僕っていうのは、相当勇敢というか。

Q: ジョージ役を演じるユアンには、動作の仕方などどの程度教え込んだのですか?

G: ユアンを僕の役に抜擢したのは、全て古くからの友人であるフィリップ・サルーンのお陰だ。元々のワークショップの時、ユアンはトロージャン役をやっていた。フィリップは何様のつもりかワークショップにペンとノート持参でやって来てね。それを見て、演出家も作家も俳優もこの舞台に関わった全ての人が皆不愉快になったんだけど、その迷惑極まりない行動から生まれた素晴らしいことの一つがユアンの抜擢だった。ワークショップの最中にフィリップが言ったんだ「あそこの子、あんたが19歳の時にそっくり。ジョージ役はあの子にするべき」。それからだね、僕もユアンが僕の役に適任だと感じるようになったのは。

Q:好きな色は?好物は? (7歳の女の子からの質問)
G: 好きな色は黒。痩せて見えるから。好きな食事は、アイルランド人だからね、パンだよ。

Q: ユアンがあなた自身を演じているのを見るのは変な気持ちではありませんか?

G: 舞台で演じられている当時とは決別している。ユアンには彼自身のキャラクターがあるし、それに彼は「僕が歌手だなんて恥ずかしい」と思わせるような巣晴らしい歌声を持ってるからね。でも、実際には彼は僕ほど現実世界では傷ついてないはずだ。ものすごく尊敬しているよ。毎晩母親のような気持ちで彼を見守っている。

Q: マリリンとは今でも連絡を取ってるの?

G: 霊媒師を通してね。いや、毎日携帯電話でテキストを交換してる。「TABOO」にも一度来て10分くらい経った頃、自分の役、僕役を見て「何あれ?」って言い捨てて帰っていったよ。もう一度見に来たりしたら、僕の方が驚くね。多分、僕が自らリムジンでお迎えに上がるくらいしないと、駄目かもね。

Q:舞台上のドラッグ使用に関する場面は、少々タブロイド的だとは思いませんか?

G: イギリスは元々薬物に執着している国だ。僕らが口しているもの、飲むものも全て薬物入りさ。というわけで僕らは文化として薬物を享受しているというわけだ。「これは悪い。これはいい」と簡単に判断できない。意味ないよ。

Q: 舞台上で、ドラッグ使用はネガティブに描かれていると思うのですが、実際のクラブ・シーンで遊ぶ若者たちはドラッグ使用をポジティブなこととして受け止めているように感じられるのですが。

G: ドラッグを楽しむな、とは僕には言えない。僕に起きたことが彼らにも起こるとは言えないから。人は皆それぞれ独立した個人であって、自分の体に入れるものについてよく理解していると思う。「重量オーバーで運転すればやがて分別の宮殿に到着する」「間違ったところで曲がらないように要注意」って格言があるだろう。

Q:現在の生活はまともになってきたと感じますか?それと更年期障害になる恐れは?
G: 賢い答えを考えないとね。感情的には僕はいつも子供のままだと思う。いつも心をさらけ出して、思ったことをすぐ口にしてしまう。それが子供っぽいというのなら、嬉しいことさ。

Q: 僕はホモです。あなたの電話番号をもらえますか?
G: もしかしたらね。(誰かが「ジョージはストレートの男性しか好きにならないわよ」と叫ぶ)。何だって?僕がストレートの男性としか寝ないって?そんなことないよ。

Q: 10月に父親になる予定なのですが、子供が欲しいと思ったことは?

G: おめでとう。ここにも少しはヘテロはいるわけだ。子供ねぇ。ないな。兄弟に子供がいるんだけど、子供は大好きだよ、でも子供としばらく遊んだ後、親に返せるっていうのが一番だね。

Q: 又次の自伝を手がける予定は?

G: 1冊書いて95年に出版したよ。

Q: 次の自伝という意味で。
G: 第2弾?第1弾を出版するまでに12年もかかったからなぁ。

Q: あなたの歌詞はとても力強くて率直だと思うのですが、歌詞を書くのが辛いことは?

G: 僕の好きなソング・ライターにジョニ・ミッチェルがいるんだけど、彼女くらいパワフルな歌詞がかけるようになれば、ってずっとどりょくしているんだ。「TABOO」の良いところは、僕が共に成長してきた仲間たち、フィリップ、リー、マリリンとか大好きな人たちの声が表現できたってこと。彼らのための歌詞を考える作業は面白かった。「自分のことを彼だったらどう表現するだろう?」なんて思ってね。もちろん、彼らに直接聞いたりなんてできないからね。そんなことしたらフェアーじゃないし。彼らのための歌詞を考えるのは楽しかったね。

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