復活の世界 Faile 2 「人形アニメ・Xボンバーヘ」

素材は映像作品なのですが、どうしてもこの「旅行の部屋」で取上げたくなったということは、それだけわたしの中では、印象的だったということなのです。

もう20年も前のことなので、大分記憶に曖昧な点があるのが残念なのですが、書いておくことにしました。

わたしたちはロスアンジェルスへ着いてから、まず真っ先に行ったのはロックウェルというエンジン工場でした。ここでスペースシャトルのエンジンが作られていて、そのエンジンテストが行われるので、それに立ち会いましょうということなのです。

とにかく宇宙船を無駄にしないために、宇宙と地球を行ったり来たりするシャトルを開発するということが、かなり話題になっている時代でしたから、わたしたちが制作しようとしている、宇宙を舞台にした「Xボンバー」には、格好の素材だといって、みなシャトルのエンジンテストに立ち会えるということに興奮気味でした。

会社でわたしたちの案内をかってくれたのが、女性の副社長と重役たちでした。いろいろと説明をしてくれましたが、その日行われるのは、地下室での始動テストだということで、重役室に置かれたスピーカーで、そのエンジン音を聞くことになったのでした。

地下室でのカウントダウンが、スピーカーを通して聞こえてきた時は、大変厳粛で緊張感があり、じわじわと興奮が高まっていきました。それから数秒後、すさまじい轟音が上がり、エンジンが次第にその回転を上げていきました。

やがてその轟音が静まった時、副社長は興奮気味に実験の成功を宣言しました。

我々も興奮気味で、立ち会った者はみな握手をし合って喜びあったものでした。流石にあの時は、その後のシャトルの性能を決める、開発と実験の様子を知ったということで、大変な感動ものでした。

いよいよ最大の目的であったNASAを見学することになったのは、それから後のことでした。

まだこの頃は、そう気安く見学などと言うものが許されてはいなかった頃のことですから、若いこともあって、みなわくわくしていたものです。

車は、西部劇でお馴染みの砂漠を走りました。

とにかくびっくりしたのは、あの大都会の直ぐ裏手には、まだまだこんな砂漠が広がっていたり、奇岩が聳え立っていたりするということを知ったことです。ちょっと前までの西部劇であったら、今にもインデアンの騎馬の群れが襲撃して来るのではないかと、夢想したほどです。アメリカは広いなぁとつくづく感じたものです。

やがて夢に見ていた、宇宙開発の最先端にあったNASAへ到着しました。エドワード空軍基地です。例の女性重役が待っていてくれて、内部を案内してくれたのです。

いろいろな注意事項が申し渡されましたが、特に写真撮影は遠慮して貰いたいと伝えられました。それはさまざまな戦闘機の開発が行われている工場でのことでした。そういわれると、ますます何とかならないかと思うものです。まるでスパイになったような気分になって、周囲の様子を窺いながら、パチリとやってしまいました。

それは3メーター弱の超小型戦闘機で、一人乗りであることは言うまでもありませんが、とにかく極端に旋回が早くできるというものでした。

(こんなものを開発しているのか・・・)

わたしにとっては、衝撃的な情報でした。

ここでは宇宙開発に伴って、想像を超えた開発が行われているのだなと、つくづく感じ入ったものでした。さまざまな戦闘機の秘密の写真を、大分持ち帰ってきましたが、今となってはもっと進んだものが開発され、実戦に使われているのでしょうね。

この頃の、ようやく人間が月世界へ到達したというニュースで興奮していた時代は、はるか彼方へ遠ざかってしまったように思えます。今は宇宙への進出も当たり前のように受け止められるようになってきましたし、NASAへの関心も、かつてのような高まりは、ほとんど感じられません。時代ですね・・・☆


(旧HPからの復活原稿ですが、一部加筆、訂正いたしました)

スペースシャトル・エンジン工場の写真
NASA取材の写真
NASA入り口での写真