交わる世界 Faile(40)「行方不明の告知」

ひと夏の高原での出来事で、今年目立ったことの一つが、高齢者の行方不明が多発したことでした。そのアナウンスが、しばしば役場からの町内アナウンスで放送されたことでした。

高原のことなので、一寸散策をしているうちに、道に迷うということもあるものです。しかも最近はその土地に馴染みのない観光でやって来る人も多いので、そんな人も多くなるのかも知れませんが、兎に角今年はそれが極めて多くなって、しばしば町内アナウンスが流れるのを聞きました。

そうしたたまたま不慣れなために起こる行方不明はあり得るとして、いささか心配になったのは、これまでも時々起こった認知症によるものです。とにかくあたりは森林が多いことと、小道が沢山あって、いったん迷い込んでしまうと、元の道に戻ることは非常に困難です。そんなことから、昔も時々別荘族の中にも、家族の人がちょっと目を離しているうちに、認知症の人がふらふらと出て行ってしまって、行方不明になるということがありました。それが今年は、アナウンスの数が多かったことが気になりました。 深夜に山荘を飛び出したまま帰らないとかいうものは、明らかに認知症によるものだとしか言いようがありません。年々こうした事件が多くなるのではないかと、いささか複雑な思いで、町内アナウンスを聴いていたものでした。☆

ハワイアン演奏の写真